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あなたはどこに納税しますか──

「ふるさと納税」の是非

2008年4月末、地方税法の改正により導入された「ふるさと納税」。自治体への寄付により、住民税などが控除されるこの制度は、日本国民が「納税」というかたちで特定の自治体の発展に貢献できるというもの。故郷を離れて都心で暮らす人々が、納税を通して生まれ育った土地を応援できる、一見“優しい”納税システムだが、寄付を巡って早くもいくつかの問題点が浮上している。
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生まれ故郷や応援したい地方自治体に寄付をすると、住民税などが安くなる──2008年4月末に「ふるさと納税」がスタートした。スタート直後から、寄付を集めるため、各自治体はPRに必死の様相。一方、スタートしたものの、依然として一般に浸透しているとは決して言えないこの「ふるさと納税」とは、何なのか。

 

2008年4月末、地方税法の改正により導入された「ふるさと納税」は、出身地や応援したい自治体に寄付をすると、5,000円を超える分が住民税などから控除される制度だ。例えば、30,000円の寄付で住民税などが25,000円安くなる。つまり、国民が税金の納め先を選べるというわけだ。国や自治体は、一人の住民が生まれてから高校を卒業するまでに、平均1600万円程度の行政サービスを提供すると言われている。しかし、生まれてからずっと生涯を同じ都道府県で暮らす人は、全体の4割弱にすぎず、それ以上に人生の節目においてより住みよい街へと移り住む人が多い。「ふるさと納税」は言い換えれば、地元を離れた人によるふるさとへの恩返しとも言えるだろう。

 

しかし、この「ふるさと納税」、スタート直後から早くも課題が上がっている。まず、現時点で暮らしている土地ではなく、ふるさとへの納税を希望する人が増えることで、市外出身者が多い自治体が財政難に陥る点だ。たとえば、兵庫県芦屋市。プロ野球選手など市外出身者が多く暮らす同市は、高額所得者による高額な「ふるさと納税」が相次いだ場合、億単位の大幅減収が見込まれる。しかし、寄付行為を止めることはできず、「芦屋出身者の寄付に期待するしかない」と同市は頭を抱えている。そこで自治体はある行動にでた──寄付を呼び込むための自治体PRだ。同じく、市外出身者が多い兵庫県西宮市は、「ふるさと納税」により減収が予想されるため、「ふるさと西宮・甲子園寄付金」と銘打って全国の元高校球児や高校野球・甲子園ファンに寄付を呼び掛ける。ここで、「ふるさと納税」を「目的税」と「一般財源」のどちらに充てるのかが注目される。西宮市は、「ふるさと西宮・甲子園寄付金」を甲子園周辺の市道や公園の整備費など、甲子園を国民的財産として守るための事業に充てる考えだという。寄付の募集については、同市のホームページに掲載する他、高校野球大会の開催期間中にはちらしによるPRを検討。寄付金を目的税とする県は多く、他の例としては、群馬県は、(1)尾瀬国立公園の保護・育成 (2)「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録推進 (3)「観光立県ぐんま」の推進 (4)ふるさと群馬の子育て支援 (5)豊かな水源・森林づくり (6)芸術・文化・スポーツの振興 (7)県政一般の7事業などを寄付対象としている。「寄付を通じ、生まれ育った群馬を応援してほしい。1円からでも寄付を受け付けたい」と県は人々に訴える。

 

次に問題視されているのが、寄付の獲得を目指す自治体が、寄付者に地元の名産品をプレゼントする動きが目立っている点。特産品の宣伝機会として捉えた自治体による動きだが、少々度が過ぎているとの声も多い。例えば奈良県については、5,000〜50,000円の寄付者には、大和茶や黒ゴマ、平城遷都1300年記念品など6種類から好きな物を選ぶことができ、50,000円以上の寄付者には大和牛や三輪そうめん、特産品詰め合わせセットが贈られる。ここで心配されるのが、寄付者への特産品贈呈を行う県が、そうでない県よりも寄付を得る傾向を生みかねず、自治体間で大々的にアピールして寄付集めを競い合い、「ふるさと納税」のそもそもの趣旨が見失われかけているのだ。

 

生まれ故郷に限らず、観光などで訪れた思い出の地を第二のふるさととして慕う人もいることだろう。自身に関わりの深い地を納税というかたちで応援する「ふるさと納税」だが、県にとっては、県外からの寄付が期待される半面、県内在住者の県外寄付が多ければ住民税収入が減る恐れもある。また、寄付獲得を目指す自治体間の過度のPR合戦により、自治体同士が足を引っ張り合うようなことになれば──「ふるさと納税」の導入が我が国の地方税法に一騒動を起こすことを覚悟しておかなければならない。

 

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