2023年02月13日更新
全登録者数 860件 (最新月度登録者数 0件)
トップページ 栄幸食品株式会社 対談取材記事

栄幸食品株式会社 対談取材記事

名刺
動画

苦戦する遊技業界で
関係各社と共に栄える方法を
自社ブランドの開発に見出す

栄幸食品 株式会社

代表取締役 高垣 康雄

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─略歴

「売り手の売りたいものではなく、買い手目線で共に栄えたい」

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─人ページ写真

すべてのステークホルダー──取引先や顧客といった利害関係者が共に恩恵を蒙り発展する「Win-Winの関係」を大切にするのが高垣社長だ。

大手ブランドが牽引する分野にあってパイオニア的存在になりたいとスタート。「売り手の売りたいものではなく、買い手目線の商品開発」を実践し、目指すのは、先駆的であり、尚かつ唯一無二の存在だ。

調和を保ちながら互いが納得できる仕事を模索し、そして共に前進している。そうしてタッグを組む取引先は、設立からわずか約1年で100社を数えるまでに。

“共栄”を心がける姿勢が支持されている何よりの証拠だろう。


【足跡】 大阪府出身。大手企業経営者の著書に感銘を受け、不動産・外食事業などを手掛けるそちらの会社に18歳で入社した。そして必死に働き、社長賞・新人賞・年間コンテスト1位を獲得するも、2年ほど経ったころに会社が倒産の憂き目に遭う。そして、パチンコ・スロット業界の近畿圏内では最大手の『延田グループ』に入社。11年間勤める中で経験を積んだ後、今度はお菓子メーカーに転職してノウハウを得る。約1年前に独立を果たし、『栄幸食品』を設立した。


不況の煽りを受けて、業界を問わず経費削減が掲げられる昨今。それは遊技業界においても例外ではなく、景品の低価格化が進んでいる。そんな時代のニーズに応じた商品を開発し、業績を伸ばしているのが景品用お菓子の企画・提案を手掛ける『栄幸食品』だ。本日は村野武範氏が高垣社長のもとを訪問。社長の経営方針について伺った。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─対談

村野 『栄幸食品』さんは食品の中でも特殊な商品を扱っておられるそうですね。

高垣 遊技場向け景品用お菓子を企画・提案しています。私はもともと、ここ大阪を中心に関西で50以上のパチンコ・スロット店を展開する『延田グループ』に、11年間に亘って勤めていました。そちらで遊技業界のいろはを学び、今度はお菓子メーカーに転職しましてね。菓子業界はご存じの通り、『明治』や『森永』、『ロッテ』をはじめとする有名7大ブランドがパイオニア的存在として引っ張っておられ、この遊技業界においてもやはり強く、他社の追随を許しません。その中で、新しいことを打ち出し、パイオニア的存在となる会社がなぜ出てこないのか──いえ、どうすれば先駆者となれるのかを私は模索することにしたのです。そうして行き着いた答えが、「お客様とタイアップを図って利益を創出すること」でした。

村野 それは、つまり?

高垣 不況下にあって他業界同様に遊技業界も冷え込んでおり、経費削減の一環として景品の低価格化が進んでいるんです。その点、先程の7大ブランドは主力ではありますが、景品コストを考えると少し高い。そこで、私共は自社ブランドを立ち上げて低価格品を開発することにしました。遊技場としてはお客様満足度を考えるとブランド品を景品として出したいところ。そこに、どのような商品が良いかを一緒に考えて開発した、私共の低価格品も上手く採り入れることで経費を削減しませんか、という提案を得意先である代理店を通して遊技場側にしているのですよ。

村野 なるほど、そういうことですか。提供先の事情を汲み取った上で商品を開発するのが社長のやり方だ、と。

高垣 ええ。これまで長くこの業界で営業してこられた同業者がなぜブランドに勝てなかったのか──それは自分たちが売りたい商品を売っていたからだと私は考えます。実際に景品として扱う遊技場とタイアップするというこの手法で、当社はまだ設立から約1年の小さな会社ですが、初年度だけで3億円の売り上げを計上しました。これは私の商品開発への想いに賛同してくれるお客様、協力してくれる製造工場などに恵まれた結果でもあります。取り引きさせていただいているお客様は徐々に増え、今では100社以上を数えます。

村野 賛同者が多いということは、景気が不安定な中で生き残っていく術を打ち出してくれる社長のような人の登場を、みんなが待っていたのかもしれませんね。商品開発はどのように進めておいでで?

高垣 まず、「この内容量で、この価格にならないだろうか」という交渉を製造元と行います。そこで、例えば生産ロットやラインを増やすという案が出たとしましょう。増やせばもちろん人件費など経費もかかるため、製造したのに売れないという事態は避けねばなりませんから、当社の販売力が問われます。売れるという確約があれば話は別ですが、必ずしもそうではありませんから、どこか削れるところはないか、当社でできることはないかを考え、製造元に迷惑がかからないやり方を模索するんです。商品開発においては、エンドユーザーのご意見を参考にすることもありますね。

村野 つまり、景品をもらう方々ですか。

高垣 はい。「たかが景品、されど景品」で、食品ですから、美味しくなければお客様に喜んでもらえず、商品への満足度が低ければ景品として扱う店舗の人気にも影響が出るでしょう。自社ブランドを立ち上げて商品開発に乗り出したのは、経費削減に悪戦苦闘する遊技場と一緒に利益率をあげることが目的でしたから、味に対するご意見を商品開発に活かすことは大切なのです。

村野 そうした確固たる方針が、売り上げの高さにつながったのですね。設立からわずか約1年とは思えません。これからの飛躍が楽しみです。

高垣 お陰様で、私1人でスタートした当社も2年目には営業社員を入れ、今は営業社員に既存の取引先を回ってもらい、私は新規取引先の獲得に努めているところですね。また現在、従業員は5名おり、徐々に会社としての基盤を固めています。そうして足固めを行い、いつか、実現したいことがあるんです。

村野 ぜひお聞かせ下さい。

高垣 私は以前中国へ行った際に、貧富の差の大きさに驚きましてね。貧しい子どもたちが安全や健康に配慮されていないお菓子を口にする姿に、何とかしてあげられないものかと葛藤を覚えました。日本のお菓子ももちろん現地で販売していますが決して安くはないため、貧しい家の子どもたちには行き渡らない。私自身、子を持つ親ですから、安全で安心して子どもたちに食べさせられるお菓子を、中国や東南アジアの貧しい家庭でも買える価格で販売したいのです。5年後を目標に定め、実現したいと思っています。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

 

▼(左)「神戸スイーツクラブ ショコラクッキー」 (右)「神戸スイーツクラブ ミルククッキー」 2月の発売と同時に爆発的ヒットを記録している

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

関わるすべての会社が“繁栄”し、“幸せ”になれますように

▼『栄幸食品』という社名には、“共存共栄”を重んじる高垣社長の想いが込められている。商品を製造する工場、遊技場に卸す問屋、企画・提案する自社、そしてそれを景品として扱う遊技場──4者それぞれがきちんと利益を得て共に潤うことを事業の大前提に据えているのだ。初年度に3億円を売り上げるという急成長の裏側には、そうした社長の姿勢がある。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

▼企業倫理の凋落が社会的評価を低落させ、企業を衰退させるのは周知の通り。言うなれば、社会的に評価されてこそ経営状態は向上していくものなのだ。多くの企業が不況に翻弄される時代にあっても利益を生んで成長している企業というのは、関わる取引先や消費者がそのサービスや商品を必要とし、あるいは価値を認めているためと言えるだろう。つまり、社会的に肯定された存在なのだ。

▼社長は決して、自社の繁栄と幸せを願って『栄幸食品』と名付けたのではない。周囲と共にあることを願う、まさに社会的に肯定された存在でありたいとの想いをそこに込めたのだ。

対談を終えて

「いつか、中国や東南アジアの恵まれない子どもたちにも安全で美味しいお菓子が行き渡るよう、海外にも進出したいとおっしゃった高垣社長。冷え込みの激しい遊技業界で経費削減の一助となる事業を始められたのが1年ほど前。すでに、その枠を超え、また国境を越えて、ご自身にできることを見定めておられる社長のこれからが非常に楽しみです。陰ながらですが応援させていただきますよ!」(村野 武範さん・談)

【異業種ネット】月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』特別取材企画 掲載記事─会社概要

名  称

栄幸食品 株式会社

住  所

大阪府大阪市東住吉区杭全6-3-23

代表者名

代表取締役 高垣 康雄

掲載誌

ザ・ヒューマン  2012年4月号

本記事の内容は、月刊経営情報誌『ザ・ヒューマン』の取材に基づいています。本記事及び掲載企業に関する紹介記事の著作権は国際通信社グループに帰属し、記事、画像等の無断転載を固くお断りします。