2023年02月13日更新
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(株)アウラクリーン 対談取材記事

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高齢者の活躍の場を広げ
誰もが住みよい社会を実現する

株式会社 アウラクリーン

代表取締役社長 兼 CEO 畑 陸夫

【異業種ネット】月刊経営情報誌『トップフォーラム(Top Forum)』特別取材企画 掲載記事─略歴

■企業の役割とは高齢者が活躍できるフィールドづくり

【異業種ネット】月刊経営情報誌『トップフォーラム(Top Forum)』特別取材企画 掲載記事─人ページ写真

「建物ならば経年劣化と言われますが、人は違う。劣化ではなく、価値が出てくるんです」。それが「経年価値」だ、と畑社長は言う。

年を重ねて身についた多様な知恵。人生を経て生まれた細やかな気配り。そんな高齢者だからこそ持つ貴重な特質は、社会全体が共有すべき資産だと力強く語る。

そしてさらに言葉を続ける。その資産を活用することこそが企業の役割だ、と。現在、高齢者が活躍できる場はまだまだ狭い。その中にあって積極的に高齢者を雇用し、社会に新しい風を入れようと挑む社長に迫った。


【足跡】 1944年大阪市出身。同志社大学を卒業後は建設会社に入社し、様々な経験を積む。そして、1999年にはグループ会社の取締役社長に。定年まで勤めた後、『アウラクリーン』を始動させた。


高齢化が進み、労働人口の減少が叫ばれる日本。これからどのように社会を維持していくかという問題に対して、高齢者の労働力の活用が考えられている。そのモデルケースとも言えるのが、2009年設立の『アウラクリーン』。同社では、何とスタッフ全員が60歳以上なのだ。マンション・ビルの清掃業務を中心に、まだまだ現役という高齢者たちが日々活躍している。本日は畑社長のもとを訪問し、事業にかける意気込みを伺った。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『トップフォーラム(Top Forum)』特別取材企画 掲載記事─対談

島田 こちらでは年配のスタッフの方がたくさん働いておられるそうですね。『高齢・障害者雇用支援機構』から「職域拡大等計画モデル企業」としての認定を受けておられるとか。

畑 ええ。当社は60歳以上の高齢者の方々、特に65歳以上を優先的に採用し、75歳を定年と設定しております。ですから、現在所属する約100名のスタッフ全員が60歳以上。一人ひとりが生き生きと働いてくれています。行政からも高齢者雇用に積極的な会社として評価していただいており、高齢社会を迎えた今、担うべき役割は益々大きくなっていると実感している次第です。

島田 業務内容としてはどんなことを?

畑 定年前に代表職を務めていた会社とのご縁があり、マンション・ビルの清掃業務や管理業務、清掃用品の販売、建物外観の美観維持のための特別巡回業務などを請け負っています。これは私見になりますが、人生経験豊富な高齢者にとって、人が集って暮らす場は強みを発揮できる最高のステージだと思うのです。年齢を重ねてきた分、多岐にわたる経験をお持ちで、細かいところまで気を配れますので、仕事も丁寧で痒いところまで手が届く充実ぶり。また何か問題が起こっても、四角四面ではなく、人情の機微なども察しながら臨機応変に対応できるでしょう。高齢者だからこそ活躍できる舞台だと思っているんです。

島田 なるほど。まさに、高齢社会における先進事例というわけですね。ところで、畑社長はどういったきっかけで高齢者雇用に関心をお持ちになられたのでしょうか。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『トップフォーラム(Top Forum)』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

畑 起業する前、人事の仕事に携わっていたことがありまして、その中で「まだまだ働けるのに定年で辞めざるを得ないのが残念だ」という声をたくさん耳にしてきたのです。そうこうしているうちに私も定年を迎える時期となり、その無念さを身をもって実感したのですよ。今の時代であれば60代、70代でもパワフルな人はたくさんいる。にもかかわらず、年齢を理由に働く場から閉めだされてしまうのは実にもったいないと感じました。それで、定年退職した仲間に声をかけて当社を立ち上げたんです。「『高齢者』が集まったら、こんな事業が手がけられるということを皆に見せてやろうじゃないか」と(笑)。

島田 反骨心旺盛でいらっしゃる。そんな社長の負けん気のお陰で、たくさんの方が働く機会を得られたわけですね。

畑 多方面からご協力いただき、雇用創出という面ではある程度の貢献ができていると思います。経営者としてはもう一歩踏み込んで、高齢者の能力をさらに引き出すため、皆が気持ちよく働ける環境を実現したい。そのため、私共では魅力ある清掃、魅せる(見せる)清掃を行動指針にしており、明るい雰囲気の中、風通しのいい労働環境の維持向上に努めています。加えて健康保険なども完備し、福利厚生にも力を入れているんですよ。もちろん経営面から見れば負担は大きいですが、スタッフに安心感や安堵感を提供することも企業としての務めだと思っているんです。特に健康保険はスタッフに喜んでもらえて、私としても嬉しく感じております。

島田 雇用創出と社会福祉の両面で貢献されているんですね。さて、順調な歩みを進めておられる御社の、今後の展望をお聞かせ下さい。

畑 高齢者と一口に言っても、様々な経験を積んできた方がおられます。それぞれに持っているノウハウや資格は異なりますから、今後は清掃業務などに留まらず、より複雑な業務もお任せできるように、もっと幅広い仕事を請け負っていければと考えています。一人ひとりがこれまでに培ってきたもの、いわば「経年価値」を生かせる事業展開を目指したいですね。

島田 経年価値ですか。

畑 ええ。物は時間を経れば傷み損なわれてしまうでしょう。それが経年劣化と言われるものです。しかし人は時間を経るごとに深みや味わいを増し、どんどん向上していくんです。私はそれを経年価値と呼んでいるんですよ。そして、そうした価値が活用できる場を具現することが、我々企業の役目だとも考えているのです。私も68歳になりますので、スタッフの皆と一緒に頑張りたいと思っています。怯むことなくチャレンジを重ね、芽が出そうな事業を探して大切に育てていきたいですね。

島田 社長のハツラツとしたお姿は、「年を重ねてもまだまだ現役」という何よりの証ですね。お身体に気をつけて頑張って下さい!

Column

人材の管理は、経営者が頭を痛める問題の一つだ。様々な人生を経てきた多様な高齢者を、畑社長はどのようにまとめているのだろうか。それを伺うと、「まずは相手の立場に立つこと。それから役職に関係なく感謝し、礼節を保つことが大事です」との答えが返ってきた。何よりもまず相手の立場に立つ──違いを尊重して相手を思いやるというシンプルな姿勢こそが、人生の先輩たる高齢者の心にも素直に響き、職場に不可欠な「和」を生んでくれるというのだ。人として当たり前と言われるかもしれないが、どれほどの経営者が実践できるだろう。それを社長自ら率先して実践しているのが、『アウラクリーン』だ。人材管理に頭を悩ませる経営者は、畑社長の姿勢から学ぶことが多いのではないだろうか。

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対談を終えて

「とっても元気でいらっしゃる畑社長。伺いましたら、奥様が薬剤師でいらっしゃるそうです。そのお陰で、お食事をはじめ健康管理は万全とのこと。頼もしいサポート役がおられると聞いて、その若々しさの秘密が少し分かった気がしました。年を重ね、益々ご活躍が期待される畑社長。今後の社長と会社の展開を、非常に楽しみにしております」(島田 陽子さん・談)

【異業種ネット】月刊経営情報誌『トップフォーラム(Top Forum)』特別取材企画 掲載記事─会社概要

名  称

株式会社 アウラクリーン

住  所

【本社】

大阪府大阪市東成区東中本2丁目3番29号

代表者名

代表取締役社長 兼 CEO 畑 陸夫

U R L

http://www.auraclean.co.jp

掲載誌

トップフォーラム  2012年8月号

本記事の内容は、月刊経営情報誌『トップフォーラム』の取材に基づいています。本記事及び掲載企業に関する紹介記事の著作権は国際通信社グループに帰属し、記事、画像等の無断転載を固くお断りします。