顧客第一主義を貫く丁寧な仕事で
地域との信頼を築くクリーニング店
■最優先事項は“お客様に喜んでいただく”こと。
■その心構えが選ばれ続ける理由
物心ついたころから、クリーニング店を営む父親の背中を見て育った。
そんな横井社長が父親に憧れを抱き、同じ道を志したのは必然だったと言えよう。
他のことには脇目も振らず、道一筋に腕を磨き続けてきたことで必ずやお客様の期待に応える、という自信もつけた。
それでも社長は自らの技術に驕ることなく温かいサービスによる付加価値を大切にしている。
お客様とのつながりがあってこその店── その心得こそが同社の確固たる信頼を築いている。
【代表取締役 横井 秀基氏の足跡】
三重県四日市市出身。クリーニング店を営む父親の姿に憧れて、自然と家業を手伝うように。鈴鹿市への進出に伴い同市に移り、店舗、工場を軌道に乗せる。その後、そちらの経営を受け継ぎ、2008年に独立。『アドバンス』を設立し、奥様と共に顧客満足を追求し続けている。
鈴鹿市内で、クリーニング店『アバンセ』『洗濯王』を展開する『アドバンス』。仕上がりの美しさ、着心地のよさをとことんまで追求した技術で地域の人々から絶大な信頼を寄せられており、スタッフの温かい対応も相まって、高いリピート率を誇っている。本日は、この道一筋に歩んできた横井社長と、奥様の恵美さんにお話を伺った。
竹原 御社が運営するクリーニング店は、地域で高いリピート率を誇っているそうですね。まずは、横井社長がこの仕事に携わるようになった経緯からお聞かせ願えますか。
横井(秀) 四日市市で父が二代目としてクリーニング店と工場を営んでいたのです。父の働く姿を毎日のように見て育ち、自然と憧れを持つようになりました。中学生ごろから仕事を手伝い始め、学業修了後は当然のように同じ道に。その後、鈴鹿市にも進出することとなり、私が新設された店舗と工場を任されました。事業を軌道に乗せたことでそのまま受け継ぎ、2008年に独立。現在は、市内に『アバンセ』と『洗濯王』を展開し、計3店舗を運営しています。ちなみに、父の会社は兄が継いでいるんですよ。
竹原 息子に働く姿を格好いいと思われるなんて、父親としてこの上ない喜びでしょう。お父様はどんな方でしたか。
横井(秀) とにかく真面目で、一本筋の通った性格。昔の職人のように、仕事は「見て覚えろ」「盗め」と、手とり足とり教えてくれるタイプではありませんでした。ただ、父もそうやって技を仕込まれてきたのだと思いますし、父の隣に立ちながら、一つひとつの仕事を必死で修得していったのです。一方で私の思うようにさせてくれる寛大さもあり、たとえば洗剤においても好きなものを使わせてもらえたので、自分なりに色々と勉強することができました。父の下で修業した経験は、今も確実に生きています。
竹原 クリーニングというのは、職人仕事なのですね。
横井(秀) 今はかなり機械化が進んでいますが、アイロンがけやシミぬきといった手作業は職人仕事と言えるでしょうね。当社はこのシミぬきに特に力を入れていまして、どんな大きなシミでも約1m離れた場所から判別できない状態にまで落とします。お客様にも大変喜んでいただいており、エリ・脇の黄ばみや汗ジミ、コーヒー・ワインなど食べこぼしのシミ、他店では落ちなかった頑固なシミなど、毎日たくさんのシミぬきのご依頼をお受けしているんです。万が一落ちなかった場合や、反対に簡単に落ちた場合は、シミぬき代はいただいていません。
竹原 強いプロ意識を感じます。こちらが高いリピート率を誇っているのも頷けますね。ただ、最近では低価格を売りにしている同業者も多く見られますし、価格競争が激しくなっているのでは?
横井(秀) そうですね。設備が充実した分、単価が下がっているのは事実で、数をこなさなければなかなか売り上げにはつながりません。業界全体の需要のピークは約8,200億円でしたが、現在では3,800億円ほどにまで落ち込んでいるんですよ。
横井(恵) ですが、お客様の目も厳しくなっていますから、安易に価格を下げるだけでは選んでいただけません。
竹原 では、お客様に選ばれるために、御社ではどの様なことにこだわって?
横井(秀) やはり、クリーニング店である以上、いかに美しく仕上がり、着心地がよくなるかにこだわっています。そのため、新しい技術を常に追求し、洗剤も一番いいものを使用しています。その分コストは掛かりますが、目先の利益を追い求めるのではなく、質の高い仕事に徹することで、お客様に信頼され、その結果、長く選び続けてもらえるようになるのだと思っています。「お客様に喜んでいただく」、それが最優先なのです。
竹原 社長は、本当にこの仕事に誇りをお持ちなのですね。
横井(恵) こうして人と話している時は穏やかで明るい人なのですが、仕事となると人が変わるんですよ(笑)。あまりに没頭しているので、話しかけるのも憚られるくらいなんです。ただ、常にお客様のことを考えて、仕事に対してまっすぐに取り組む人ですから、私も信頼して付いていくことができています。
横井(秀) 妻は受け付けなどを担当していまして、現場のことや私の考えもよく理解してくれています。妻の支えがあるからこそ、思うように仕事ができるのだと、本当に感謝していますね。
竹原 では、最後に今後の展望をお聞かせ下さい。
横井(秀) 市内にどんどん店舗を拡大していきたいですね。私たちには息子が2人いますので、もしも彼らが将来後を継ぎたいと言ってくれた時のためにも、しっかりと基盤を整えていきたいと思います。競争も益々激しくなるでしょうが、「やっぱり『アドバンス』が一番だ」と言ってもらえるよう、妻やスタッフと力を合わせて、お客様に支持していただけるサービスを追求して参ります。
Column
お客様に支持されるためには、お客様に喜んでもらわなければならない。横井社長と奥様のお話を伺っていると、そんな当たり前のことに改めて気付かされる。クリーニングの技術が優れていることは大前提。それ以外にも、訪れる人に快適さを感じてもらえるよう、清潔感溢れる店先にする、いつも笑顔で対応する──単純なことのようでいて、なかなか実践できることではない。ただ、『アドバンス』はそうした小さなことも決して怠らないからこそ、「数あるクリーニング店の中で安心して利用できる唯一の店」という、この上なく名誉な言葉を寄せられるほどに、お客様と強い信頼を築けているのだ。まだまだ現状に満足せず、お客様の喜びのために努力を続ける同社は、今後もクリーニングという仕事を通して地域の人々の生活を彩り続けるだろう。
「クリーニングというお仕事に対して、強い誇りと責任を掲げていらっしゃる横井社長。一見、とても温和な印象を受けますが、胸中にたぎる熱い信念をひしひしと感じました。社長がお父様の背中を見て後を継ぐと決心されたように、きっとご子息も社長の背中に大きな影響を受けられることと思いますよ!」(竹原 慎二さん・談)
名 称 |
株式会社 アドバンス |
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住 所 |
三重県鈴鹿市算所2-4-13 |
代表者名 |
代表取締役・クリーニング師 横井 秀基 |
U R L |
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掲載誌 |
トップフォーラム 2012年5月号 |
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