手を借りたい時の介護事業所
困った人を助け、喜びを分かち合う
ショートステイ、デイサービスを利用者に提供している『笑美』。押樽社長の牽引する同社では、急に人の手が必要になった人、老々介護で困っている人の手助けとなり、利用者と自分の家族のように接している。施設内を常に温かな雰囲気で包む社長に“介護とは?”を伺った。
吉沢 介護事業所をスタートされるまでのいきさつから。
押樽 介護業界で働き始めた友人から「介護はあなたに合いそう」だと言われたこと、私の父が難病で亡くなり「もっと面倒を見てあげたかった」との思いがきっかけとなりました。2002年に介護ヘルパーの資格を取得し、特別養護老人ホームでの勤務を始めました。ずっと祖母に育てられ、お年寄りの方は好きでしたので、当初から自分に向いている仕事だと感じましたね。数年間働き、介護福祉士とケアマネージャーの資格も取った後、自ら事業所を立ち上げることを見据えて、様々な施設に修業に回りました。力をつけ、独立に踏み切る時には、お世話になった事業所の社長が大変喜んでくれまして。2011年にスタートを切ることができたのです。
吉沢 長年やってこられたということは肌に合ったお仕事だったのですね。
押樽 そうですね。デイサービスでは、息子の嫁に手伝ってもらっていまして、社名も嫁の名前をモチーフにしています。私の引退後は継いでもらいたいと考えているもので。ショートステイは様々な状況に合わせてご利用いただけるので、常に施設内には笑顔があるのですよ。
吉沢 利用者さんにとって居心地の良い場所になっているのですね。
押樽 ええ。特に今の時代は介護する側の高齢化も進んでいて、ご苦労されている方が多いですしね。お二人で暮らしておられる状況ですと、家を空けることもままなりませんから。お通夜などの急な用事ができた場合にもご利用いただけます。どんな状況でも力になれればと思っていますので、何かあれば、いつでもご相談いただきたいですね。利用者さんからは「困った時のふくろう頼み」と頼ってもらっています(笑)。
吉沢 地域から親しまれているのですね。何か特別にされていることなどは?
押樽 プロの方を、お呼びしたマッサージは皆さんにお喜びいただいています。心から寛いでもらいたいのでサービス提供は無償でさせてもらっています。
吉沢 そういった取り組みはどのような心がけのもとにあるのですか?
押樽 “面倒を見る”ということではなく“自然体のケア”を目指しています。お年を召されて体が不自由になっても、お互い人ということに変わりはないですから。自分にできないことは人の助けを借りる。普通のことなんです。多くの方と知り合うことができ、私自身も介護を通して多くを学ばせてもらっているので、本当にやって良かった仕事だと日々噛みしめています。
吉沢 今後のビジョンをお聞かせ下さい。
押樽 今以上に質の高いサービスの提供。多くの方に施設をご利用いただいているので、近場で新たに施設の立ち上げを考えています。フォローし合い、お互いに良い刺激になる関係が築ければ良いですね。そして今後状況が変わろうとも大切にしていくべきものは“笑顔”。いつも笑顔が絶えない施設であり続けたいと思います。
「『笑美』さんが地元住民の方々から愛されているのは社長の優しい人柄にあると思います。ボランティアや人助けという表現ではなく、本当にご家族のように接しておられる姿には感動しました」(吉沢 京子さん・談)
名 称 |
株式会社 笑美 |
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住 所 |
宮城県亘理郡亘理町逢隈田沢字鈴木堀59-4 |
代表者名 |
代表取締役 押樽 妙子 |
掲載誌 |
ザ・ヒューマン 2012年8月号 |
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