一人ひとりの利用者に寄り添い
最適な看護サービスを提供する
「一人ひとりの利用者様に、全力を尽くしていく所存です」
一経営者として、一看護師として『クライス訪問看護ステーション』を運営している『GROVE』の林社長は、「訪問看護こそ看護師の真髄」と感じているそうだ。
その理由は、「利用者様のライフスタイルを崩すことなく、その生活の中でサポートができて、時間を掛けてじっくりと利用者様やそのご家族と関わることができるから」だという。
そうして利用者の健康を支え、心に寄り添う看護に徹する社長。その献身的な姿勢からは、温かく思いやり溢れる心が窺える。
今後は自分の目の届く範囲内で施設を展開していき、真心を込めた看護サービスを提供し、地域の利用者を支え続ける構えだ。社長の今後の活躍に、大いに期待したい。
【足跡】 大阪府出身。祖父が病に伏した際、懸命に医療サービスの提供に勤しむ医師や看護師の姿に感銘を受け、看護学校に進学する。その後、病院や看護ステーションなどに勤務しながら経験を重ね、2015年4月に『クライス訪問看護ステーション』を立ち上げた。
一人ひとりの利用者に寄り添う訪問看護サービスを提供している『クライス訪問看護ステーション』。同所を運営する『GROVE』の林社長は、33歳と若いながら、確固たる信念を持って看護に臨んでいる。本日は、そんな社長のもとをタレントの布川敏和氏が訪問。社長に、様々なお話を伺った。
祖父が病に伏したことをきっかけに
看護師の道を歩みはじめる
布川 まずは、林社長が訪問看護の道に進まれたきっかけからお聞かせ下さい。
林 高校生時代はスポーツや音楽に打ち込んでいたのですが、なかなか卒業後の目標を見付けられなかったんです。そんな中、祖父が病気になりましてね。お医者さんや看護師さんが家に来て、在宅医療を行う姿を間近で見て感銘を受け、この道に進むことにしました。
布川 お祖父様を助けるために尽力される姿が、社長の心を動かしたのですね。実は私の娘も入院したことがあって、その時は「頑張れ!」と声を掛けることしかできず、ただただ先生や看護師さんに感謝するばかりでしたね。
林 私も全く同じ気持ちでした。そして同時に、ただ見守るだけでなく助けられる立場になりたいと思い、看護学校に進学したんです。当時はまだ看護師は女性の仕事という認識の強い時代でしたので、不安を感じることもありましたね。
布川 今はこうして独立して経営者になっていらっしゃいますが、現場に立たれているのですか。
林 もちろんです。この仕事はとてもハードですが、毎日が充実していますね。祖父が私をこの仕事に導いてくれたのではないか──今ではそのように感じています。看護学校を卒業して訪問看護に携わって6年、病院に勤めて5年。看護に携わるようになって、トータルで11年目になりますね。
布川 いつごろにこちらの訪問看護ステーションをはじめられたのでしょう。
林 昨年の4月です。私は看護学校に入ることを決めた時から、いずれは訪問看護の道に進みたいと考えていました。勉強や実習においても常に意識してきましたし、現場に立ったことで「これだ!」と確信を得ることができました。ただ、訪問看護はスタッフが一人で訪問して利用者様を看なければならないので、高いレベルの知識やノウハウが必要なんです。ですから、5年ほど病院に勤めた後、さらに訪問看護ステーションに勤務して、経験を積み重ねました。しかし、独立には迷いもあれば恐怖も感じていたんです。
布川 そうした思いを振り切って独立できた理由は、どこにあるのでしょう。
林 賛同してくれる人、そして、同じ志を持つ人たちがいたからですね。なかなか踏み切れなかった時、そうした仲間のお陰で、独立することができたんです。
“人の輪”を大切に
最適な訪問看護サービスを提供
布川 実際に独立されてみて、いかがでしたか。
林 自分の裁量で全てが決められる分だけ、想像以上の重圧を感じました。ただ、自分の思い描いた通りの看護ができていますね。独立からおよそ1年、毎日が手探りでした。そうした中でも、利用者様やそのご家族様からお礼の言葉をいただけた時は、「独立して良かった」と思えますし、やり甲斐を感じますね。
布川 社長にとって、この仕事は天職なのでしょう。同業他社さんも多いと思いますが、こちらの施設ならではのカラーはどういったところにありますか。
林 私共では利用者様だけがサービスの対象だとは考えていません。利用者様のご家族様はもちろん、医師やケアマネージャー、ヘルパーさんなどの訪問看護に関わる方々に加えて、地域の方々も、私共の“お客様”であると考えているんですよ。
布川 関わる人との輪を大切にしていらっしゃると?
林 おっしゃる通りです。少し施設の名前について説明させていただきますと、『クライス訪問看護ステーション』の“クライス”とはドイツ語で“縁”や“輪・円”、“循環”を意味しています。私は、「利用者様、他職種の皆様からいただいた“ご縁”を大切に、利用者様を包む地域サービスの“輪”が円滑に“循環”するように、看護の立場から誠心誠意、尽力していきたい」という決意からこの名前を付けたんです。私共では一人ひとりの利用者様とゆっくりと時間を掛けて接することを重んじていて、ライフスタイルを崩すことのないよう、個々を尊重しながらサポートさせていただいております。
布川 利用者に寄り添う看護を大切にされているのですね。お話も尽きませんが、最後に今後の展望をお聞かせ下さい。
林 今後は、当所と同じぐらいの規模の施設を増やしていこうと考えていますが、あくまで私の目が届く範囲内での拡大に留めようと思っています。先ほども申しましたが、訪問看護は高いレベルの知識やノウハウが求められますので、拡大しすぎることでレベルが低下すれば本末転倒ですからね。ありがたいことにスタッフにも恵まれていて、安心して任せられています。そんな大切なスタッフたちと、仕事もプライベートも両立できる看護ステーションをつくっていきたいと考えているんです。
布川 楽しく働ける環境でなければ、良いサービスは提供できませんからね。
林 その通りです。ですから、スタッフが楽しく仕事ができる環境をつくることも私の仕事でしょう。とは言うものの、まだまだはじまったばかりなので、どのようにすればいいか分からない部分もありますが、責任感を持って、当所に関わる全ての“お客様”に、最高のサービスを提供していきたいと思います。
布川 本日は、貴重なお話をありがとうございました。社長の今後を、応援していますよ!
利用者もスタッフも全てが“お客様”
▼『GROVE』が運営する『クライス訪問看護ステーション』の“クライス”とは、ドイツ語で“縁”や“輪、円”、“循環”を意味する言葉だという。これは、林社長の「色々な人からいただいた“ご縁”を大切に、利用者様を包む地域サービスの“輪”を円滑に“循環”させたい」という想いから付けられた。
▼そんな人の輪を重んじる社長にとって、“お客様”の括りは広く、利用者やその家族だけでなく、スタッフもそれに含むという。「私一人では何もできませんから、スタッフの存在は大切です。私はそんなスタッフたちと、仕事もプライベートも両立できるような看護ステーションにしていきたいんです」と社長。利用者に最適な看護サービスを届けるために、皆の想いを一つにできるよう、スタッフのことも“お客様”のように大切にしているのだ。これからも社長は、関わる全ての人の輪を紡ぎながら、最適な看護サービスを提供するために奔走し続ける。
「人の輪を大切に、最適な看護サービスの提供に尽力されている林社長。現在33歳とお若いにもかかわらず、しっかりとした芯を持っていらっしゃる姿には感心しました。社長のような方がいらっしゃれば、今後の訪問看護業界も安泰でしょう。社長には、是非頑張っていただきたいです!」(布川 敏和さん・談)
名 称 |
株式会社 GROVE |
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住 所 |
大阪府大阪市平野区長吉六反2-5-6 ル・ヴィラージュ206 |
代表者名 |
代表取締役 林 勇樹 |
掲載誌 |
月刊経営情報誌『リーダーズ(LEADERS)』 2016年8月号 |
本記事の内容は、月刊経営情報誌『リーダーズ(LEADERS)』の取材に基づいています。本記事及び掲載企業に関する紹介記事の著作権は国際通信社グループに帰属し、記事、画像等の無断転載を固くお断りします。