安全第一と迅速対応を徹底し
地域のライフラインを守る
静岡県知事許可(般ー19)第21086号
ガス・上下水道・土木工事・溶接配管工事一式
■静岡ガス協力会社 ■沼津市指定給水工事店
「懸命に仕事と向き合った過去の自分が、今の自分を形づくっている」
役職が変われば任される仕事の内容が変わるように、経営者ともなれば従業員とは業務が全く違ってくる。渡辺社長も例外ではなく、元々職人として働いていたが現在はほとんど現場に出る時間はないという。
「特に修業時代は、様々な壁にぶつかりながらも働く喜びを感じて技術の習得に励めましたね」と懐かしそうに語る社長。その表情からは、携わってきた業務への愛着と誇りが見て取れる。代表としての職務に追われ、ときに悩み、苦しみ、立ち止まりたくなることもあるだろう。そんなとき、懸命に仕事と向き合った若かりしころの社長が自身を奮い立たせ、背中を押しているに違いない。
【足跡】 地元出身。学業修了後は父親の興した『渡正配管工業』を継ぐべく地元を離れて配管工の修業を積み、特殊な技術を身につけて帰郷。家業に入ってからも現場で経験を重ね、約3年前に代替わりを果たした。周囲の人々との付き合いを大切にすることと安全第一を心がけ、社を成長に導いている。
『渡正配管工業』は、都市ガスや上下水道などの配管工事を手掛ける企業。地域のライフラインを守る重要な役目を担い、また作業には危険も伴うため、何よりも迅速かつ安全な工事を徹底しているという。本日は、2代目の渡辺社長にお話を伺った。
羽田 まずは、社長の歩みから伺います。
渡辺 私の小学生時代に父が当社を立ち上げて配管工事業を手掛け始めましたから、その背中を見て育つ中で自然と「自分も将来は父と同じ仕事に就きたい」と思うようになっていました。それで、学業を終えた後は神奈川県にある配管工事会社に就職したのです。そちらは大手製鉄会社のグループ会社で、都市ガスの配管工事の中でも特に溶接技術を学ばせて頂きました。当時、ガスのパイプラインを溶接でつなげる配管工は数が少なく、それだけに技術を習得するのには随分苦労しましたが、やり甲斐を持って取り組めました。修業時代に身につけたノウハウは全て現在に生かされていますし、修業先の会社には感謝するばかりです。
羽田 特殊な技術を学んで家業に入られた社長を、先代は頼もしく思っておられたことでしょう。いつごろ代替わりなさったのですか。
渡辺 3年ほど前です。父が体調を崩したのを受けて7年前から経営に携わってはいたのですが、本格的に会社を引き継ぐとなるとやはり不安になりましたね。と言うのも、父への信頼によって取引先の方々や当社で働く従業員たちとのつながりが守られていた部分が大いにありましたから。それでも代替わりするきっかけとなったのは、「どこかで踏ん切りをつけて組織を変えていかないといけないぞ」との父の言葉。そのとき、私自身どこかで父を頼っていたことに気づき、2代目としての責任感を持って新たな会社づくりに専念することにしたのです。
羽田 社長の、会社を守ろうとの熱い思いが感じられます。では、現在の御社の業務内容を教えて下さい。
渡辺 都市ガスおよび上下水道の配管工事や、それに伴う土木工事を手掛けています。特に、都市ガスのパイプラインを道路の中に埋め込む工事をメインとしていますね。
羽田 ガスを取り扱うとなると、作業には危険な場面も多いでしょう。
渡辺 その通りです。パイプの中を流れるのは可燃ガスですから、一歩間違えれば爆発事故につながります。それだけに、工事に携わる者には高い技術力とともに集中力が求められるんですよ。また、災害時など急を要する場面ではいち早いライフラインの復旧を待っておられる方々のためにも迅速に作業するよう徹底していますし、緊急のご依頼にもすぐに対応できる態勢を整えています。
羽田 安全な工事を、迅速に行わなければならないと。従業員の方々の意識統一も重要になることと思います。
渡辺 そうですね。しかしその点については特に心配していません。なぜなら当社の従業員は自発的に資格取得に取り組むなど業務に対する熱意の強い人ばかりだからです。従業員の中には父の代から働いてくれている人もいて、彼らベテランを筆頭に若い人材も頑張ってくれています。皆にはいつも感謝していますし、その努力に応えるべく私が心がけているのは、全員のモチベーションを高められるような職場づくり。例えば自分たちの仕事が社会の中でどのように役立っているか、どれだけ必要とされているか、そうしたことも伝えていきたいですね。
羽田 事業を継続する上では、どんなことが大事だとお考えですか。
渡辺 時代の流れに伴って変化する業界の動向を敏感に察知し、常に新しい情報を採り入れることだと思います。人々のニーズに沿ったサービスを意識しながらも、長年培ってきたノウハウを生かして一つひとつの工事を着実に手掛けていく──。そうして地道に良い仕事をしていれば、それだけで充分な営業活動になるものです。今まで、従業員たちと一緒に全力を尽くしてくる中で「必要なときに即座に駆けつけ、事故もなく的確に施工してくれる会社」というイメージを築いてくることができました。会社の規模を大きくしたり営業範囲を広げたりすることよりも、お客様に喜んで頂けることは何なのかを考えながら取り組んでいれば自然と次につながるように思います。
羽田 それでは最後に、今後の展望をお聞かせ下さい。
渡辺 当社はスタートしたころからずっと「静岡ガス」さんにお世話になりながら成長してきました。ですから長年にわたって育てて頂いた恩を返す意味でも、「静岡ガス」さんの今後の取り組みに協力していければと考えています。また、全ての取引先について、紙の上の契約だけではなく人間的な結びつきを大切にしていきたいですね。気持ちの通じ合う人たちと一緒に気持ちの良い仕事をする中で、会社としても人としても確実に成長していく所存です。
▲渡辺社長とともに『渡正配管工業』を支える従業員の方々
“暮らしを支えたい”との思いをつなぐ
▼『渡正配管工業』を立ち上げたのは、現在会長職を務める渡辺正己氏だ。氏は元々異業種に勤めていたが、「人々の暮らしを支える仕事は何か」と考えて配管工事業者の道に移ることを決めた。だが、息子である現社長・渡辺洋氏には「無理にこの仕事に就く必要はない」と幾度となく言ってきたという。決して楽とは言えない仕事と知っているからこそ、息子に苦労させまいとしたのだろう。それでも、洋氏はこの道を選んだ。それは、父親と、その活躍を陰で支える母親・ふみ江さんの姿を見て育つ中で両親と仕事への誇りを抱いたからに違いない。目立つことはないが、確実に人々の暮らしを支えている『渡正配管工業』。2代にわたる熱い思いがこれからも貫かれることだろう。
「普段、従業員の方を大きな声で叱ることはほとんどないという渡辺社長。お話しした印象通りの穏やかな人柄とともに、従業員の方々に寄せる厚い信頼が窺えました。取引先への感謝や先代に対する敬意といい、社長の“人”への思いが『渡正配管工業』さんを形づくり、前進させているのでしょう。」(羽田 惠理香さん・談)
名 称 |
渡正配管工業 株式会社 |
---|---|
住 所 |
静岡県沼津市多比154-1 |
代表者名 |
代表取締役社長 渡辺 洋 |
掲載誌 |
報道ニッポン 2011年4月号 |
本記事の内容は、月刊経営情報誌『報道ニッポン』の取材に基づいています。本記事及び掲載企業に関する紹介記事の著作権は国際通信社グループに帰属し、記事、画像等の無断転載を固くお断りします。