2023年02月13日更新
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(有)松尾石油店 対談取材記事

名刺
動画

人々の声に真摯に耳を傾け
地域社会と共に歩んでいく

有限会社 松尾石油店

代表取締役 松尾 幸彦

【異業種ネット】月刊経営情報誌『リーダーズ・アイ(LEADER’S EYE)』特別取材企画 掲載記事─略歴

自動車が欠かせない地域柄にあって、人々の生活を支えるべく、ガソリンスタンドの運営と燃料の配達サービスを手掛けている『松尾石油店』。地域密着のスタイルを堅持し、人々の大小様々な相談に柔軟に応えながら信頼関係を築いてきた。そんな同社の二代目を務める松尾社長に、タレントのダンカン氏がお話を伺った。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『リーダーズ・アイ(LEADER’S EYE)』特別取材企画 掲載記事─対談

燃料事業一筋に歩み
社を受け継いだ松尾社長の軌跡

ダンカン 早速ですが、松尾社長の歩みからお聞かせ下さい。

松尾 この白石町で生まれ育ち、燃料事業を営む父の背中を見て育ちました。学生のころに将来は父の後を継ぐことを決め、大学を卒業してから同業他社で修業をはじめたのです。そちらでは現場のノウハウだけでなく、帳簿や在庫の管理など事務的な仕事もさせていただき、とても勉強になりましたね。2年半ほど勤めて、この『松尾石油店』に戻って父と共に仕事をするようになりました。

ダンカン お父様は長くガソリンスタンドを経営されていたのですか。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『リーダーズ・アイ(LEADER’S EYE)』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

松尾 そうですね。とは言え、もともと父の本業は農業・漁業だったんですよ。当地は一次産業が盛んで、特にレンコンの栽培と海苔の収穫が地域の基幹産業と呼べるほどの規模でした。父も長くそれらの事業に従事しており、自分たちで育てた、あるいは獲った物を福岡の市場まで配送していたのです。ところが、市場までの道中に給油できる場所がなく、いつも困っていたんですね。地域の人たちも困っているだろうと考え、それでガソリンスタンドを創設することに決めたようです。

ダンカン 地域のために、との思いがお父様を動かしたのですね。

松尾 半分は自分のためだったと思いますよ(笑)。けれども、地域の方々は喜んで下さって、農家さんや漁師さん方に重宝してもらっています。またある時から、地域の人々のニーズに応える形で燃料の配達を行うようになりました。このあたりは田舎で、車は生活の必需品でもありますから、急な燃料切れに対応できる配達サービスは、とても喜ばれているんですよ。

ダンカン 急な依頼ですと、届ける方は大変ですね。

松尾 ええ(笑)。ですが、そうした積み重ねがあるからこそ、私たちは地域の皆さんと信頼関係を築けてきたと思いますし、お客様に届けて「ありがとう。助かったよ」と声をかけてもらえるのは、この仕事のやり甲斐の一つだと感じています。今は少ない人数でガソリンスタンドの運営と配達を行っていまして、より効率的に動けるようにと、5年ほど前にガソリンスタンドをセルフサービスに切り替えたんですよ。ちょうど父から私に代替わりしたころで、経営者として初めての大仕事……と言ったら大袈裟ですが(笑)、全面的に店舗を建て替えました。

ダンカン こちらのガソリンスタンドは敷地が広いですから、建て替えも大変だったでしょう。

松尾 ガソリンスタンドの建て替えは中々難しいそうで、工事の影響で給油に不具合が出るところもあると聞きます。ですが、幸いにも手掛けて下さったのが腕の良い職人さんばかりで、資金はかかったものの、理想通りに建て替えができ、ありがたく思っています。

地域の人々と意思疎通を図り
ニーズに十全に応えていく

ダンカン 昨今は原油の高騰などもあって燃料事業は厳しいと聞きますが、現場でもそうした空気は感じられますか。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『リーダーズ・アイ(LEADER’S EYE)』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

松尾 確かに、私たちのような仕事では、原油の高騰は痛いところです。ただ、仕入れ価格に若干の差はあれど、高くなるのはどこも同じ。この業種は価格で勝負すれば到底大手には勝てませんから、我々のような中小企業はいかにサービス面を充実させるかが大事だと思っています。そうした点では、長年続けている配達サービスが当社の武器の一つだと考えているんですよ。配達することでお客様とコミュニケーションが図れますし、そこで色々な情報交換をして今後の事業展開に活かすこともできます。今はインターネットやスマートフォンの普及で様々な情報が簡単に拾えますが、やはり親しい方からの言葉こそが何よりも生きた情報だと思っています。ですから、そうしたお客様の声を大事にした経営をこれからも続けていきたいですね。

ダンカン 素晴らしいお考えです。社長がいかに地域に寄り添った仕事をされているかが窺えます。今後はさらに事業規模を広げていこうとお考えですか。

松尾 いえ、そうした思いは特にありません。家族とスタッフ、お客様、そして地域の皆さんが楽しく幸せに毎日を過ごせたらそれで充分です。経営はそれほど楽ではありませんが、異業種を手掛けようとの思いはなく、“餅は餅屋”を貫いて自分たちにできることに努めていきたいですね。

ダンカン そうした堅実なお考えもまた、地域の皆様から信頼を寄せられる所以でしょうね。個人的な夢などはお持ちですか。

松尾 大それた夢かもしれませんが、いつの日か学校を建てて人を育てたいと思っています。少子化が進んでいますが、いつの時代も子どもが社会の宝であることに変わりはありません。未来を生きる子どもたちに、自分が何かしてあげられたらというのが私の夢です。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『リーダーズ・アイ(LEADER’S EYE)』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

災害対応型ガソリンスタンド

▼長年にわたり、地域密着でガソリンスタンドの運営を手掛けてきた『松尾石油店』。燃料配達などのかゆいところに手が届くきめ細やかなサービスが好評であるが、もう一つ、大きな特長がある。それは、災害対応型のガソリンスタンドであること。災害時は電気の供給が止まることが多く、そうなれば給油ができない。しかし、『松尾石油店』では自社で発電機を設け、たとえ停電になっても給油できる体制を整えている。過日の東日本大震災では、燃料の不足により初期の復興作業に支障をきたした場面もあった。そうしたことも鑑み、「地域のために何ができるか」と考えた松尾社長は災害時に助けとなれるガソリンスタンドを構築したのだ。社長が経営の舵を切る時に根底にあるのは“地域社会のために”という思い。その心は、どんな時もぶれずに社長の芯を貫いている。

対談を終えて

「代替わりされてから、資金繰りで苦労されたという松尾社長。会社を経営される中では様々な壁が立ちふさがり悩む時も多いでしょうが、そうした中でもいつも笑顔を絶やさず、前向きに明るく振る舞う社長がとても素敵だと感じました。社長の優しいお人柄に、元気をもらっている人は多いと思います。今後も地域のために、活躍を続けて下さい!」(ダンカンさん・談)

【異業種ネット】月刊経営情報誌『リーダーズ・アイ(LEADER’S EYE)』特別取材企画 掲載記事─会社概要

名  称

有限会社 松尾石油店

住  所

佐賀県杵島郡白石町大字福富1421-1

代表者名

代表取締役 松尾 幸彦

掲載誌

リーダーズ・アイ  2014年10月号

本記事の内容は、月刊経営情報誌『リーダーズ・アイ』の取材に基づいています。本記事及び掲載企業に関する紹介記事の著作権は国際通信社グループに帰属し、記事、画像等の無断転載を固くお断りします。