安定した労働環境を確立し、
需給バランスの良い人材派遣業を追求
特定労働者派遣事業(特01-301629)・請負業務
「現場で共に働くからこそ、派遣スタッフの気持ちが分かるのです」
阿部社長をはじめとする社員全員が、派遣スタッフと共に現場で働いているという『グロウスタッフ』。
事務所で指示を出すだけでなく、共に現場に身を投じて働くことで実に多くのことが見えてくるという。
派遣先である職場の雰囲気や待遇、業務内容、作業における注意点──
そして何よりも、一人ひとりのスタッフの気持ちが分かるようになるのだ。
「派遣スタッフは、会社の“駒”ではなく“財産”」。その言葉を行動で示す同社の誠実さこそが、高水準な業務を支えている。
【足跡】 兵庫県神戸市出身。学校卒業後は大阪府の薬品会社で営業職に携わっていたが、仕事で訪れた北海道の自然などに心惹かれ、札幌市に移り住むことに。人材派遣業に転身してからは、顧客と派遣スタッフ双方に満足される業務と徹底した現場主義で高く評価され、周囲の勧めもあり、『グロウスタッフ』を創業した。
北海道の農・水産会社とのつながりを生かし、年間を通じて安定した職場の確保と、顧客企業が求める人材の派遣により実績を築いている『グロウスタッフ』。現場主義を貫く阿部社長は現在もスタッフと共に現場に出ることで、人材派遣会社として求められる要素を確実につかみ、満足される業務を目指している。
人とのつながりを実感できることが
人材派遣業の魅力
島田 社長は以前は全くの異業種に携わっておられたとか。なぜ今のお仕事に?
阿部 もともとは関西で薬品会社に勤めていたのですが、出張で何度も北海道を訪れるうちに、当地の広大な自然やゆったりした土地柄に心惹かれるようになったのです。そこで関西から移り住み、同時に人材派遣業に転身しました。以前から営業ということもあって人と話をするのが好きでしたし、また、人材派遣では適材適所を心掛けた紹介を行うことでお客様やスタッフの双方に喜んでもらえる点に魅力を感じ、いくつかの会社で経験を積んで独立したのです。企業とスタッフのマッチングに力を入れ、これまで以上に満足度の高い仕事を手掛けたいという気持ちがありました。
島田 御社では、水産、農産関連のお仕事に強みをお持ちだとか。
阿部 ええ。プログラマーや事務などの一般的な業務ももちろんお請けしていますが、特に農林水産業の現場に強いのです。北海道で収穫された素材の加工場での仕事が主体ですが、そういった現場では常に人材が不足気味ですので、いかに過不足なく求められる人材を派遣できるかが肝要となります。また、農林水産分野は繁忙期が季節ごとに変わるので、当社の派遣スタッフたちが年間を通じて仕事を得られるローテーションを組めるような営業が非常に大切なんです。現場が変わったとしても、安定して仕事が確保できれば、次のシーズンも頼りになる戦力として働いてもらえますから。
島田 企業だけの目線ではなく、スタッフの方にとっても働きやすい環境を目指しておられるのですね。
阿部 ええ。私どもの財産はスタッフ一人ひとり。派遣先の企業には2年の勤続実績を目処に正社員雇用を働きかけるなどして、本人の頑張りが報われる職場環境を整えています。また、ある程度の年齢になると働き口が少なくなる傾向も強いのですが、中高年以上の世代のニーズにも応えられるような営業にも努め、一人でも多くのスタッフに働いてもらいたいと考え、動いています。
一人ひとりに焦点をあてた
働く人が主役の職場づくりを目指す
島田 お話を伺っていると、御社の細やかな対応が、良い人材を得る要因になっていることがよく分かります。
阿部 ありがとうございます。スタッフが満足してくれれば口コミで評判が広がり、当社にさらに良い人材が集まるでしょう。そうすればお客様にも喜ばれ、より安定した業務がいただけ、結果的にスタッフに還元できます。私が目指しているのはそうした循環。そのためにはまずスタッフに満足を与える、より良い労働環境を提供することが大切。ですから、私自身も、そして社員たちも現場でスタッフの皆と共に働くことで職場環境を把握するようにしています。そうすることでスタッフの気持ちや、作業上での注意点、安全確保のポイントが分かりますし、お客様である企業との良好な関係確立のためにも役立つのです。
島田 社長がお仕事で目標とされているものは何ですか。
阿部 有資格者でも大卒者でも満足に働けない社会情勢の中ですが、当社スタッフが少しでも良い条件で働けるような業務を目指しています。また東日本大震災以来、被災地から北海道に移住される方も増え、そういった方々に対しては住居も提供できる仕事を紹介できればと考えているんです。北海道が元気になれば、近距離に位置する東北地方も元気になれるでしょう。
島田 被災地の復興には長い時間がかかります。まずは生活基盤をこちらで築きながら、故郷の復興事業に貢献するという選択肢を提供しておられるのですね。
阿部 ええ。さらに、今は当社スタッフ全員に働く場を提供することが最優先ですが、中長期的には規模の拡大を図り、道内全域をカバーできる態勢を整えたいと考えています。また、いずれはリフトや基本的なパソコンの操作など、現場で必要とされるスキルや資格を取得できるような学校なども設立したいですね。より良い形で働ける環境を整え、スタッフや顧客企業に満足される業務を実現することが、厳しい情勢に負けず、企業として生き残るための手段にもなるでしょう。将来、規模が大きくなったとしても、一人ひとりを大切にする現在の方針は、守り続けるつもりです。
将来につながる働き方を提案
□派遣労働者をはじめとする非正規雇用社員の不安定な待遇は社会問題となっており、特に若年層は将来に希望を持てずに労働意欲さえも失うケースが少なくないという。『グロウスタッフ』の阿部社長も強い労働意欲を持てない若い人と接することが多いそうだが、時には甘えでしかない意識や考え方を改めるよう、強く進言することもあるのだとか。仕事への意識が変われば長く同じ職場で働くこともできるようになり、そこで頑張りが認められれば正規雇用の道も開ける。そのチャンスをつかんでほしいと考えているのだろう。
□長引く不況による就職難は中々改善されず、働きたくても働けない人も大勢いる。若者にはその現実をしっかりと見つめ、働けるチャンスがあればまずは体を動かし、社会人としての経験を積んでほしいのだと社長は言う。また、それが労働意欲につながり、将来への希望を抱くきっかけにもなり得る。経済的な自立ができ、将来に備えての資格取得やスキルアップの意欲を強められる人材派遣業が、社長の目標の一つだとも言えよう。
「農水産の分野に強みをもつ人材派遣業を手掛けておられるというのは、自然に恵まれた北海道の企業ならではの特色かと思います。北海道に魅力を感じる人は道外にも多いですし、こちらでのお仕事がきっかけで北の大地に根を下ろす人も少なくないでしょう。そういった方々のためにも、そして、地域活性化のためにもますますのご活躍をお祈りいたします」(島田 陽子さん・談)
名 称 |
株式会社 グロウスタッフ |
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住 所 |
北海道札幌市中央区大通西8丁目 桂和大通ビル30 5階 |
代表者名 |
代表取締役 阿部 智也 |
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掲載誌 |
ザ・ヒューマン 2011年12月号 |
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