高品質な再生材の加工・販売で
地球環境と製造メーカーに貢献する
プラスチック購入・再生・販売
ニューム |
株式会社 NEWM |
「リサイクルで環境を守るだけでなく、メーカーにも喜ばれる仕事がしたい」
資源には限りがあり、産業廃棄物は地球環境に悪影響を与えかねない。
その認識が広がり始めたのは、前田社長がまだ学生だった十数年前のこと。
急速に必要性を増したリサイクル事業に将来性を見出し、社長は再生プラスチックの販売業でノウハウを培ってきた。
リサイクルについて学ぶにつれ社長が意識するようになったのは、再生材の質。
リサイクルは地球環境に貢献するが、再生材を使うメーカーにも喜ばれるためには、その質が低いままではいけないと考え、品質向上に努めてきたという。
「世界に必要とされる会社になること」を掲げる同社が目指すのは、リサイクルにかかわる全ての人が満足できる、そんな在り方なのだろう。
再生加工されたプラスチックの販売業としてスタートした『NEWM』。現在はプラスチックの取扱品目を増やし、自社工場を構えて廃棄物の回収から再生加工、販売までを一貫して手掛けている。再生材の質の向上と、リサイクル技術の普及を目指して発展を続ける同社を、志垣太郎氏が訪問。力強く社を率いる前田社長と、江口副社長にお話を伺った。
環境保護の必要性に着目し
リサイクル業で独立を果たす
志垣 『NEWM』さんでは、プラスチックのリサイクルを手掛けておられるとのこと。前田社長はどうして、この業界に入られたのでしょうか。
前田 私が学生だった十数年前は、ちょうどリサイクルが注目されるようになったころでした。資源には限りがあり、廃棄するばかりでは環境に悪影響を与えますから、リサイクルというのは今後ますます必要とされる、将来性のある事業だと思ったのです。卒業後はリサイクル会社に就職し、再生プラスチックの販売に携わるようになりました。車のパーツやレジ袋の原料として、それらのメーカーさんに販売するのです。6年ほど勤めてノウハウを学び、独立したのが7年前のことでした。
志垣 6年で独立というのは、お早いように思いますが……。
前田 周囲からもそう言われました。しかし独立は以前からの夢でしたし、何とかやっていけるだろうという見通しもありました。もっとも競合の多い業界ですので、当初は随分苦労しましたけれど。
志垣 独立されてからも、勤務時代と同じく再生プラスチックの販売を?
前田 はい。仕事を続ける中でさらに勉強を重ね、プラスチックの取扱品目を徐々に増やしてきました。この出水市に2011年8月新社屋を建て、それを機に法人改組し、現在の『NEWM』に社名を改めて今日に至ります。
志垣 こちらには工場が併設されているようにお見受けしましたが、現在は販売以外にもお仕事の幅を広げていらっしゃるのですか。
前田 回収した廃棄物を再び原料にする、再生加工を手掛けるようになりました。勤務時代は販売だけでしたが、いずれは廃棄物回収・再生加工・販売と一貫して手掛けられる体制にしたいと思っていたので、販売先のメーカーさんや、同業者から色々とお話を聞き、準備を進めてきたのです。
優れたリサイクル技術を
出水から日本へ、そして世界へ
志垣 当初は苦労もありましたが、業容の幅を広げ、順調に発展されましたね。
前田 再生加工を手掛けるにあたっては、事業拡大もさることながら、リサイクルのイメージを変えたいという思いがありました。再生材にはどうしても、まっさらの原料に比べて品質が劣るというイメージがあるのです。それを払拭したくて、どうすれば品質を上げられるかと研究してきました。その甲斐あって最近では、再生材でも質の良いものがあるという認識が広まってきたように思います。
志垣 イメージを向上させるため、精力的に動いてこられたと。
江口 社長はアイデアが豊富で、一歩先を見越して次々に行動を起こすんです。情報収集に余念がありませんし、取引先へも積極的に足を運びます。人任せにせず自ら動く、アグレッシブなトップですね。一方で社内にもよく目を配っており、品質やコスト管理については厳しい指導が飛んできます。
志垣 牽引力のある経営者ですね。
江口 ええ。だからといって一人で突っ走らず、皆で一緒に会社を育てようという姿勢を大切にしているんですよ。従業員の意見にしっかりと耳を傾けてくれるので、働きやすい環境だと思いますね。
前田 従業員たちには、「自分が考えていることは積極的にアピールしてほしい」と言っています。当社は若い人が多く、どうも皆自分の意見を言うことが苦手のようなので。それともう一つ、仕事をする上で大切なのは元気です。これは私自身も心がけていることで、いつも笑顔で、元気でいることは仕事に勢いをつけることにもなると思っています。
志垣 法人改組から約2年半で、まだまだこれからというところだと思います。今後の目標は?
前田 日本のリサイクル技術は、世界各国に比べて高い水準を持っています。今後はさらに技術を磨き、この出水から日本各地へ、そして世界へリサイクル技術を広めていきたい。世界に通用する企業になることが目標です。また一方では、従業員に「ここで働いて良かった」と言ってもらえる会社になりたい、と思っています。皆が満足して働き、社会に貢献できる。そんな会社を目指して、これからも従業員と力を合わせて仕事に励みたいと思います。
▲「“再生材は質が悪い”という 従来のイメージを変えたいと思いました」(代表取締役社長 前田 まどか)
▲対談には取締役副社長の江口美恵さんにもご参加いただいた
社名に込められたリサイクルへの、そして発展への思い
▼2007年の創業以来、プラスチックのリサイクルに取り組んできた『NEWM』。その社名には、リサイクルに懸ける前田社長の思いが込められている。NはNeeds(必要とされる)とNew(新しい)。EはEco(エコ)とEarth(地球)。WはWorld(世界)。そしてMはMaker(製造業者)とMove(動く)。「地球の環境を考え、世界に必要とされる製造メーカーになりたい」と、広い視野でリサイクル業に取り組む社長の姿勢が窺える。
▼世界に目を向けた同社の取り組みは、すでに始まっている。2012年9月には、台湾国際プラスチック・ゴム工業見本市「TAIPEI PLAS」に出展。その他国内の展示会にも精力的に参加し、自社の技術をアピールすると共に、さらなる発展のための情報収集・勉強に努めている。同社の事業は鹿児島県から、中小企業を支援する「経営革新計画」の承認を受けており、その発展が期待されるところ。「出水から世界へ」を目標に邁進を続ける同社の、今後の活躍に注目したい。
「前田社長は37歳とお若く、従業員さんも若い方が多いとのこと。そのため活気ある印象を受けました。目標をしっかりと持ち、事業の発展にも従業員にも目を向けておられる社長は、きっと進むべき方向を迷うことはないでしょう。持ち前の元気と高い目的意識で、これからも頑張って下さいね!」(志垣 太郎さん・談)
名 称 |
株式会社 NEWM(ニューム) |
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住 所 |
【本社・工場】 鹿児島県出水市高尾野町下水流759番地2 |
【四国営業所】 愛媛県西条市三津屋南7-7 |
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代表者名 |
代表取締役社長 前田 まどか |
U R L |
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掲載誌 |
リーダーズ・アイ 2014年5月号 |
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