2023年02月13日更新
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(株)誠真工業 対談取材記事

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職人の誇りを持つ仲間と共に
確かな技を駆使した現場を積み重ね
建設業界の未来を塗り変えていく

防水工事 シーリング 外壁補修工事

株式会社 誠真工業

代表取締役・1級ウレタン防水施工技能士

宮本 貴嗣

専務取締役・樹脂接着材注入技能士

宮本 義勝

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─略歴

ゼネコンなどの下請けとして、防水工事やシーリング工事を手掛ける『(株)誠真工業』。確かな技術で経年による建築物の劣化を補修・補強し、長く安心して暮らせる住まいづくりに貢献してきた。自らの仕事に高い誇りを持ち、誠実な仕事を貫く同社を竹原慎二氏が訪ねた。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─対談

竹原 早速ですが、社長の歩みから伺います。どういった経緯で防水の仕事を?

宮本(貴) 私は10代半ばで社会に出たのですが、若くてやんちゃだったこともあり、なかなか就ける仕事がなかったんです。最初は土木の仕事をし、その後に今の防水工事の世界に入りました。10代のころは遊ぶ方にばかり力を入れていたのですが、ちょうど20歳になった時、お世話になっていた社長に「将来はどうするつもりなんだ」と聞かれたんです。そこで、流れが変わりました。「いつかはトップに立ちたいと思っている」と正直に答えたところ、「この業界で頑張れば独立も可能だぞ」と言ってもらえて。それから一気に熱が入り、仕事に真剣に打ち込むようになりました。その後、21歳で結婚し、5年前に独立したんです。

竹原 トップを目指す若者は数多くいますが、実現に至る人は少ないものです。社長は見事に夢を叶えられた訳ですね。

宮本(貴) ただ、スタート時にはかなり苦労しました。経営の知識がないばかりに周囲の先輩方にも心配をおかけするような状態だったんです。そこで、コンサルタント会社の営業マンとして頭角を現していた弟に声をかけ、専務として一緒に働いてくれないかと頼みました。

竹原 ほう。そうでしたか。

宮本(義) 実は私も防水工事の職人として勤めた経験があったのです。しかし結婚を機に職人を辞め、営業職という道を選びました。コンサルタント会社に転職し、営業として経験を積んでいたのです。お陰様で自分のスキルにも自信が付き、独立して会社を立ち上げようかと思っていた矢先に、兄から声をかけられました。

竹原 職人肌の社長と、営業に強い専務。良いコンビですね。

宮本(貴) そう思います。私はやはり職人として修業を積んできましたから、技に対して厳格ですし、仕上がりにも強いこだわりがあります。一方弟は私の思いを理解しつつも、いつも客観的な意見をくれる。本当に助けられています。

竹原 なるほど。詳しくお聞かせ下さい。

宮本(貴) これは永遠の課題なのかもしれませんが、技術で勝負したい下請けの職人と、コスト重視の元請けの間にはどうしても意識の違いが生まれます。特に今は防水材の質が良くなり、多少粗い仕上げでもある程度は防水などの機能を果たしてくれるため、「クレームにならないなら少しでも安く仕上げたい」という考えの元請けは、一流の職人を敬遠し、未熟でも安い業者を使う場合があるんです。しかし職人として生きてきた私は、どうしてもその風潮に馴染めませんでした。職人ならば、誰しもが100パーセント以上の仕事を目指すもの。そこに仕事の面白みがあり、職人としての醍醐味があるからです。ある程度仕事をいただけて経営が軌道に乗るようになったものの、「“そこそこ”の仕事でいい」という方針のもと、経験豊富で皆から慕われる職人、あるいは頑固でも自分の腕に自信を持つ職人がないがしろにされ弾かれていく現実に、かなり悩んだ時期がありました。

竹原 私としては、一本気な社長の意見に肩入れしたくなりますね。

宮本(義) ちょうど震災の影響なのか仕事そのものが増えている時期でしたが、社長は結局、「100パーセントの仕事がしたいから」とあえて受ける仕事を減らしたのです。中途半端な仕上がりで売上を増やすよりも、仮に評価されなくても、職人として納得できる現場を積み重ねようと決心したのですね。その社長の思いは、私にも納得できるものでした。ただ、せっかく当社に声をかけて下さったお客様には申し訳ない。そこで、私は同業者に声をかけ、今までにない新しい企業体制を築こうと考えたのです。

竹原 とおっしゃいますと?

宮本(義) 規模の大小を問わず、確かな腕を持つ会社約28社と連携を取り、仕事を協力して請け負いました。そうすることで優秀な職人に光が当たると同時に、多くの会社の窓口となれば、お客様に「求められる」存在になれると思ったんです。

竹原 「求められる」存在ですか。

宮本(義) はい。今は施工店も施工品質管理、現場管理、そして一括受注ができる会社が必要だと考えています。私どもがその役割を負い、「求められる」会社として元請けに認められ対等に近い関係を築ければ、社長の考える技術の重要性についてもより一層PRしていけると考えました。──長く営業をしていた立場から言えば、発注者側も受注者側も、何が必要とされているのか、どうすれば状況を変えていけるのかを、自分たち自身で考える姿勢が足りないのではないか。そう感じていた部分もあったのです。

宮本(貴) 元請けのニーズを踏まえて行動し、現状を変えていこうという専務の指摘は、私にとっても大きな刺激になりました。当社は今後、現場へライブカメラを導入し、元請けの監理業務の負担を軽減することも検討しています。目標を低く設定して馴れ合うのではなく、互いに努力していることを認め合い信頼関係を築ければ、建設業界の状況を変えられるのではないか。そう期待しているんです。生意気なことを言いましたが、目標を単なるきれい事や夢物語で終わらせないために、結果を出したいと思っています。これからも、仕事に大きな夢を持って、諦めることなくチャレンジし続けますよ。

竹原 今後のご活躍が、実に楽しみです!

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

▲格闘技ファンでもある宮本社長。ボクシングや空手の話でも盛り上がった

 

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

▲『(株)誠真工業』を力強く支えるスタッフの皆様

「常に120パーセントの仕事をしたい」──職人としての心意気を貫く

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

▼「今は、70パーセントの仕事も100パーセントの仕事も同じように評価される。それが悔しいんです」。宮本社長は、現状に対するやりきれない思いをそう口にした。コスト効率だけが求められ、完成度が軽視される風潮、そして「クレームを出さなければいい」という価値観には、どうしても馴染めないのだと語る。「職人たるもの、常に120パーセントを目指せ」──そんな信念を持つ先輩たちに叱られながら育てられた記憶が、安易な妥協を許さないのだ。技への自負と厳しい現実が、深い悩みをもたらした。それでも、社長は常に前を見て仕事をしている。「直接の顧客であるゼネコンさんにはなかなか評価されないかもしれません。しかし、建物に入居されるお客様には、長く、快適に住んでもらえるはず」。そう信じ、常に100パーセント、120パーセントの仕事を完遂していると笑顔を見せた。胸のうちには、いつか業界を変えられるかもしれないという期待もある。職人としての誇りを曲げず、チャレンジを続ける社長。語ってくれた夢が、いつか現実となる日が待ち遠しい。

対談を終えて

「大変“熱い男”という印象の宮本社長。話にも熱が入り、楽しい対談となりました。社長が抱く業界の現状に対する葛藤には深く共感できましたし、同時に、違った目線から事態を見つめ展望を拓こうとする専務の存在も素晴らしいと感じます。ご兄弟でこれからどんな展開をしていかれるのか、楽しみでなりません。私も陰ながら応援していますよ!」(竹原 慎二さん・談)

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─会社概要

名  称

株式会社 誠真工業

住  所

千葉県八千代市大和田221-52

代表者名

代表取締役・1級ウレタン防水施工技能士 宮本 貴嗣

掲載誌

ザ・ヒューマン  2012年4月号

本記事の内容は、月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』の取材に基づいています。本記事及び掲載企業に関する紹介記事の著作権は国際通信社グループに帰属し、記事、画像等の無断転載を固くお断りします。