冷蔵倉庫内の電気設備工事を主軸に
信頼に足る仕事を積み重ねたい
総合電気設備工事
エネルギー・マネジメント・カンパニー
「企業づくりとは、“人づくり”です。お客様の信頼に応えうる組織を築きたい」
「企業づくりは、人づくりである」──そんな考えを持つ熊谷社長。現場に出れば、各々が営業マンであり、現場監督であり、『EMC』の代表だからだ。
仕事の量に対して人の手が足りなくなっても、増員ではなく、まず育成を重んじてきた。そのため、社員らは一人で現場を取り仕切るだけの能力を蓄積でき、方々の現場で活躍。
「一度のミスで信頼を失うこともあるから一回一回が勝負。次につながる仕事をしてほしい」。そう話す社長自身も現場に出ており、信頼に応えうる仕事を納めるべく、妥協はしない。
60歳となった今、あと数年での引退の文字も脳裏を過ぎるが、周囲は慰留。それは、現場と人づくりを重んじる社長の姿勢が信頼され、慕われているからに他ならない。
【足跡】 宮城県石巻市出身。地元の高校を卒業後に上京して、電気設備関連の事業を手掛ける会社に入社する。3年の勤務を経て帰郷。同業者に入り、約40年間勤めた。昨年1月に退職して独立し、『EMC』を設立した。
総合電気設備工事を手掛ける『EMC』。現在は、冷蔵倉庫内の電気設備工事を主軸に据え、お客様の紹介で仕事を獲得するなど安定的に実績を積み重ねている。設立からまだ1年だが、順調な滑り出しを見せる同社を、本日は俳優の三ツ木清隆氏が訪問。この分野を歩んで40年以上のベテラン、熊谷社長にお話を伺った。
40年以上、経験を積み独立──
周囲に恵まれた中、スタートを切る
──早速ですが、熊谷社長の歩みから伺います。現在は、総合電気設備工事を手掛けておられますが、もう長くこの業界なのですか。
ええ。工業高校を卒業した後、すぐにこの業界に進みました。最初に勤めたのは東京の会社で、独立した今でも仕事上で付き合いがありますし、当時、社員寮で生活を共にした仲間たちとも交流があるんですよ。今でも、顔を合わせれば20代に戻ったような気分になり、別々の場所ではありますがそれぞれが奮起している様子には力をもらいますね。
──そうした仲間の存在や人脈は人生の財産ですよね。そちらの会社の後は?
こちら宮城に戻ってきて、電気工事を手掛ける会社に入社し、昨年の1月まで勤務していました。
──では、まだ起業されて1年ほどなのですね。
そうなんです。定年を待たずに59歳で退職し、独立を果たしました。実は、何かに挑戦するなら大殺界に入る前に行動を起こしたほうが良いと、姓名判断で出ましてね(笑)。それに、お客様からも「自分でやってみたら」と勧められたんです。
──周りから後押しがあるのは、それだけ社長の仕事ぶりを信頼されていたからこそでしょう。それにしても、長くサラリーマンをされていたわけですから、尚更、不安や怖さもあったのでは?
何かを始める時には、不安が伴い、葛藤もするものでしょう。しかし私には、仲間──若い部下たちがいましたから、皆で力を合わせれば何とかなるだろう、と考えていました。
──そうでしたか。社長についてくる部下の方々がいらっしゃったのですね。
ええ。一緒に新しいスタートを切れる部下たちがいたことは幸いでした。とは言え、前職での仕事を中途半端に放り出すことは避けたいですし、それに建設業許可の取得など事業を手掛けるための準備も必要。まず私が退職して会社を興し、事業をスタートさせるための準備を整えました。
──お仲間もいらっしゃって、お客様の後押しもあったとあれば、当初から順調だったのではありませんか。
いえいえ、少しずつ軌道に乗ってきたという感じですよ。かつての勤務先に迷惑は掛けたくありませんから、お客様は一から開拓しなければなりませんでした。その点、かつての仲間にしてもお客様にしても、私は本当に人に恵まれています。お客様については、付き合いのある業者さんの口コミによって仕事が入ってくることが多いんですよ。
ご縁を長い付き合いに育てるべく
正直で誠実な仕事を積み重ねる
──電気設備工事と一口に言っても様々だと思います。現在は、どういった工事を手掛けておられるのでしょう。
冷蔵倉庫の電気設備工事が全体の8割を占めています。こちら石巻は東日本大震災で甚大な被害を受け、復興においては冷蔵倉庫の修繕や再建築も行われたので、電気設備工事の需要が高かったですが、最近は落ち着いていますね。
──では、仕事の獲得は決して容易ではないということですね。
ええ。ですから、正直で誠実な仕事でお客様の信頼を得ることがとても大切になってきます。申しました通り、お客様の口コミで新たな仕事を得られていますが、そうしたご縁でつながったとしても、付き合いを長く継続するためには、お客様から信頼していただけなければいけません。当社は、私を含めた4名で動いており、一人で現場に入ることもあるんですね。ですから、一人ひとりが営業マンであり、現場監督。それぞれが『EMC』の代表であるとの意識、そして責任感を持って仕事を納めることを大切にしています。
──その姿勢に、お客様は信頼を寄せるのでしょう。今後については?
規模拡大などは、あまり意識していません。もちろん当社への信頼がより高まって、それによって仕事が増え、自然と規模が拡大していくのなら、それが理想的でしょう。でも、規模拡大に執着して、仕事の質が落ちるのは絶対に避けたいんです。それよりも、「冷蔵倉庫内の電気設備工事と言えば、『EMC』」と言ってもらえる会社になることが目標ですね。有り難いことに、応援して下さる会社もありますし、信頼に応え、そうした会社を増やしていきたいです。
Column
より多くの人間を雇い、事業規模を大きくしていくことを目指す経営者は多いだろう。しかし熊谷社長は違う。『EMC』で働くメンバーは3名と少数精鋭。社長自身も日ごろから現場に出ており、現時点で増員は考えていないというが、順調に顧客を獲得しているため、4名では手が回らない状況にならないとも限らない。「人を新たに入れる前に、“人づくり”をまず大事にしたい」と社長。一人ひとりの成長で以て、企業としての対応力を上げることを目指している。
社長自身も、月の半分以上、現場に出ている。長期間掛かりっきりになる遠方の現場もあり、その場合はホテルではなくウィークリー・マンスリーマンションを借りて、仕事に集中できる生活基盤を整えられるよう配慮するという。
人を育て、働きやすい環境づくりに心を砕く──それが、社長の企業づくりなのだ。
「熊谷社長は65歳で引退をと考えていらっしゃるそうですが、周りからは70歳までは続けてほしいと言われているとか。独立を後押しして下さったお客様、付いてこられた部下の方、そして引退を引き留める周囲の方など、社長が多くの方から慕われていることが窺い知れました。どうぞお身体に留意しながら、皆さんと共にお仕事を続けていって下さい」(三ツ木 清隆さん・談)
名 称 |
株式会社 EMC |
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住 所 |
宮城県東松島市矢本字関の内74-52 |
【事務所】 |
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代表者名 |
代表取締役 熊谷 義之 |
掲載誌 |
月刊経営情報誌『マスターズ(MASTERS)』 2017年6月号(発行:国際通信社) |