変化を恐れず、絶えず進化を遂げ、
時代にマッチした総合物流企業を目指す
─グループ会社─
■人との出会いを財産に、自分自身、そして会社を次なるステージへと導く
元商社マンらしいスマートさを漂わせながらも、人を遠ざけるような取っつきにくさは全くない。むしろ、自ら相手に近寄って気さくに話しかけ、柔和な笑顔と軽妙な話術で相手を楽しませる。
「人との出会いが好きなだけですよ」。
そう言って古川社長は笑うが、その姿勢こそが、社長が人を惹きつけてやまない最大の要因。事実、記者も出会ったその瞬間、社長に魅了された。
「人とのつながりは、自分の成長の基盤となる。これからもたくさんの人と出会っていきたい」。
笑顔でそう語る社長は、今後もその豊かな人柄で、自身、そして会社を進化させていくに違いない。
【足跡】 父親の仕事の関係から幼少時代をアメリカで過ごし、12歳の時に帰国。広島にて青春時代を過ごす。そして、大学卒業後は商社に就職。約20年間の勤務を経て家業に入り、しばらく経験を積んだ後、現職に就任した。
1925年創業。現在は西日本を活動基盤とする総合物流企業として事業を展開している『ゲイソー・ロジスティクス/芸備倉庫』。ともすれば保守的とも言われる業界にあって、同社は常に攻めの姿勢を貫き、進化を遂げてきた。本日は、そんな同社を女優の吉沢京子さんが訪問。商社時代の経験を生かして、創業87年の歴史を数える老舗をさらなる発展へと導く古川社長にお話を伺った。
古川 実は私、吉沢さんの大ファンなんです! 特にテレビドラマの『柔道一直線』は毎回楽しみに見ていました。今日はお会いできて本当に光栄です。
吉沢 そのように言っていただけるなんてこちらこそ光栄です! ドラマが放映されたのは1970年頃。懐かしいですね。
古川 当時、私は12歳で、ちょうどアメリカから帰国したばかりでした。父の仕事の関係で生後間もなくアメリカに渡った私にとって、『柔道一直線』は日本語や日本文化を学ぶ恰好の教材。大きな影響を受け、中学校では柔道部に入部したんです(笑)。
吉沢 まあ(笑)。ところで、御社は古川社長のお祖父様が創業されたと伺っていたのですが、当時お父様は家業ではなくアメリカで働いておられたのですね。
古川 そうなんです。父は、学業修了後しばらく別の世界で経験を重ね、それから家業に入りました。実は私も父同様、最初は別の業界に進みましてね。20年ほど商社に勤め、勤務時代は世界中を飛び回っていました。
吉沢 世界を股に掛けて活躍されていたのですね! それでも、やはりいずれは家業を継ごうとお考えだったのですか。
古川 いいえ。父には昔から「家業はもういいから」と言われていましたし、私自身もずっと商社で働くつもりでした。しかし、事情というものはやはり変わっていくもので。ある時、父から「もうそろそろ……」と言われたんです。そして悩みに悩んだ末に「これも宿命か」と覚悟を決め、家業に入りました。
吉沢 お父様も喜ばれたでしょう。それに社長が商社時代に培った経験は、御社にとって大きなプラスに働いたのでは?
古川 それはどうか分かりませんが、外から入ってきた人間だからこそ見えるものは確かにあります。事実、私は商社時代の経験から、当社の様々な部分に違和感を覚えました。そこで、それを問題提起し、皆さんに納得していただきながら改革を進めていったのです。
吉沢 たとえば、どういった改革を?
古川 21世紀に入って以降、時代は急激な早さで変化を遂げております。その中で当社は、企業として守るべき伝統を維持しながらも、新時代の要請に的確に応えるために「顧客視点」と「効率経営」の両面から現状を見つめ直し、抜本的な選択と集中を断行いたしました。具体的には、2005年4月、『芸備倉庫』の運送部門であった「ゲイソー運輸」に会社の流通型ビジネスを集約。より高度な総合物流を果たすべく体制を一新し、社名も『ゲイソー・ロジスティクス』へと改めました。同時に、事業環境によりマッチした最新型の全天候型物流センターを新設し、お客様のニーズにより機動的に対応することを可能としたのです。
吉沢 時代の流れを的確に見極めながら着実に会社を導いておられるのですね。
古川 いつも先を追う商社にとって、変化は日常でした。その商社時代に培ったDNA──何ごとにも動じず、常に新しいことに取り組んでいく姿勢は、ビジネスにおける土台として私の中に根付いているんです。既存の形にこだわることなく、関係者の方々と議論を交わしながら新たな事業や会社の方向性を模索し、周囲の環境に応じて時代に即した企業を築いていきたいと考えています。
吉沢 スピードが求められる今の時代にあって、その柔軟性は御社の何よりの強みと言えそうです。
古川 ありがとうございます。それともう一つ。事業を進める上では、周囲とのネットワークも重要です。特に、我々のような中小企業、とりわけ物流会社の業務は、自社で完結できるものではありません。だからこそ私は周囲とのつながりを大切にし、人付き合い、仲間作りにも積極的に取り組んでいます。そのお陰で同業者とのネットワークにも恵まれ、収納ビジネス大手のFC事業にも携わらせてもらえるようになりました。仲間との連携から新しいビジネスの芽が生まれることもありますし、物流はどの業界ともつながることができる仕事ですから、今後も可能性を限定せず、積極的に業務の幅を広げていきたいですね。
吉沢 社長でしたらきっと実現できると思います! では最後に、将来の展望を。
古川 月並みではありますが、事業を通じて社会に貢献し、皆様から「この会社があってよかった」と思われる企業にしていきたいですね。そして伝統と革新を融合し、創業87年の実績と信用をさらに積み上げていければと思います。
周囲と協調し、会社を発展に導く
商社から物流業界に転身した古川社長にとって、新天地での仕事は戸惑うことばかりであった。無から有を生み出す商社の仕事に対し、物流の仕事は既に存在するものを取り扱う、まさに180度方向性が違うもの。その特性から保守的な姿勢も根強く、当初は社長のことをよく思わない人も少なくなかったという。ただ、新参者とは言え後継者。自らの考えを押しつけることもできただろう。だが社長はそれをしなかった。社長はまず現場に入り、社員のほとんど全員と日夜、侃々諤々議論を重ねた。そして、その中で自分が感じたことを問題提起し、改革を進めていったのである。そうして創業87年の老舗企業を発展へと導いたのだ。
「自分の色を出すまで10年かかりました」。そう言って笑う社長。しかし、その重ねた歳月は社長の篤実な人柄を示す何よりの証拠。社長は今後も周囲との輪を重んじながら、会社を成長に導いていく構えだ。
「優しい笑顔が印象的な古川社長。語り口調もとても柔らかで、お話をさせていただいているうちに自然と惹きつけられてしまいました。そんな社長だからこそ、周囲にもたくさんの人が集まるのでしょうね。その豊かな人柄と素晴らしい経営手腕で、会社をさらなる成長へと導いて下さい!」(吉沢 京子さん・談)
名 称 |
ゲイソー・ロジスティクス 株式会社 |
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住 所 |
広島県東広島市志和町志和東895-296 |
【西部営業所】 広島県広島市西区草津港2丁目3番25号 TEL 082-277-6822 |
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代表者名 |
代表取締役社長 古川 浩延 |
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名 称 |
芸備倉庫 株式会社 |
住 所 |
広島県広島市南区元宇品町2番11号 |
名 称 |
押入れ産業 株式会社 |
住 所 |
東京都港区新橋6-16-10 御成門BNビル9階 |
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掲載誌 |
トップフォーラム 2012年6月号 |
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