取引先の向こうにいる“お客様”に
喜ばれる仕事を目指す建設会社
■“失意泰然、得意淡然”の精神で 実直に日々の仕事に臨む
高校生のころから将来は建設業界で独立することを決めていたという山根社長。
学業修了後、5年間現場監督として経験を積み、独立したのは23歳の時だ。
若いこともあって信頼を築くまでには10年ほどの月日を要し、その間にいくつもの苦労を乗り越えてきたという。
その努力が実り、現在は引く手数多で休む暇もないほど多忙を極めているが、社長は決して謙虚な姿勢を崩さない。
「好調な時こそ、苦労した10年を忘れてはいけない。
いつまた厳しい状況になるか分かりませんから、“失意泰然、得意淡然”の精神で地に足のついた経営を進めていきたい」と、初心を大切にしながら前を見据えている。
宅地造成工事、基礎工事をメインに、一般土木工事からエクステリア工事まで幅広く手掛ける『山根建設』。1997年の創業から17年目を迎え、地域密着で厚い信頼を得てきた企業だ。本日は女優の大西結花さんが訪問。山根社長にお話を伺った。
5年間の修業を経て
23歳で念願の独立を果たす
大西 まずは山根社長の歩みから。
山根 香川県さぬき市出身で、父が大工だったため小さいころから私も同じ道に進みたいと思っていました。けれども高校が土木科だったので、入学する時に父には「将来は大工ではなく建設業で独立する」と宣言したのです。
大西 建築は建物、建設は町づくりというイメージですが、実際はかなり違うものなのでしょうか。
山根 確かに手掛ける分野は違いますが、入り口が違うだけで大きなくくりでは同じ。当初、父は大工を継いでほしいと言っていましたが、建設業として独立したい旨を伝えると、「下積み時代は厳しいが、とにかく何があっても5年間は辛抱しろ」とアドバイスをしてくれました。それで学校を卒業して建設会社に就職し、現場監督として5年間勤めた後、1997年に独立したのです。
大西 当時はまだお若かったのでは?
山根 23歳でした。それでも私としては遅いぐらい。本当はもっと早く独立したかったのですが、父の言う通り5年間は辛抱しました。
大西 独立当初はいかがでしたか。
山根 最初は大変でしたね。前職でお付き合いのあった建設会社に連絡を取って、仕事をいただけるよう頭を下げて回りました。私自身、当時はまだ未熟でしたから、「若造にできるわけがない」と言われることもあり、随分と悔しい思いをしましたね。けれどもそういった経験をバネにして、何事にも一生懸命に取り組み、言われたことはすぐ行動に移すなどして信頼を築いてきました。
大西 順調に回り始めたのはいつごろからでしたか。
山根 立ち上げから10年ぐらい経ったころでしょうか。そこからは少しずつ仕事が増えていき、今は自社のスタッフだけではとても手が足りず、複数の協力会社にお願いして現場に臨んでいる状況なんですよ。
大西 信頼を寄せられていることが窺えます。スタッフさんも少しずつ増やしてこられたのでしょうか。
山根 ええ。当初は私を含めて3名でスタートしましたが、現在は事務員を含めて11名の体制になりました。多忙のため、人を増やしたい気持ちもありますが、人を増やしてから仕事が減ってしまっては今いるスタッフに迷惑がかかってしまいますから、人材については慎重に考えていきたいと思っています。
顧客の立場に立って
価値のある仕事を目指す
大西 現在はどのようなお仕事をメインにされているのでしょう。
山根 最近は宅地造成工事や基礎工事が増えています。それ以外では一般の土木工事、解体工事、エクステリア工事など、幅広い工事に対応しています。
大西 お仕事をされる中で、どのようなことを大事にされていますか。
山根 かつては自分たちが仕事をしやすいようにとか利益が取れるようにとか、自分たちの都合を優先していた時期もありましたが、今は常にお客様の立場で考え、行動することを大切にしています。
大西 自分目線からお客様目線に変わったということですね。
山根 そうです。今は業界全体がそのような流れに変わってきています。たとえば一区画1,500万円の土地の造成工事を行うなら、自分が買う人の立場になり、それだけの価値があるものを提供しなければいけないと。自分が買いたくないものが、お客様に喜ばれるわけがありませんからね。
大西 スタッフさんにもそのようなお話をされていますか。
山根 はい。それから取引先にもお客様にも誇れる仕事をすること。あとは身なりを整えることや言葉遣い、挨拶、現場の掃除を徹底するようにと言っています。社会人として当たり前のことですが、業界全体としてはできていないところが多いせいか、周りの方々からは「『山根建設』は良い人材が揃っている」と高い評価をいただいています。
大西 技術的なことだけではなく、人間教育にも力を注いでいらっしゃるからでしょうね。
山根 まだまだ100%とは言えませんが、今後も指導を続けて一人ひとりに高い意識を持って努力をし、成長してもらえればと期待しています。
大西 現場は香川県内全域でしょうか。
山根 そうですね。その中でも、特に高松市内を中心にしています。今のところ、市内だけでも仕事の量は充分にあるので、今後も地域密着で信頼を培っていきたいですね。
大西 では最後に、これからの展望を。
山根 昔は規模を大きくすることが夢でしたが、今はある程度大きくすることもできたので、これまで以上に一つひとつの現場を大切にして信頼を守り、地域に貢献していければと思っています。個人的には60歳で会社を後進に任せ、一線を退いてのんびり暮らしたいですね(笑)。そのためにも、人材育成に力を入れていく考えです。
顧客の満足は、取引先の満足
▼『山根建設』が仕事に取り組む姿勢として、「自分目線」から「お客様目線」へと移行してきたのは4~5年前から。当時、仕事が増えて売上げが伸びはじめたころだったが、仕事が増えればそれに比例して顧客の要望も増える。「お客様からの多様な要望に応えていくにはどうすればよいのか──それを突き詰めた時に行き着いた答えが、お客様目線に立って考えることだったのです」と山根社長。仕事の流れから考えれば、会社にとっての顧客は取引先だが、社長が見ているのは取引先の向こうにいる一般の“お客様”だ。「もちろん取引先は大事ですが、宅地ならそれを買う人に喜んでもらえることが第一。ひいてはそれが取引先にも喜んでもらえるということですからね」。そうした姿勢の転換が信頼となり、一つひとつの信頼が積み重なってさらなる飛躍へとつながっている。
「一人ひとりが向上心を持って 努力を続けています!」 (代表取締役 山根 真司)
「技術だけでなく人間的にも優れた人材が揃っているのですね」 (大西 結花さん・談)
名 称 |
山根建設 株式会社 |
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住 所 |
香川県高松市西山崎町456-6 |
代表者名 |
代表取締役 山根 真司 |
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掲載誌 |
リーダーズ・アイ 2014年1月号 |
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