2023年02月13日更新
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(株)おしゃれ 対談取材記事

名刺
動画

技と共に光る心遣いで
声なき要望を汲み取り
お客様に心からの満足を

株式会社 おしゃれ

代表取締役 山本 廣好

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─略歴

【足跡】 三重県志摩市出身。名古屋の理容室で4年間働く中で、理容師の資格を取得する。その後、上京。さらに経験を積んだ後、札幌へ移住し、1976年に最初の店「おしゃれとこや」をオープンした。お客様とのコミュニケーション、細やかな心遣いを大切にしている。


理容師の山本社長が札幌市内に一店舗目をオープンしたのは、1976年。以降、「(株)おしゃれ」を母体に店舗展開を図り、現在は市内に4店舗を構える。35年もの長きに亘って通い詰める顧客がいるほど、地域に溶け込んだ逸店だ。本日は吉沢京子さんが社長に理容師としての思いなどを伺った。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─対談

吉沢 「おしゃれ」という社名が、素敵ですね。サロンにはぴったりです。

山本 ありがとうございます。運良く法人登記の際にも「おしゃれ」という屋号を使うことができ、現在、札幌市内に展開する4店舗のうち3つの店名に「おしゃれ」をつけています。

吉沢 山本社長は、理容師としてかなりのベテランでいらっしゃると伺っています。この世界に入られて、もうどれくらいになるのでしょう。

山本 理容師になって、もう43年ほどになりますね。名古屋の店で4年間、見習いとして働きながら理容師の資格を取得し、その後に上京して1年と少し東京で暮らしていました。北海道にはボストンバッグ一つで遊びに来た時に土地柄が気に入り、そのまま居着いてしまったのです(笑)。

吉沢 北海道は自然が豊かで空気も綺麗で、魅力的な土地ですものね。

山本 ええ。他府県で生まれ育った人には北海道の冬の寒さは堪えるのではないかとよく言われましたが、私にはこちらの空気が合っていたようです。それに、ここ札幌市はほどよく都会ですし、また東京など他地域へと出るのにも交通の便が充実していますから、私にとってはとても住み心地の良い土地ですね。この地で店を展開することができて幸運だったと思います。

吉沢 東京では最近、1,000円カットの店など低価格を売りにする店が注目を浴びていますが、こちら札幌はいかがですか。

山本 カットだけを行う洗髪台もない小さな店舗などが目立ってきており、やはり低価格であることを最大の売りにしています。不況による節約志向などからそうした店を利用されるお客様は多く、私共も大変ですよ。財布の紐が固いお客様に好評なだけでなく、大手さんが経営されている場合は理容師の待遇も良いため人材も流れていく傾向にあるんです。

吉沢 なるほど。勉強不足で申し訳ないのですが、理容業界は人材が不足しているのですか。

山本 ええ。美容師の方が一般的にイメージが良いせいか、美容師の人気に押されて理容師になろうという若者が少ないんです。でも、刈り込みや刈り上げなど、ミリ単位にまでこだわってハサミを操る理容師には、非常に高い技術力が求められ、美容師と違ってカミソリを使うことが許されています。理容師には、美容師とはまた違った魅力があるのですよ。それを、若い世代にはもっと知ってほしいですね。

吉沢 ミリ単位ですか……すごいですね。確かに理容師は、より職人に近いイメージがあります。社長は日頃、どのような点に配慮されていますか。

山本 お客様ときちんと向き合うことを大切にしています。と言うのは、「本当はもっとこうしてほしい」という希望を上手く伝えられずに、後悔したことが誰しも一度はあると思うんですよね。そうしたことがないよう、整髪中のお客様の様子、受け答えなどから言葉にならないご要望などまで察するのも我々の仕事のうちなんです。また、整髪中に眠るのを好まれる方はできるだけそっとしておき、会話を楽しみにされているお客様とは、楽しく会話する。そうしてリラックスしていただける空気をつくることも大切ですね。お客様の髪質や頭の形に合わせてご満足いただけるスタイルに整えるだけが、理容師の仕事ではないのですよ。

吉沢 スピードが売りの店では、回転率を重視するあまり、そういった心遣いが疎かになるかもしれませんね。

山本 はい。実際、私共には35年もの長きに亘って当店に通って下さっているお客様もおられ、顔なじみになると何も言わなくても通じるんです。そうしてじっくりと向き合うからこそ築ける関係を、私は大切にしています。

吉沢 私もプライベートでお願いする美容院には、もう15年ほど通っています。長く通うほどに、安心してお任せできるようになりました。それに、髪を整えてもらうだけでなく、お世話になっている美容師さんや店の雰囲気が心地よくて。

山本 人間関係が希薄になったと言われる昨今、吉沢さんのように心のふれあいを求めて店に来られる方が多いように感じます。私としては、それがとても嬉しいです。札幌に来られたら、是非お立ち寄りいただきたいですね。

吉沢 今後についてはいかがでしょう。

山本 今、私の息子が共に働いており、将来は経営を任せたいですね。私にはこのように後継者がおりますが、業界全体としてはなり手が不足しているのが悩みですし、若い人を育てなければいけません。ゆくゆくは、世界一周旅行をしながら理容技術を伝えられれば──それが夢です。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

「付き合いが何十年と長くなると、何も聞かなくても要望が分かる。
お客様とはそんな関係でありたい」
(代表取締役 山本 廣好)

「お客様一人ひとりときちんと向き合う、その姿勢が貴店の一番の魅力です」(ゲスト 吉沢 京子)

見事なハサミさばき
その技が理容師の真骨頂

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

▼カリスマと称揚されることもある美容師の陰に隠れて、どこか地味なイメージがついてしまっている理容師。美容師の人気に押されて志願者は減る一方で、2009年には国家資格受験者数が過去最低を記録した。そんな現状を見て、山本社長は理容師という職業への理解が足りないことを懸念している。

毎年全国各地で、理容師が一堂に会して磨き抜いた腕前を披露し、技術を競うコンテストが開催される。理容師たちは、見事なハサミさばきでモデルの頭髪を整えていく。山本社長もミリ単位の正確なカットが理容師の真骨頂だと説くように、そこはミリ単位の世界。パーマ、カラーリングで華やかさをつくりだす美容師とは違い、一見、シンプルに思える理容師の仕事では、シンプルだからこそ、技の精密さがより光るのだ。

対談を終えて

「江戸時代の髪結床は、髪を整えるだけでなく情報交換や交流の場でもあったと聞いたことがあります。山本社長のお話から、それは今も変わらないように感じました。何度も通いたくなる店って、技術が高いのはもちろんですが、店の雰囲気が良かったり、スタッフの方との会話が楽しかったりするものですよね。技術以外にも魅力のある店が、選ばれる店だと思います」(吉沢 京子さん・談)

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─会社概要

名  称

株式会社 おしゃれ

住  所

【お し ゃ れ】

北海道札幌市中央区北4条西1丁目 ホクレンビルB1

【おしゃれとこや】

北海道札幌市中央区北3条西7丁目 緑苑ビルB1

【おしゃれクラブ】

北海道札幌市中央区南26条西10丁目 札幌駐屯地内

【カットハウス】

北海道札幌市豊平区平岸2条7丁目 地下鉄1番出口横

代表者名

代表取締役 山本 廣好

掲載誌

国際ジャーナル  2011年7月号

※代表者名の“廣”は正しくは“「まだれ」の下に「黄」”です

本記事の内容は、月刊経営情報誌『国際ジャーナル』の取材に基づいています。本記事及び掲載企業に関する紹介記事の著作権は国際通信社グループに帰属し、記事、画像等の無断転載を固くお断りします。