業界のパイオニアとして
廃食用油の適正回収を促し
環境保全の要を担う
(全国油脂事業協同組合連合会 青年部会長)
東海三県および静岡をエリアに外食チェーンやコンビニから使用済み油を回収し、自社で精製したものを原料として販売している『中川油脂商店』。まだリサイクルという言葉もなかったころから積極的に取り組んできた業界のパイオニアだ。同社の二代目・中川社長にお話を伺った。
布川 まずは御社の沿革から。
中川 父親が当社を創業し、様々な事業を展開する中で、食用の廃油を回収してリサイクルする事業を立ち上げ、主要業務へと移行させてきました。しばらく個人事業者として事業を展開してきましたが、1987年に法人化したそうです。
布川 社長ご自身は学業を終えられてすぐにこちらに入られたのですか。
中川 大学卒業後、すぐに当社に入社し、10年前に代替わりしました。入社当時は現在ほどリサイクルは浸透していませんでしたし、正直、廃油を回収する仕事によいイメージを持っていなかったのです。しかし、環境問題が深刻になっていくうち、限りある資源を有効に使うには、廃油のリサイクルは大いに役立っていることを認識し、今では環境保全に貢献できる仕事として誇りとやり甲斐を持って取り組んでいます。
布川 では、具体的な業務内容を。
中川 外食チェーンやコンビニエンスストアなどの店舗から廃食用油を回収し、自社で精製してリサイクル原料として販売しています。それらは飼料用油脂として原料となりますし、その他にも石けんや塗料の原料となる工業用油脂など、幅広い分野で再利用されています。さらに、最近ではバイオディーゼルの燃料にも活用されていますね。こういった取り組みは随分前から行われていたのですが、ここ数年で技術が飛躍的に進歩しており、次世代エネルギーとしての期待も高まっています。
布川 いかに先代が先見の明をお持ちだったのかが分かりますね。
中川 ええ。また、先代からは人と人とのつながりを大切にする姿勢を学びました。私はかつて、少しでも高値で買ってくれる取引先ばかり探していたのです。しかし、先代はそんな私を目先の利益ではなく、人との絆を優先しなければ事業を継続することなどできないと諭して下さいました。その教えを守ってきたからこそ、先代から事業を引き継いだ時も、周囲の皆さんは以前と変わりなく当社に仕事を任せて下さったのだと思います。改めて、先代の言葉の重みを実感しています。
布川 最後に展望について。
中川 人を増やし、企業としての規模を大きくしたいという思いはあります。しかし、それ以上にお客様へのサービス内容の充実を図っていきたい。また、私は『全国油脂事業協同組合連合会』で青年部の会長を務めており、業界全体で廃食用油リサイクル事業の推進に取り組んでおります。廃食用油を適正に処理すれば、可能性はさらに高まることを広く認知していただけるよう、全力を尽くします。
名 称 |
有限会社 中川油脂商店 |
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住 所 |
愛知県名古屋市中川区上高畑1丁目215 |
代表者名 |
代表取締役 中川 太 |
掲載誌 |
リーダーズ・アイ 2012年7月号 |
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