
「危ない!」
高齢ドライバーの事故防止へ向けて──
急速に高齢化が進む日本では、現在高齢化による様々な社会問題が発生している。その一つが、高齢者ドライバーによる交通事故の増加だ。一般的に65歳以上のドライバーのことを「高齢ドライバー」という。2007年の高齢ドライバーによる交通事故は10万2,961件で、10年前の約2倍に達する。
「高齢ドライバー1,000万人時代」を迎え、単なる交通事故としてだけでは済ますことのできない問題となっている。高齢者ドライバーによる事故の原因で多いのは、一時不停止や信号無視だ。特に75歳以上のドライバーによる交通事故では、3件に1件が交差点などでの出会い頭の衝突だという。さらに多いのは、普段の生活で走る近所の道路で事故を起こすケースだ。また、標識の見間違いなどによる高速道路の逆走も目立つ。これらの事故例を受けて、「社団法人 日本自動車工業会」では2004年に「高齢者交通安全教育推進委員会」を組織し、高齢ドライバーのための交通安全教育プログラム「いきいき運転講座」を開発した。このプログラムでは運転技術の教育だけでなく、脳科学や社会学的アプローチを採用──交通安全トレーニングと交通脳トレを組み合わせることで、安全運転能力と安全意識、脳機能を効果的に高めることができる内容となっている。
一方、政府の取り組みでは2002年に施行された改正道路交通法で「免許返納制度」を導入していることが知られている。これは高齢ドライバーを減らすことを目的とし、自主的に免許を返納したドライバーには、公的身分証明書として使用できる「運転経歴証明書」発行しているが、あまり普及していない。その理由は日本が「クルマ依存社会」であるからだ。「車が運転できないと困る」という高齢者は、都市部の4割に対して、山間部では8割に達している。多くの人が車がないと生活できない状況に陥っており、同時に少子化や現役世代の都市部への流出がこれに拍車をかけているのだ。
高齢ドライバーによる交通事故の減少を実現するためには、官民一体となり安全な運転を実現できる環境作りに取り組んでいく必要がある。老化による運転能力の衰えは、高齢ドライバーによる事故の大きな原因の一つだろう。しかし彼らが直面しているのは、そうした表層的な問題だけではない。深刻なのは、高齢者自身が自らの運転技術や能力を過信していることなのだ。車を運転してきた年数が長いばかりに「自分は運転に慣れているから大丈夫だ」などと高をくくってはいないだろうか? 大切な人の命を守るためにも、今一度自らの運転に対する姿勢を問いただしたい。