暮らす・憩う・治す、
様々な機能を備えた介護施設
シルバーホーム・デイサービス
訪問介護事業所・整骨院
「迷惑や心配をかけた両親へ 恩返しをしていきたい」
「学生時代はやんちゃばかりで、その後もいい加減な生活を送っていました」と昔を振り返る鳴海社長。
22歳の時に転機があり、福祉の道に飛び込んでからは、人が変わったように真剣に仕事に向き合ってきた。
もともと人から指図されて動くだけの仕事は性に合わない。上司からの指示が無くとも自発的に動けるように努めたことが、自身を大きく成長させたのだろう。
「若いころは両親に心配や迷惑ばかりかけてきました。両親からはいつも、人のためになることをしろと言われてきたので、福祉の仕事に就いたことを喜んでくれていると思います」。
今の頑張りは、苦労をかけた両親への恩返しでもあるのだ。
【足跡】 地元出身。17歳で高校を中退し、知人の紹介で土木関係の仕事に従事する。その後、居酒屋でのアルバイトを経て、福祉業界に転身。訪問介護ヘルパーとして働き、また特別養護老人ホームなどで経験を積み、2013年に『創健コーポレーション』を設立。同年8月に『くつろ木 吉の原』を開所して現在に至る。
シルバーホームとデイサービス、訪問介護事業所に整骨院も併設した介護施設『くつろ木 吉の原』。同所では、利用者が住み慣れた地域で元気に安心して暮らせるよう、多方面からバックアップをしている。本日は、タレントの島崎俊郎氏が訪問し、思いやりの心をもって介護福祉事業に臨む鳴海社長にお話を伺った。
施設に入りたくても入れない
困っている人の受け皿になりたい
島崎 はじめに鳴海社長が福祉の道に進まれた経緯からお聞かせ下さい。
鳴海 若いころはやんちゃばかりしていて、高校は中退して土木の仕事や居酒屋のアルバイトなどをしていました。22歳の時にふと将来のことを考えたんです。自分には学歴もないし、資格や免許も持っていない。これで将来は大丈夫なのかと。そこで何か資格を取ろうと思い立ち、以前から興味のあった福祉の勉強をはじめました。当時は「ホームヘルパー3級」という資格があったので、その資格を取得して訪問介護に携わるようになったんです。
島崎 福祉に興味を持たれていたのは何故なのでしょう。
鳴海 私自身、おばあちゃん子だったということもありますし、両親は特にお年寄りを大事にする人だったので、そんな姿を見て育ったことも影響していると思いますね。
島崎 福祉のお仕事をはじめられて、いかがでしたか。
鳴海 最初は戸惑うこともありましたが、利用者さんと接する中で、「ありがとう」と感謝されたり笑顔が見られたりするうちに、仕事にやり甲斐を感じるようになりました。最初は障がいを抱えている方のお世話をさせていただいていたのです。そこで、障がいがあっても何事にも頑張っていらっしゃる姿を見て、いい加減に生きてきた自分がとても恥ずかしくなりまして。そこからさらに仕事に取り組む意識が大きく変わりました。
島崎 独立をお考えになるようになったのは、いつごろからですか。
鳴海 3年ほど勤めていた特別養護老人ホームにいたころですね。特養に入りたくても料金面の問題から入所できない人がたくさんいらっしゃったのです。そんな方々の姿を見て何とか力になれればと思うようになり、独立する決心をしました。妻も介護の仕事をしていて、また義父が整骨院とデイサービスを経営していたので、家族の協力を得ることで、2013年に『くつろ木 吉の原』をオープンすることができたのです。
利用者のペースと思いを大切に
一人ひとりに合わせたサービスを提供
島崎 こちらの施設の特徴は、どういったところでしょう。
鳴海 シルバーホームとデイサービス、訪問介護事業所、整骨院という4つの機能を備えているということですね。整骨院を併設している施設は山形県内では数が少ないので、一番の特徴となっていると思います。
島崎 ゆったり過ごせるだけでなく、身体の問題も解決できる施設に仕上がっているのですね。
鳴海 高齢になると腰痛や膝の痛み、肩こりに悩んでいらっしゃる方が多いので、整骨院での施術をおすすめしています。ご本人はもちろん、利用者さんのご家族にも安心だと喜ばれていますね。整骨院で身体を元気にしてもらい、デイサービスで楽しい時間を過ごすことで、心身共に元気になってもらえればと思っています。そうした多機能な施設であることが功を奏してか、大きな後ろ盾があるわけではありませんが、当所の評判は広がっていますね。シルバーホームの定員は24床で、そのうち約9割が既に利用していただいています。デイサービスや訪問介護を利用される方も増えているんですよ。
島崎 施設に入れない人を助けたいという思いは実現できているのですね。
鳴海 市内にある同様の施設に比べると安い料金設定にしているので、思いは叶っているかなと思います。
島崎 お仕事に臨む上で、一緒に働くスタッフさんにはどのようなことを伝えられていますか。
鳴海 利用者さんの立場を考えながら接してほしいとお願いしています。たとえば食事を摂る時間も一人ひとりのペースがあるでしょう。早く片付けたいと思っても、そこは自分たちの業務を優先するのではなく、利用者さんのスピードに合わせた対応を行ってもらえるようにと話しています。
島崎 そういったところは大きな施設にはできない強みですね。利用者さんもお喜びでしょう。
鳴海 皆様とても親切で、人に対する思いやりの心、優しさ、感謝する気持ちなど、たくさんのことを教えていただけています。当所は開設してからまだ半年ほどしか経っておりませんので、そうした日々の積み重ねを大切にしながら、少しずつ成長していく所存です。
島崎 利用者さんと共に歩もうというお考えなのですね。では最後に、これからの展望をお聞かせ下さい。
鳴海 まずはここでしっかりとした基盤を築くことが第一です。その上で、当所を起点にして地域の皆様に貢献できる施設をつくり、ゆくゆくは他のエリアにも展開していきたいですね。入院できる期間も決まっていて病院にもいられない、在宅も厳しいという方がたくさんいらっしゃいます。そんな、どこにも行き場がなくて困っている方々の受け皿になれるよう、今後もより一層の努力を続けて参ります!
弛まぬ努力が導いた 奇跡のような成果
▼やわらかな表情と丁寧な言葉遣いから真面目で誠実な雰囲気の漂う鳴海社長。「若いころはやんちゃばかりしていた」という言葉が嘘のようだ。様々な仕事に就くも、やり甲斐を見いだせない中、居酒屋でアルバイトをしていた時の経験が社長の心を動かした。当時、“ニート”という言葉が話題になった。ニートとは「職に就いておらず、学校などの教育機関にも属さず、職業訓練を受けていない15~34歳の未婚者」を指す。社長自身はアルバイトとはいえ、仕事に就いていたのでニートではなかったが、それでも「将来そうはなりたくない」という思いが強くなり、自分の進むべき道を見つめ直したのだという。そこから福祉の道に飛び込み、真っ直ぐに進んできた。
▼現在、同所には多くの人々が入所・利用しているが、社長は現状を「奇跡」だと言う。辛く厳しい介護の現場において最善を尽くす姿勢が認められているからこそ、たくさんの人が利用するのだ。社長の弛まぬ努力が奇跡を呼び込んでいるに違いない。
「経営者になられて、まだ半年ほどという鳴海社長。現場と経営者の視点の違いを実感する毎日だそうですが、良いスタッフや取引先、利用者さん、そのご家族の支えもあって順調に実績を重ねていらっしゃるとのこと。これからも頑張って下さい!」(島崎 俊郎さん・談)
名 称 |
株式会社 創健コーポレーション くつろ木 吉の原 |
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住 所 |
山形県山形市若宮4丁目1-1 |
代表者名 |
代表取締役社長・施設長 鳴海 洋一 |
掲載誌 |
リーダーズ・アイ 2014年5月号 |
本記事の内容は、月刊経営情報誌『リーダーズ・アイ』の取材に基づいています。本記事及び掲載企業に関する紹介記事の著作権は国際通信社グループに帰属し、記事、画像等の無断転載を固くお断りします。