国民の健康と日本のGDP向上を目指し
薬に頼らないリハビリ式健康法を広める
理学療法士
健康運動実践指導者
【足跡】 大阪府八尾市出身。専門学校で理学療法士の資格を取得し、卒業後の1993年に『東大阪病院』に就職。その後は複数の病院を渡り歩いて、責任ある職を歴任した。学校での教員経験を経て、2011年に個人事業として『治すリハビリ研究所』を設立。2014年には法人化を果たし、『リハビラー』を立ち上げた。
薬に頼ることなく生活習慣を改善する「リハビリ式健康法」を提唱している『治すリハビリ研究所』。日々リハビリの研究と診療に打ち込んでいる杉山社長は、一人ひとりに合わせた療法を提案し、患者の健康と“生活に対する満足度”を支えている。そんな社長に、佐藤蛾次郎氏がお話を伺った。
食事・運動・血行を改善に導く
オーダーメイドな療法を提案する
佐藤 『治すリハビリ研究所』という名前の通り、こちらはリハビリに特化されているのですか。
杉山 ええ。当社が提唱する「リハビリ式健康法」を用いた、出張専門のリハビリサービスを提供しています。リハビリ式健康法とは、機能訓練はもとより生活習慣病やメタボリック症候群の改善、ダイエットなどの効果も期待できる健康法。たとえば生活習慣病などの原因となるのは栄養バランスの悪い食事や運動不足、血行不良ですが、当社では薬に頼ることなく、食事・運動・血行療法によって生活習慣を正し、根本的に身体を治しています。ただ、人によって身体の状態や能力、環境、性格などは異なりますので、当社では患者さん一人ひとりの症状に合わせたオーダーメイドな療法を提案しているんですよ。その分、自費診療となりますが、週一回程度の療法で成果が上げられるよう、普段から行っていただく「自分で治す・予防するリハビリ」の方法もお伝えしています。また、初回のカウンセリングに関しては無料で行っており、お伝えした生活習慣の改善法を実践した患者さんの中には、その1回のカウンセリングで症状が治ったという方もおられました(笑)。
佐藤 利益になりませんから、複雑なところですね(苦笑)。ただ、そうした実績が御社の療法の正しさを証明し、結果的に多くの評判を集められるでしょう。
杉山 そうですね。実際に多くの実績を積み重ねられていますし、当社の治療法は市販の血圧計や血糖測定器、さらに今では健康状態を確認できるアプリなどもありますが、そうしたものにも成果がきちんと現れますので、患者さんはモチベーションを保ちやすい。それが、リハビリ式健康法の成功者が多い要因の一つだと思います。もちろん、全てオーダーメイドな分、大変な部分もあるのですが、患者さんの状態が改善することは私たちにとっても嬉しいこと。そのために当社では常に研究を続けていますし、個人的にも日ごろから血圧を測りながら料理を食べ、「この食材を食べると血圧が下がるな」というように自分を実験台に食事療法などを試したりもしています(笑)。
念願の独立のきっかけとなったのは
父親への治療の成功体験
佐藤 ところで、杉山社長がこの業界を志された理由は何だったのですか。
杉山 中学生のころ、私は野球部に所属していたのですが、試合で膝を負傷しまして。歩けるまでに約半年掛かるほどの怪我だったので、入院してリハビリを受けることに。それがきっかけとなってリハビリに関心を持ち、高校卒業後は専門学校に進学。理学療法士の資格を取得し、卒業後は病院に就職しました。
佐藤 独立心はいつごろからお持ちだったのでしょう。
杉山 勤務する中で病院のやり方に早くから疑問を感じていたので、昔から独立したいという想いは持ち続けていました。病院では保険の範囲内のリハビリしか行いませんが、充分なリハビリを行うために自費診療は必須。また、病院は30日しか入院できないため、中途半端な状態で患者さんはリハビリを終えることになります。そうした状況を見ていましたので、自分でより良いリハビリを提供したいと考えたんです。ただ、当時はリハビリを自費診療で行うことが一般的ではなかったこともあり、なかなか独立するタイミングが掴めず、長く病院に勤めていました。
佐藤 では、独立に踏み切る上でのきっかけはあったのですか。
杉山 実は私の父が以前、薬が手放せないほど深刻な高血圧に悩まされていまして。そんな父に対し、私は食事の見直しからアドバイスを始め、次に運動を取り入れて、さらには早寝早起きを習慣付けるように伝えました。すると、そうしたアドバイスによって父は血圧を下げることに成功し、今では薬を飲まない生活を続けられているんです。このように父の治療に成功したことが自信となり、独立を決意。2011年に個人事業としてスタートを切り、2014年に法人化を果たしました。
国家に貢献する理学療法士として
目指すのは“リハビリミクス”
佐藤 社長が患者さんと接する際、大切にしておられることは何ですか。
杉山 私がモットーとしているのは「Quality Of Life」(生活の満足度)を高めることです。そのためには、まず第一に健康でなくてはなりませんが、それだけでなく生活の中の色々な面における満足度を上げられるよう、患者さん一人ひとりに寄り添っています。また、病気になればご本人はもとより、看病するご家族のQOLも下がるでしょうから、私は患者さんとご家族双方の生活習慣を考えるように心がけているんです。
佐藤 それでは最後に、今後の目標を。
杉山 理学療法士は国家資格ですから、国民に貢献する責務があると私は思っています。そこで、私が目標として掲げているのがGDPの向上、名付けて“リハビリミクス”です。リハビリ式健康法を広め、健康な国民を増やすことで、国の医療費負担を減らし、財政を安定させる。そうすれば国内企業の生産性も上がりますから、GDPの向上につなげられるはずです。もちろん、そのためには多くの人々にリハビリ式健康法を知っていただく必要がありますので、リハビリミクスの第一の矢はメディア進出。2015年はメディアを活用しながら、リハビリ式健康法を普及させていきたいです。
column
患者の根本的な治療を目指し、日々研究と診療に励んでいる杉山社長。そんな社長は、自身が提唱する「リハビリ式健康法」と同様に、“一家団欒”を大切にしている。核家族化が進む現代、昔のように家族で食卓を囲み、手作りの料理を食べるという家庭は少なくなっている。しかし、社長は「家族皆で食卓を囲み、手作りの料理を食べることは、健康においてとても重要です」と語る。
当然ながら、食事療法の観点から見れば手作りの料理のほうが、コンビニ弁当やスーパーの惣菜より栄養も豊富だろう。それに、患者が精神的に安定するためには、家族と話し合う時間が重要となるという。思えば昔は家庭内において、父親が医師であり、母親が看護師であった。少し体調が悪そうであれば、家族が心配し、また色々な知恵を授けていたのだ。そんな家族の存在が、知らず知らずのうちに人々の健康を支えていたのである。
だからこそ社長は、患者はもとより、その家族とのコミュニケーションも大切にし、家庭内の環境にも注意を払っているという。単なる療法にとどまらない社長の“リハビリ”は、きっと今後も多くの人々の健康、そして家族の絆を支えていくだろう。
「対談を行った一室には本棚がありましたが、そちらには杉山社長がリハビリにおいて重視している食事・運動・血行に関するものから、経済関連のものまで、沢山の本がずらりと並んでいました。また、様々な研究機器も揃えておられましたね。そうした室内を見ただけでも、いかに社長が勉強熱心なのかが分かりました。その豊富な知識と技術を以て、社長がご自身の目標通り、『リハビリ式健康法』を普及させられることを、私も楽しみにしております」(佐藤 蛾次郎さん・談)
名 称 |
治すリハビリ研究所 |
---|---|
住 所 |
大阪府大阪市都島区善源寺町2-2-7-125 |
代表者名 |
代表取締役 杉山 和雅 |
掲載誌 |
トップフォーラム 2015年3月号 |
本記事の内容は、月刊経営情報誌『トップフォーラム』の取材に基づいています。本記事及び掲載企業に関する紹介記事の著作権は国際通信社グループに帰属し、記事、画像等の無断転載を固くお断りします。