月刊経営情報雑誌「マスターズ（MASTERS）」（国際通信社）、「アンカー（ANCHOR）」（報道通信社）、「センチュリー（CENTURY）」（USPマネジメント）対談取材記事掲載の経営者が参加する国際通信社グループ運営の異業種ネット

渡嘉敷　とても立派なトラックですね!!大きな乗り物に憧れを持つ男の子は多いですが、福嶋社長もやはり子どものころからトラックが好きだったのですか。

福嶋（徹）　ええ。映画の「トラック野郎」シリーズなんか楽しんで観てましたね（笑）。そのトラックに初めて乗ったのは20歳の時。高校卒業後、新潟から埼玉に出てきてガソリンスタンドで働いていたのですが、給油に来るトラックを見ていると、どうしても自分で運転したくなりまして。思い切って中古のトラックを購入し、個人事業として運送業を始めました。当時は川口市名産の植木を長距離運送していたのですが、その後1年ほどして弟が上京してきたので、重機を扱う知人の会社に就職させ、それが縁で重機の運搬へとシフトしていったのです。そのころ、私たち兄弟にはある考えがありました。というのも、長男である私はいずれ故郷に戻らねばならず、私の仕事が軌道に乗れば、弟に後を譲る計画だったんです。ところが、弟はその半年ほど後に、事故で亡くなってしまいました。

渡嘉敷　……そうでしたか。さぞ、おつらかったことと心中お察し致します。

福嶋（徹）　ええ。目の前が真っ暗になりましたよ。ですが、塞ぎ込む私など弟も見たくないでしょうから、つらい気持ちを押し殺して仕事に復帰しました。ただ、やはり親との約束がありましたので、3年ほどして一旦帰郷。再び個人で運送業を始めようと思ったのですが、田舎では中々仕事が無く、仕方なくトラックを友人に譲り、地元の運送会社に就職したのです。その時点では、考えていた人生とは随分違う道を歩むことになりましたが、そのお陰で素晴らしいこともありました。妻との出会いに恵まれたのです。

福嶋（三）　当時の主人の職場に、私が営業に行っていたんです。一生懸命に荷下ろしをしている姿を見て、私が一目惚れしまして（笑）。そのうち親しくなり、深い話をするようになったころに、主人が「会社を辞めて東京に行く」と言うので、私が後から追いかけてきたんですよ。

渡嘉敷　おぉ、ドラマチック！

福嶋（徹）　30歳となり、もう一度こちらで勝負をしたくなったんです。ただ、最初の半年間は全く利益が無く、それから5年ほどは自転車操業。あの時期は、妻にも本当に苦労をかけましたね。

福嶋（三）　確かに毎日大変でしたが、諦めずに続けてきたからこそ今があるのだと思います。今は二人で「きっと勉強する時期だったんだ」って、苦労話として笑って振り返っていますよ。

福嶋（徹）　お陰様で、現在は私共を含めて8名にまで人員が増えましたし、協力会社とのつながりも深まり、事業の幅も広がりました。皆様にはお力添えをいただいており、本当に感謝しています。

渡嘉敷　それだけお忙しいということは、奥様もトラックに乗られて？

福嶋（三）　いえいえ、私は事務方として、配車を全般的に行っている他、ドライバーとの連絡やお客様との交渉、協力会社とのやり取りなどを担当しています。この仕事に必要なのは判断力。依頼が来た時に即決しないと、僅か1～2分お待たせしただけで仕事が逃げてしまうこともありますからね。ですから、自社と協力会社の運行状況を常に頭の中に入れておき、ためらわずに依頼にお応えすることが必須。その他、運賃や時間の交渉もしなければなりませんから、お客様との信頼関係が無ければ務まらない重要な役目だと心得ています。

渡嘉敷　まさしく、会社の要ですね！

福嶋（徹）　そうなんです。元々は保険外交員だったのですが、忙しくなり始めたころから車輌手配など全て任せてみたところ、その手腕に私が驚きました（笑）。本当に妻の存在にはいつも感謝していますし、苦労をかけた分これからは孝行したいと考えています。

福嶋（三）　今でも充分優しくしてもらっています（笑）。主人は口下手ですが、いつもスタッフや私のことを考えてくれており、その気持ちが伝わってくるのでもっと頑張ろうと思えるんですよ。

渡嘉敷　本当に仲睦まじくて羨ましい限りです（笑）。さぞ、社内の環境もアットホームなのでしょうね。

福嶋（三）　はい。主人は“社長”というよりも“同志”といった感じでスタッフと接しております。一人ひとりの意思を尊重し、皆で一緒に成長していこうという考えを持っているからこそ周りが付いてきてくれるのでしょう。駆け出しの時期から働いてくれているスタッフも少なくなく、今はそうした初期のメンバーが後進を育ててくれているんですよ。

福嶋（徹）　皆、真面目でチームワークを大事にする者ばかり。人材にも恵まれたからこそ、今の当社があると思っています。今後は、スタッフや協力会社にも恩返しができるよう、益々攻めの姿勢を貫いて仕事に励んでいく所存です。