自らの経験とスタッフの声を活かし
高品質な靴をリーズナブルに提供する
「常に履く人のことを考えた靴作りを行い、
より質の良い商品を提供できるよう努めます」
留学のために訪れた日本で、偶然出会った靴作りの世界。
その奥深さと緻密な職人の技に感銘を受けた李社長は、「自らの手で靴を作りたい」と意欲を燃やし、熱心に修業に励んだ。その精励恪勤な仕事ぶりは、周囲も認めるほどである。
社長の向学心は独立後も衰えることはなく、トレンドを把握しながら、高い品質と消費者に優しい価格を追求し続けている。
良い靴作りへの直向きな姿勢こそが、社長の一番の強みと言えるだろう。
同社の靴一足一足には、社長の真摯な思いが詰まっている。
多くの靴メーカーが立ち並ぶことで有名な神戸市長田区で、レディース靴の製造・販売を行う『東照』。オリジナルブランド「Vivian」「cocoa」を生み出し、そのデザイン性と品質、手頃な価格により、2014年の創業以来売上を伸ばしている会社だ。本日は同社の李社長のもとを布川敏和氏が訪問し、お話を伺った。
──まずは、李社長がこのお仕事に就かれることになったきっかけから伺います。
私は中国の出身で、貿易関係の仕事をしていた祖母から日本の話をよく聞かされていました。そして大学を卒業後、『神戸大学』の研究生として来日。当時アルバイトをしていたお店のオーナーの知人に靴のデザイナーさんがいて、その方の紹介で靴メーカーに入ったんです。
──神戸といえば「履き倒れの町」と呼ばれるほど、靴の生産で有名ですよね。
ええ。そのメーカーは日本製の靴を取り扱っており、職人さんの緻密な技術はとても勉強になりましたね。もともと物作りが好きでファッションにも興味があった私は、是非自分でも修業をしたいと思いました。その会社で2年ほど技術とマーケット知識を身につけた後、自分の国とも関わりたいという気持ちから、中国で製造した靴を販売する会社に転職しました。そこでは中国と日本、それぞれでしかできないことや、仕入れなどを学びましたね。そして2014年、『東照』の設立に至りました。
──こちらでは、どのような事業を行っているのですか。
私ともう1人の企画スタッフでデザインしたレディースシューズを中国で製造し、オリジナルブランドとして日本の店舗に卸しています。デザインはもちろん、品質の高さにもこだわった商品を、低価格で販売しています。お陰様で販売スタートからすぐに多くの反響をいただき、一気に商品が売れました。しかし、急激な円安の影響で、売れれば売れるほどマイナスになるという状況になってしまったんです。それでも商品自体は売れており信用があったので、取引先のお店一軒一軒に説明して値段調整をお願いすることができました。たくさんの方に支えていただいたお陰で、乗り越えることができたと思います。
──社長のお人柄と、誠実な仕事の賜物だと思いますよ。どの商品も、驚くほど手頃でお洒落ですからね。
ありがとうございます。ファッションのトレンドはヨーロッパから発信されるので、それをチェックしながら色々挑戦しています。実際に履くお客様のことを考えた靴作りに徹するため、独立当初のスタッフは全員女性でした。皆さんに商品を試してもらい、改良していったんです。今は靴作りの専門家の先生も加わり、形から素材までこだわったより良い商品の開発を進めています。
──これからがますます楽しみですね。
今後はさらにブランド力を高め、自社の直営店も展開していきたいと思っています。現在、取り扱い店舗にはポスターを貼っていただいており、「QRコード」を読み取るとホームページへと飛べるようになっています。今年からは通販もスタートし、事業拡大に向け一層力を入れていきます。
「デザインと履きやすさにこだわった靴を揃える『東照』さん。色んな会社で修業したという李社長の経験とセンスが、多くの女性の心を掴む商品を生んでいるのでしょうね」(布川 敏和さん・談)
名 称 |
株式会社 東照 |
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住 所 |
本社:兵庫県神戸市長田区細田町7丁目1-15 3F |
東京支店:東京都台東区浅草3-1-1馬道妙見屋ビル2F |
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代表者名 |
代表取締役 李 瑞尭 |
ホームページ |
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掲載誌 |
月刊経営情報誌『センチュリー(CENTURY)』 2017年6月号(発行:現代画報社) |