2023年02月13日更新
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(有)的石商店 対談取材記事

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卸業者が挑むものづくりの世界
熊本県産ゆるキャラで新たなるステージへ

観光みやげ品総合卸

有限会社 的石商店

代表取締役社長 的石 章男

【異業種ネット】月刊経営情報誌『トップフォーラム(Top Forum)』特別取材企画 掲載記事─略歴

■むつまじい家族の絆が事業展開の基盤、 同じ目標を見据えて

【異業種ネット】月刊経営情報誌『トップフォーラム(Top Forum)』特別取材企画 掲載記事─人ページ写真

ご家族も同席する中、和気藹々とした雰囲気で進む対談。

お互いの言葉を補い合うように話を進める一家に、「皆さん仲がいいですね」と言葉をかけると、「そうなんですよ」と的石社長は笑顔を見せた。

家族関係の希薄化が叫ばれて久しい日本で、なんの衒いも無くそう答えられるのが素晴らしい。

社長が、先代から受け継いだ卸業のみならず、新たにものづくりの分野に挑戦できたのも、このような強い絆があったからなのだろう。

同じ志を持つ家族という頼もしい味方と共に、社長は躍進を続けていく。


みやげ品の卸業を主業務とする『的石商店』。二代目社長である的石章男氏は、現在人気急上昇中の熊本県のゆるキャラ「くまモン」のグッズ開発というものづくりの分野に業務を拡大し、自社を新たなステージへと前進させている。ご家族と共に挑戦を続ける社長にお話を伺った。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『トップフォーラム(Top Forum)』特別取材企画 掲載記事─対談

吉沢 御社はおみやげ品の卸業を手がけておられるそうですね。創業されてどれぐらいになるのですか。

的石 創業者である父が当社を立ち上げてから約48年経ちます。父は母と結婚してすぐ、将来増えるだろう家族を養っていくために、実入りのある仕事をしようと独立を考えたのだとか。同じ業種で働く兄弟に仕入れ先のメーカーを紹介してもらい、卸業を始めたそうです。母も父を応援し共に働いていたので、両親が帰宅後も仕事をしているのは子どものころから当たり前。二人とも常に働いている印象がありましたね。

吉沢 ご両親は力を合わせて会社を創っていかれたのですね。そんなお二人の背中を見て、いつかは自分が後を継ごうと考えておられたのですか。

的石 長男として、幼いころから漠然と後継を意識していました。成長するに連れ他の職業にも興味を抱き始めましたが、やはりこの仕事がやりたいと、高校生のころには具体的に家業を継ぐことを考えるようになっていたんです。そうして学業修了と同時に入社し、2010年には正式に社長に就任。会社を先導していく立場となったことで、自分なりの方向性を定め、新しい挑戦も始めたんですよ。

吉沢 それはどのような?

的石 観光分野だけでなく、一般的な雑貨店にも商品を卸し始めました。また新たに、メーカーさんに対し商品の企画・提案も行うようになったんです。ものづくりの段階からかかわれるようになったので、仕事がより楽しくなりましたね。

吉沢 具体的にはどのような商品を開発されているのですか。

的石 熊本県のゆるキャラ、「くまモン」のキャラクターグッズを開発しています。熊本県は、“くまモン隊”を結成し、全国を回って「くまモン」のアピール活動を行ってくれている上、私たち業者は、関連グッズを作ってもキャラクターの使用料がいらないんですよ。お陰で多くの業者がたくさんの商品を世に出しています。当社もTシャツやマグネットなどのスタンダードなものから、扇子や膝掛けなどの季節ものまで、様々な用途や年齢層に合わせた商品を50種以上企画しているんですよ。また、当社の「くまモン」グッズは縮緬の布を使ったものが多いのですが、無駄がないよう350mの縮緬を一気に刷り、それを商品に合わせて加工しているんです。

吉沢 ものづくりの分野でも企業努力を重ねておられるのですね。商品を見せていただけますか。

的石 ええ、どうぞ。この「くまモン」の頭をそのままぬいぐるみ枕にした商品も私が提案したんです。手にとってご覧になって下さい。

吉沢 インパクトがありますね! 可愛らしいですし、柔らかくて手触りもよくて、癒されます。

的石 この商品を提案する際には、他では作ろうとしないものをと考えた結果、このような形になったんです。けれど、みやげ品と言っても長く使ってほしいですから、クオリティーは重視しています。ただ、熊本県から販売許可が出るのにちょっと時間がかかりましてね。「くまモン」の首だけの状態ですから、県庁内でも様々な意見があったようです(笑)。しかし最終的にはこのインパクトの強さが支持され、販売が許されました。

吉沢 そんなエピソードも含め、商品を考えていくのは楽しそうですね。

的石 ええ。メーカーさんに「こういう感じでできますか?」と提案し、一緒にものづくりをしていくのはとても楽しいです。

吉沢 熊本市街で色々な「くまモン」グッズが売られているのを見ましたが、可愛らしい商品が置いてあるだけで、町全体が楽しい雰囲気になるのを感じました。

的石 そうですね。私自身、当社が作った「くまモン」グッズを持っている方を見かけると嬉しくなりますし、商品企画をするようになって、お客様との距離が近くなった気がします。ただ、飛躍的に知名度の上がった「くまモン」も、全国的に見ればまだまだキャラクターグッズが行き渡っていない所があると思うので、当社の商品も含め「くまモン」グッズを全国に広めていきたいですね。そしてできれば海外にも「くまモン」を紹介していければと考えています。

吉沢 熊本のゆるキャラが世界へ飛び出すんですね! 楽しみです。では最後に、御社の今後の展望をお聞かせ下さい。

的石 グッズ製作によってものづくりの分野にも業務を広げることができたので、これをきっかけに新たな雑貨商品もプロデュースしていけたらと考えているんです。手にとっていただいた方に喜ばれ、長く愛されるような商品を作っていければと思います。家族一丸となりこれからも頑張っていきたいですね。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『トップフォーラム(Top Forum)』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

家族と共に紡ぐ会社の歴史──挑戦は続いていく

家族の成長と共にその歴史を重ねてきた『的石商店』。しかし先代社長である元一氏は、子どものころから大人しい性格だった章男氏が、大手企業も多い業界の中で上手く立ち回れるか不安もあったそう。しかし、そんな父の心配をよそに、二代目社長は事業を継続させるだけでなく、ゆるキャラグッズの企画・提案という新たな挑戦を始め、ものづくりの分野でも自社を成長に導いている。「息子はよくやってくれています」と語る元一氏の言葉からは、社長に対する信頼が垣間見えた。「くまモン」ブームの追い風もあり、躍進を続ける同社。的石一家が次の目標とするのは、長く愛されるような雑貨製品を新たに開発し、全国に向けて提供することだ。社長は「忙しくて家族で遊びに行く暇もありません」と話すが、長年共に歩んできた家族は、新たな挑戦に目を輝かせる。今後の同社の活躍が楽しみだ。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『トップフォーラム(Top Forum)』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

▲お父様であり取締役である元一氏(右端奥)、お母様の弘子さん(右端)、奥様の佐枝さん(左端)を交えての記念撮影

対談を終えて

「今後の夢について語る的石社長は本当に楽しそうで、ものづくりに対する熱い想いが窺えました。『朝から晩まで仕事があるのは当たり前だと思っていた』とも話す社長は、そのご両親から受け継いだ仕事に対する真面目さを土台にして、新しい事業も成功に導いてこられたのでしょう。これからも頑張って下さい!」(吉沢 京子さん・談)

【異業種ネット】月刊経営情報誌『トップフォーラム(Top Forum)』特別取材企画 掲載記事─会社概要

名  称

有限会社 的石商店

住  所

熊本県熊本市西区島崎7丁目11番12号

代表者名

代表取締役社長 的石 章男

掲載誌

トップフォーラム  2012年12月号

本記事の内容は、月刊経営情報誌『トップフォーラム』の取材に基づいています。本記事及び掲載企業に関する紹介記事の著作権は国際通信社グループに帰属し、記事、画像等の無断転載を固くお断りします。