月刊経営情報雑誌「マスターズ（MASTERS）」（国際通信社）、「アンカー（ANCHOR）」（報道通信社）、「センチュリー（CENTURY）」（USPマネジメント）対談取材記事掲載の経営者が参加する国際通信社グループ運営の異業種ネット

村野　まずは橋村社長の歩みからお聞かせ下さい。

橋村　八女市内の、ここから少し離れた地域で生まれ育ちました。実家は酒屋を経営していたのですが、学生時代は後を継ぐのが嫌でね。父には内緒で東京や大阪に就職するつもりで準備を進めていたんです。しかし父にばれて怒られ（笑）、プロパンガスの販売業を始めました。

村野　いきなり起業されたのですか。

橋村　そうです。父が酒屋経営の傍らプロパンガスの販売を手掛けていたので、最初は酒の配達をしながらガスを配達し、徐々にお客様を増やしてきました。当時はこの辺りで家を新築したり増改築したりする人が多かったため、給排水工事やセントラルヒーティングなどのニーズが生まれていました。それで設備工事にも携わるようになるなど、徐々に業務を拡大して今日に至っています。

村野　現在御社では主にどのようなお仕事を手掛けていらっしゃるのでしょう。

橋村　当初からの燃料販売の業務も続けながら、土木工事や菅工事、水道などの衛生設備工事全般と、一般住宅のリフォームも手掛けています。

村野　ご結婚されたのは、いつごろだったのですか。

橋村　24歳のときに地元からこちらに移って来て、その1年後ぐらいに結婚しました。事務員を探していたときにお客様の紹介で採用したのが妻だったんですよ。現在は取締役として経営を支えてくれています。

橋村（満）　周りの人の後押しなどを受けて結婚してから、もう40年近くになりますね。私は農家の娘で、会社勤めの経験はありましたがこうした商売は全く初めてですから最初のうちは随分戸惑いました。厳しい時期もあり、特に若いころは苦労しましたね。

村野　奥様の存在は、社長にとって心強かったと思いますよ。

村野　ご夫婦二人三脚で歩んでくる中で、いつも大事にしてこられたことは何でしょう。

橋村　「心からのおつきあい」ですね。チラシなどでは「お客様の笑顔と満足が私たちの願いです」と記載していて、その言葉を胸に業務にあたっています。例えばお客様からお電話を戴いた場合、それが休日であろうと深夜であろうと、お困りだと思えばすぐに駆け付けます。ガスや水道のトラブルは1分1秒でも早い対応が求められますからね。

村野　お客様にとってはありがたいことですが、社長や奥様は気の休まるときがありませんね。

橋村（満）　ええ。けれども、それは夫の父である会長の教えでもあるんです。「生活に密着しているのだから、ガス屋に休みはない」と。ただ、子どもが小さいころは夫が家族で出かける時間をつくってくれましたね。

村野　優しい方ですね。これまでにはご苦労も多かったと思いますが、振り返ってみていかがですか。

橋村　同じ八女市の出身でも私はこの周辺地域で育ったわけではないので、最初のころはよそ者扱いでね。なかなか受け入れてもらえなかったのですが積極的にコミュニケーションを図り、今ではガス関係だけでも約1,500軒のお客様とお付き合い頂けるようになりました。ただ、現状に満足しているだけでは成長できませんので、1989年からは住宅関係の仕事に力を入れていこうと浄化槽工事業務をスタートしたんです。お陰様で現在はトータルで4,000軒以上にまでお客様が増え、その膨大なデータを管理するためのシステムも導入しました。電話を戴ければ即座にそのお客様についてのデータを取り出せるようになり、対応がスピーディーになったばかりかトラブルもなくなりましたね。

村野　お話も尽きませんが、最後にこれからに向けた抱負を一言。

橋村　これからもお客様との「心からのおつきあい」を大事にし、地域に密着しながら皆様のニーズにお応えしていきたいと思っています。

村野　今後も、ご夫婦で力を合わせて頑張って下さいね。