月刊経営情報雑誌「マスターズ（MASTERS）」（国際通信社）、「アンカー（ANCHOR）」（報道通信社）、「センチュリー（CENTURY）」（USPマネジメント）対談取材記事掲載の経営者が参加する国際通信社グループ運営の異業種ネット

大西　はじめに横山社長の歩みから伺います。ご出身はこちらで？

横山　はい。地元・川辺郡出身です。兼業農家を営む家に生まれ、結婚後は徳島県に移りました。3人の子どもにも恵まれ、穏やかに暮らしていたのですが、結婚15年目を迎えた年に主人が早世しまして。そのまま嫁ぎ先に留まるつもりでしたが、それから僅か半年後に長男が病気で他界してしまったのです。彼らの友人たちに会う度にどうしてもいたたまれなくなり、子ども2人を連れて地元に戻ってきました。当時中学生だった次男も今では結婚し、2人の孫の顔も見せてくれましたよ。

大西　介護業界に入られたきっかけは？

横山　母が体の弱い人で昔から家事全般を手伝っていましたし、もともと人のお世話をすることが好きなんです。帰郷してからは役場へ臨時職員のヘルパーとして就職し、事務職を経て定年まで勤めることができました。定年後も家族の生活を支えるために学校の用務員を務め、その後、病院内での介護の仕事に就けることに。そしてご縁があって、この『ハートケア』とその施設の運営を引き継ぐことになった次第です。

大西　ご家族のために献身的に尽くされてきたのですね。

大西　第二の人生とも言えると思いますが、経営者としてスタートされて、いかがでしたか。

横山　この5年間、あっという間でした。利益は大きく求めず、スタッフのお給料が捻出でき、なおかつ利用者の皆様に楽しい時間を過ごしていただければと、業務に取り組んできました。また、地元ということもあり、私の小さいころからよく知る方が来て下さいますし、ご年配の皆様も私たちを慕って下さるんです。自分が生まれ育った地域で、こうしてお仕事ができていることは、本当に恵まれていると思います。

大西　やはり地元の人や地域とのつながりがあるということが、一番安心できますからね。

横山　ええ。働いてくれているスタッフも近隣に住んでいる方ばかりなんですよ。30代後半～50代が中心で、連携も密に取れています。他の人が困らないように互いを思いやり、常に適切な判断をしてくれているので非常に助かっています。備品一つを購入するのでも、必要最低限のものを頼んでくれ、自発的に行動してくれるんです。スタッフ同士も仲が良く、見ていてホッとしますね。

大西　スタッフの皆様一人ひとりが、責任を持って業務に励まれているのですね。これまでずっと働いてこられた社長ですが、その原動力はどこからくるのでしょう。

横山　私自身、動き回ることが好きな性分なんです。今も週二日、仕事終わりに華道の教室を開いています。隠し事をせ　ず、100％の自分をさらけ出すことでストレスを感じることは減りましたし、疲れることもあまりありません。利用者さんとの会話も楽しんでいますので、その会話でこちらが元気をいただくこともしばしばあります。他にも趣味の家庭菜園で作った野菜を調理して、皆様に召し上がっていただくことも私の楽しみの一つ。忙しいからこそ、何もないと余計にしんどくなってしまいます。ですが、実は2年ほど前に、大病を患って病院に運ばれたことがあるんです。その時は孫が救急車を呼んでくれたので、早期治療を受けることができ、本当に助かりました。利用者さんからは「命が助かったのだから、身体を大事にしなさい」とお言葉をいただきました。

大西　お元気になられて良かったです。きっと社長には、ここでの役割があって、まだまだこれから生きていてくれなくては困る存在なんでしょう。お話も尽きませんが、今後はどのようにお考えですか。

横山　猪名川町内にもう一軒、施設を新設したいと思っています。一度その話は進んでいたのですが、色々あって施設を建てることが叶わなかったのです。また機会を見つけて実現させたいですね。その目標に向けて、スタッフ一同、業務に励んで参ります。

大西　是非、実現していただきたいですね。私も陰ながら応援しております。