2023年02月13日更新
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(株)八角/(株)エルエイト 対談取材記事

名刺
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作り手のこだわりを器に詰め込んで──
妥協なき姿勢がお客様の「うまいっ」の一言を引き出す

株式会社 八角/株式会社 エルエイト

代表取締役社長 大西 慎也

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─略歴

「私には飲食の世界しかなかった。この道を究めることが、私の人生です」

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─人ページ写真

八角形の形をした屋台のまん中に一人で立ち、らーめんを作っていた19歳のころ。

お客様から絡まれることも多く、逃げ出したい衝動に駆られたこともあった。

「でも、私にはこの道しかないと自分に言い聞かせてきた」と言葉を紡ぐ。

鬼気迫る姿、美味しさをとことん追究する姿勢が、ファンを増やしていく。

そして現在、経営店舗数は20を超え、そこに関わる人材の数も増えた。

「皆に対する責任もありますから失敗はできない」と話し、重圧を噛み締める。

しかし、これまでの道程を振り返れば、経営者として重んじるべきことは見えてくる。

お客様に手作りの美味しさを届ける──それが唯一で最良の経営手法なのだ。


【足跡】 兵庫県出身の37歳。父親が若いころから喫茶店を多店舗経営していたことから、自然と商売の道に進むことを決意した。10代で夢だった飲食業の道に入り、居酒屋で修業をスタートさせる。その後、バブル経済崩壊の煽りを受けて父親の喫茶店の経営状況が悪化したため、新たな柱として屋台のらーめん屋を出すことに。6年間、屋台と小店舗で営業し、2000年に大型店をオープン。らーめんの他にお好み焼、大衆食堂、たこ焼きなどの店を次々にオープンし、FC店も順調に増やしている。


飲食店の経営やFC事業の支援を手掛ける『八角/エルエイト』。『らーめん八角』『昭和お好み焼劇場 うまいもん横丁』『大衆食堂 ぱっぱ屋』『浪花名物 たこの壺』を兵庫県内で多店舗展開し、その店舗数は20以上を数える。屋台からスタートし、ここまで事業を拡大させた大西社長に、吉沢京子さんがお話を伺った。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─対談

吉沢 大西社長は多店舗展開されているそうですが、現在までの歩みから。

大西 かつては11店舗もの喫茶店を経営していた父の影響で飲食業界に入り、当初から自身の店を構えたいとの夢を持っていましたが、実はらーめんの屋台から始めたのですよ。父と共に始めたのですが、父が40代に入っていたため一日中の立ち仕事は体力的に厳しく、始めてすぐに私が一人で切り盛りするようになりました。それが、19歳の時ですね。らーめん作りを一から教わり、メニュー一つでスタートしました。始めて6年後の2000年には播磨町に大型店をオープンさせることができ、それが現在の『らーめん 八角』です。ここまで店舗数を増やせるとは思いもしませんでした。

吉沢 19歳とお若かったわけですが、若さとは武器になる一方で、社会的信用を得るには障壁となるものでしょう。それが順調に店舗数を増やし、拡大してこられたとは、経営の手腕がおありだった証拠です。

大西 手腕があったとはおこがましくて言えませんが、1年に3店舗を出店することができました。店が増えようとも変えていないのは、“何もかんも手作り”──すべてが手作りというスタイル。そのため、“八角の一日は仕込みの一日”と言っても過言ではありません。真夜中から寸胴でスープを炊き、朝から餃子のたねをこねては皮で包み、唐揚げ用に鶏肉の下味を作って漬け込み、厳選した豚肉をチャーシュー用に切り分けて醤油ダレと一緒にじっくりことこと煮込み、とこれら全ての作業を同時に進めます。餃子、唐揚げ、チャーシュー、炒飯、スープまで“何もかんも手作り”で、手作りだからこその美味しさと温かさを守ってきました。

吉沢 作り手のこだわりって、食べる人に必ず伝わるものです。聞いているだけでどれもこれもが美味しそう! 人気に後押しされての店舗拡大であることが窺えます。

大西 ありがたいことに、「FC店を出させてほしい」との話をいただきまして、現在は神戸市や西脇市、赤穂市、三木市などに6つのFC店があります。FC展開する予定もなく募集もしていなかったので、慌ててマニュアルを準備したくらいです(笑)。

吉沢 お好み焼屋もされているそうで。

大西 ええ。『昭和お好み焼劇場 うまいもん横丁』です。また私がお好み焼屋で修業をして(笑)、店をオープンしました。現在は、直営店が6店舗、FC店が姫路市、三木市、福崎町にあります。

吉沢 お名刺を見ると、『ぱっぱ屋』と『たこの壺』というのもあります。らーめん店だけでも店舗数が多いのに、すごいですね。

大西 全店舗のスタッフを合計すると400名近くおり、私自身、把握しきれていません。経営者失格でしょうか(笑)。でも、スタッフに恵まれましてね。月に4回ほど会議や勉強会などを開いて情報を共有しておりますが、若くやる気がある者ばかりで、店長クラスのスタッフもしっかりしているので安心して任せることができています。2013年は新年早々から暖簾分けを予定しており、店長が一人、独立するんですよ。

吉沢 屋台から始められて、FC展開や暖簾分けをするまでになり、何だか感慨深いでしょう。会社を設立して代表者という立場になり、背負うものも大きくなったのではありませんか。

大西 ずっとその心構えでやってきたので、別段、変わりません。ただ、プレッシャーは感じますね。これだけの店舗数となるとそこに関わる人間の数も増え、皆に対する責任がありますので失敗はできませんから。食の安全性に対する信頼が揺らぐ今、特に衛生管理については、利益が出たら設備投資に回し、事業が拡大するのに伴ってより厳しく徹底させてきました。

吉沢 店舗が増えれば管理を行き届かせるのも大変だと思います。でも管理体制もしっかり築いておられることは、その結果としてお客様から支持されていることが何より物語っていますね。現在でも、社長ご自身が厨房に入られることはあるのですか。

大西 いえ、殆どありません。たまに店に顔を出すと、私のことを覚えて下さっているお客様に声をかけられることがあり、またスタッフに私の様子を聞いてこられる方もいるようで、気にかけて下さっているのが嬉しいですね。

吉沢 事業をここまで拡大された要因としては、やはり手作りの味が支持されたことが大きいと思いますが、一生懸命に切り盛りしてこられた社長を慕う方が多いこともあると思います。今後についてはどのようにお考えですか。

大西 これまでは兵庫県内で地域密着型店として出店してきましたが、これからは近畿圏全体への出店を目指します。地域によって好まれる味も変わるでしょうが、メニューを増やしつつあくまでも醤油味をメインとして展開したいですね。

吉沢 異業種への参入は考えておられないのですか。

大西 ありがたいことに、後押しして下さる方もいるのですが、私はこの世界しか知りません。異業種に参入するのであれば、らーめんとお好み焼をさらに追究して、らーめんとお好み焼では他の追随を許さない地位を確立したいですね。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

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19歳、屋台からスタートした飲食事業

▼23歳で最初の店を構え、大西社長が生まれたころにはすでに11もの店を経営していたという父親。そんな父親を見て育ち、社長は小学生のころにはすでに、自分の店を持つ将来を思い描いていた。少しでも早く修業に入りたく、高校を中退して飲食の世界に。しかし、バブル経済が崩壊し、父親の店の経営が悪化する。店の売却はおろか、自宅を手放さねばならない事態にまで発展した。商売人として生きてきた父親だから、その窮地を脱するための手段もまた、商売。父親と社長は共にらーめんの屋台を始める。しかし、一週間ほどで父親は社長に屋台を託す。この時、社長はまだ19歳だった。自分たちの手で作った八角形の屋台、その真ん中に立って必死にらーめんを作った。それが今や、兵庫県内に20以上の飲食店を経営する。「まさかここまで拡大できるとは思いもしませんでした」との言葉を幾度も発した社長。しかし、まだこれで終わりではない。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

対談を終えて

「若くして多店舗を展開されていた大西社長のお父様は、“見て覚えろ”というタイプだったそう。でもその方針のお陰で若いころから何でも経験でき、今の自分があると社長はおっしゃいます。そんなお父様はと言うと、らーめんの屋台を社長に託されはしたものの、実はまだ現役だそうです。今も一人、らーめんの屋台を出しておられるそうで、パワフルですよね!」(吉沢 京子さん・談)

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─会社概要

名  称

株式会社 八角/株式会社 エルエイト

住  所

兵庫県加古川市加古川町南備後45-1 アヴニール102

代表者名

代表取締役社長 大西 慎也

U R L

http://www.l-eight.co.jp

店  舗

■何もかんも手作り らーめん八角:播磨本店・小野店・太子店・加古川店・飾磨店・姫路御着店・イオン加西北条店・姫路総本店・広畑店

■昭和お好み焼劇場 うまいもん横丁:

姫路東店・小野店・明石西店・広畑店・高砂店・イオン加西北条店

■大衆食堂 ぱっぱ屋:別府店

■浪花大だこ たこの壺:イオン加西北条店

掲載誌

ザ・ヒューマン  2013年1月号

本記事の内容は、月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』の取材に基づいています。本記事及び掲載企業に関する紹介記事の著作権は国際通信社グループに帰属し、記事、画像等の無断転載を固くお断りします。