布川 斉藤院長が医療の道を志されたきっかけは何でしょう。
斉藤 元々、私の親族には医療関係の職に就いている者が多いんですよ。特に祖父は昔、町医者として地域の各家庭を往診して回っており、私は幼いころよくそれについて一緒に回っていました。そこで皆に慕われる祖父の姿を見たことが、医者を目指そうと思った最初のきっかけですね。
布川 中でも眼科を選ばれたのには何か理由がおありなのですか。
斉藤 大学での実習時に様々な科を回った際、眼科で白内障の手術を受ける患者さんを担当しました。ほとんど眼の見えない方だったのですが、手術を受け視力が回復し、とても喜んで下さったんです。その感激の度合いが、私には他の科と比べものにならないぐらい大きく見え、「こんなに喜んでもらえるなら医者として本望だ」と思ったんです。その後は眼科学教室に入局し、多くの症例の手術を経験させていただいて、博士号を取得した後、総合病院で働き始めました。長年勤務医として病院に勤めていましたが、大抵の患者さんはかかりつけ医からの紹介を受けて来られるため、ほとんどふれ合いはなく、手術をするだけの関係。開業医であった祖父を思い出すとどうしても、私が幼いころから思い描いてきた医者の理想像と現実の姿にギャップを感じずにはいられなかったんです。
布川 お祖父様の姿が院長の目指す医療の姿であり続けたのですね。
斉藤 ええ。しかしそんな折、こちらの医院をなさっていた先生が閉院するので、私のもとに「開業をしてみては」という話が来ましてね。願ってもないことでしたのでお受けし、2010年に「西新宿さいとう眼科」を始めた次第です。
布川 では診察に際して大切にしておられることをお聞かせ下さい。
斉藤 患者さんとの会話です。コミュニケーションを密にし、小さな病変も見逃さないで早期発見を心がけ悪化を防ぐ。そして患者さんが自分の悩みを気軽に打ち明けられる環境を作ることが、開業医である私の役目だと思いますし、こういった町医者としての生き方に今、とても充実を感じていますよ。
布川 大学病院では数々の症例を見、大病院でも高度な医療技術を培ってこられた院長ですから、患者さんも安心して身を任せられることでしょうね。これからの展望についてはいかがお考えですか。
斉藤 現在は、土曜と日曜、祝日の診療に加えて、診療時間を19時まで延長し、仕事帰りの方々が診察を受けられるようにしているんです。今後も緑内障などの疾患の早期発見を心がけ、さらに予防医学にも力を入れて、地域の皆さんの眼の健康を守り続けていきたいと思います。