大自然が育んだ
地元の美味しさを味わう「雪浦パニーニ」
CaffèとWine 雪浦パニーニの店
海あり、山あり、川あり、渓谷あり──。そんな大自然に抱かれた美しい町・雪浦で、2014年4月にオープンした『秀一楼』。こだわりのワインとビール、そして地場産の食材をふんだんに挟んだ「雪浦パニーニ」で、早くも地域の人気店となっている。雪浦に魅せられ、この地の活性化に挑む店主の和泉氏にお話を伺った。
布川 なかなかに趣のある建物ですね。
和泉 築60年ほどの木造建築を改装しているんですよ。昔の職人が見事に組み上げたこの建物を、地下1階は洋風、1階は和モダン、2階は純和風に生まれ変わらせました。
布川 ここで飲むビールはさぞ美味しいでしょう(笑)。
和泉 当店でお出しする飲料はワインがメインなのですが、ビールにもこだわりがありましてね。『キリン』さんの「ハートランド」しか置いていません。素材の美味さが染み出すこのビールとの付き合いは長く、かつて私が『テレビ朝日』内のレストランで店長を務めていたころからのお薦めなんですよ。
布川 そのレストランなら私もよく足を運んでいましたよ! では、なぜ東京から離れ、遠く長崎でお店を開くことに?
和泉 昨年、長らく地域活性化に力を入れていた友人が、ここ西海市の市議会議員に当選しましてね。「雪浦のネックは飲食店が無いところだ」と話すので、何か協力できないかと当地に足を踏み入れたんです。ところが町には電車が無く、バスもほとんど来ない。そもそも人口1,300人ほどの町でどうやって商売をすればいいのか分からず、一度は諦めて帰ろうとしました。でもそんな時、海に沈む夕日が目に飛び込んできたんです。そしてそのあまりの美しさに心を奪われた私は「この自然の豊かさがあれば、全国に雪浦をアピールできる」と思い直しましてね。店を開くことを決意したんです。
布川 雪浦の魅力に引き込まれたと。
和泉 ええ。開店資金を集めるため、しばらくは農家の手伝いをしながら金融機関や取引業者をまわりました。ちなみにコスト削減のため、改装工事にも自ら参加。そうして当店をオープンしたのが2014年の4月30日のことです。
布川 オープン時のお客様の入りはいかがでした?
和泉 実は雪浦では、毎年ゴールデンウィーク中の4日間、「雪浦ウィーク」という地域回遊型のイベントが行われていましてね。これは雪浦に暮らす人々が、各々で“おもてなし”を提供するお祭りなのですが、私は店のオープン日をその期間に合わせたんですよ。ですから、イベントに足を運ばれたお客様がそのまま来店して下さいました。雪浦の人々の温かさが知れる、良い時間でしたね。
布川 それは良かった! ちなみに、貴店で一番の人気メニューは何でしょう。
和泉 「イタリア生まれの雪浦育ち」と銘打ったパニーニです。これはイタリアのサンドイッチのようなものでして、7種類のパニーニ全てに地場産の食材をふんだんに挟んでいます。たとえば、地域で獲れたイノシシの加工肉に、郷土食であるミカン風味の味噌、地元の方が育てた無農薬野菜……。それにフランス産のチーズを加えれば、もう最高ですよ(笑)。私はこの「雪浦パニーニ」を、「長崎ちゃんぽん」「佐世保バーガー」「大村寿司」と合わせ、長崎の食の4大ブランドとして訴求したいと考えています。
布川 なるほど。良いアイデアだ。
和泉 また、私には4つのコンセプトがあり、それは、“①雪浦で、②地産地消と③この見事な建物、そして④私自身を広めていきたい”というものです。「ここでしか食べられないけど東京でも知られている」というのが理想ですね。期間限定で都会の物産展などに出品してみるのも面白いかと思っています。「雪浦パニーニ」を知った人々が雪浦に興味を持ち、この地を訪れる──。そうして、町興しの一助となれれば嬉しい限りです。
布川 ご活躍を期待しています!
「お土産にいただいた『雪浦パニーニ』、最高に美味しかったです! パンはボリュームがあるのに食べやすく、挟まれた地場産の食材には滋味を感じました。これなら“長崎ブランド”の一角を狙えますよ!」(布川 敏和さん・談)
名 称 |
秀一楼 |
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住 所 |
長崎県西海市大瀬戸町雪浦下郷1303-2 |
代表者名 |
店主 和泉 秀一郎 |
掲載誌 |
トップフォーラム 2014年10月号 |
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