
安全な家に住みたい!
入居者を守る防犯優良マンション
警察庁の住宅侵入窃盗の情勢に関するデータ(2007年)によると、4階建て以上の中高層住宅への窃盗のうち、犯人の侵入口として最も多いのが表出入り口、次いで窓となっている。この事実は、マンションに住まう人にとって非常に不安な要素であろう。侵入が容易で、死角の多い特徴を持つマンションでは、侵入者による犯行が堂々と行われていることを意味するからでだ。またマンションでは、近年子どもが上層階から突き落とされるといった痛ましい事件が起きている。そんな中で、安全に住めるマンションを求める人々から大きな注目を集めているのが「防犯優良マンション」と呼ばれる、防犯性の高いマンションである。では、具体的にどのようなマンションが防犯優良マンションとして認定されるのか見ていこう。
「防犯優良マンション認定事業」は、各都道府県の住宅・建築業に携わる法人と、防犯に関する公益的事業を実施する法人が共同して行う事業である。ある建物が防犯優良マンションとして認定されるには、次のような様々な条件に適合しなければならない。
・共用玄関には、オートロックシステムを備えた玄関扉及びその玄関扉を通過する人物を写す防犯カメラが設置されていること
・エレベーターは、非常時において押しボタン、インターホン等によりかご内から外部に連絡又は吹鳴する装置が設置されていること
・通路の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、路面において3ルクス以上の平均水平面照度が確保されていること
「防犯優良マンション標準認定基準」には、上記のようなチェック項目が多岐にわたって設定されており、それらをクリアしたマンションが防犯優良マンションとして認定される。この基準は、防犯性の高いマンションに対する認識を全国に普及させるべく、「社団法人 日本防犯設備協会」と「財団法人 全国防犯協会連合会」、「財団法人 ベターリビング」の3公益法人が、警察庁と国土交通省の指導を受けて策定したもの。この基準をもとに、今、全国で認定事業が推進されている。チェック項目の審査は、一級建築士や防犯設備士といった専門家のうち、防犯優良マンション認定審査員として認定された者が行うので、評価の信頼性は高い。
すでに大阪府では2001年から「大阪府防犯モデルマンション登録制度」をスタートしており、2005年末までに287件のマンションが防犯モデルマンションとして登録された。また、登録されたマンションには金属製の登録証プレートが交付され、建物の入り口付近に掲げられている。
防犯優良マンション認定事業は、単に安全そうに見えるマンションを優遇するというような安易な事業ではない。認定審査員によって、防犯性向上のための具体的なチェック項目を満たしたマンションだけが認定されるのだ。優れた防犯措置が施されたマンションを、公正かつ中立的な立場で認定し、情報発信することは大変意義深い。こうした取り組みは、消費者の適切な住まい選びの一助となるだろう。また防犯性の高いマンションを求める人々にとっては、非常に信頼のおける指標となるはずだ。
さらに「防犯モデル駐車場制度」という新たな制度も始まり、2008年3月時点で8都府県において、整備・運用されている。マンションだけでなく、生活すべてのシーンで防犯性を高めようという動きが強まっているといえる。
しかし、消費者は防犯優良マンションを自らの住まいに選んだとしても、自分でできる防犯対策を忘れてはならない。安全なマンションに住んでいるからと油断して、部屋に入ったらすぐにドアを施錠する、窓を開けっぱなしにしないなどの基本的なことが疎かになり、逆に泥棒に狙われるケースも多いからだ。安心して生活できる住まいの空間と、居住者の高い防犯意識──これらがそろって初めて、本当の安全が生み出されるといえるだろう。