月刊経営情報雑誌「マスターズ（MASTERS）」（国際通信社）、「アンカー（ANCHOR）」（報道通信社）、「センチュリー（CENTURY）」（USPマネジメント）対談取材記事掲載の経営者が参加する国際通信社グループ運営の異業種ネット

板東　御社では、バングラデシュ産の革製品を多数扱っていると伺って参りました。まずは、モハンマド社長が今のお仕事を始められるまでの経緯から。

モハンマド　私はバングラデシュ出身で、ある時代劇の邦画を見たことがきっかけで、日本に関心を抱くようになりました。そのため母国で学業を終えた後に、来日したのです。それから、日本語学校に通いながら、日本の食産業に従事するようになりました。その後、様々な経験を積む中で、「日本には多数の海外製品があるのに、何故バングラデシュのものはないのだろう」と考えるようになったのです。そして、バングラデシュで物を日本向けに生産して、日本の方々に知っていただきたい、と思うようになりました。

板東　なるほど。そうして母国の商品を販売するようになったわけだ。

モハンマド　ええ。最初はぬいぐるみなどを作っていましたが、バングラデシュの伝統の革サンダルが、日本のファッションにも合うのでは、と考え、アパレル事業に商機を見出したのです。すると、その予想が的中し、お客様から多数の好評をいただきました。お陰様で、今では「C.I.L」と「Diu」という二つのブランドの展開をはじめ、バングラデシュに自社工場を建てられるまでに成長しました。

板東　社長の確かな経営手腕が窺い知れます。どのようなことを大切に、事業を手掛けられていますか。

モハンマド　ただ単に低価格な商品では、クオリティやオリジナリティが損なわれてしまう可能性がある。そのため当社では、少々高価でもお客様に手に取っていただけるようなオリジナル商品を作り続けています。私共は付加価値のある商品を提供し、お客様に幸せになっていただくことを大事にしているのです。また、私は事業を通じて、日本とバングラデシュの架け橋になりたい、と考えていましてね。母国の自社工場には150人のスタッフがいるのですが、工場に行く時は日本の文化や風情が伝わる写真を持っていくんですよ。その際、皆が作っている商品が日本の方々に喜んでいただけていることも話します。そして、バングラデシュの文化やスタッフたちの努力を日本の方々に伝えることも私の使命だと感じていますね。私は、商品は売るだけではなく、思いを込めて提供することが大事なのだと考えています。今後もそうしたものづくりを励行して、革に限らず両国の関係性を築く一助となれれば嬉しい限りです。