羽田 早速ですが、佐藤社長の歩みからお聞かせ頂けますか。
佐藤 私は元々機械が好きでしてね。工業高校卒業後、機械塗装のアルバイトを始めたんです。それがこの世界に入ったきっかけで、7年ほど同じ会社に勤めて経験を積んだ後、独立を果たしました。
羽田 独立当初はどのようなお仕事を中心に手掛けておられたのでしょう。
佐藤 当初は建機レンタル会社さんが貸し出した建機の出張修理・メンテナンスを手掛けていました。当時はまだスタッフもいませんでしたので、私一人で軽トラックに乗り、現場から現場を駆け回っていたものです。そして、そこから徐々に業務内容をシフトし、現在は輸出用建機の修理をメインに手掛けています。具体的には、海外へ輸出する建機が動かなかったり油が漏れていたりした場合にそれを修理するという仕事になりますね。
羽田 輸出前最後の整備・メンテナンスを手掛けておられるのですね。
佐藤 ええ。また、船の運賃はスペースで決まりますので、そのスペース内に納められるように機械本体と付属部品を分解して梱包したりするといった作業も行っています。
羽田 輸出用建機を扱っておられるということですし、取引先はやはり貿易会社さんが中心なのですか。
佐藤 そうですね。貿易会社さんや、“乙仲”と呼ばれる海運貨物取扱業者さんとお付き合いさせて頂いています。当社が拠点を構えているこのヤードは2,000坪ほどあり、常時400台ぐらいの機械をストックしています。
羽田 お仕事上ではどういったことを大切にされているのでしょう。
佐藤 お客様の要望に対して迅速に対応する“機動力”ですね。例えば現在、当社はゼネコンさんともお付き合いがあり、海外の現場で使用する中古建機の整備を請け負っているのですが、輸送コストなどの関係からゼネコンさんは少ない台数しか現地に持って行きません。ですから、もし現場で機械が止まってしまうと代わりになる機械がないため、当然工事が中断してしまいます。そこで私は、不測の事態が起こったという連絡が入ればすぐさま現地まで飛び、修理を行っているんですよ。若さを活かした機動力では他社に負けないと自負していますし、私自身、「明日、海外へ行け」と言われてもすぐに出られるよう常に準備を整えています。
羽田 それは心強いですね。
佐藤 ありがとうございます。そうして現場で機械が止まってしまったときや機械が船に積めなくて困っているというときに、お客様からの連絡を受けて即座に駆けつけて対応すると「ありがとう」「助かった」と言って下さるんです。その言葉に勝る報酬はありませんね。
羽田 なるほど。となると、社長が海外に出掛けている間はスタッフの方に会社を任せておられるわけですよね。
佐藤 ええ。当社の隣にある貿易会社の「フィールドエスト」さんとは仲良くさせて頂いていて、そちらが事務の面でサポートしてくれています。私がいない間は役員をはじめスタッフの面々が普段より力を合わせて業務に取り組んでくれています。
羽田 人材育成においては、どういったことを重視されているのですか。
佐藤 一人ひとりの意見を尊重するということです。昔はトップダウンで自分が思ったやり方を指示していたのですが、それではたとえ業務が円滑に進んでも、スタッフ一人ひとりの“考える力”が養われないということに気付いたんですね。ですから、今はミーティングを開いて各自の意見を聞き、それを尊重して仕事を進めてもらうようにしています。もちろん、スタッフたちの意見を聞いて「こうすれば良いのに」と思ったりすることはありますが、そこは我慢ですね(笑)。
羽田 上に立つ人にとって、部下を「見守る」という行為は勇気のいることだと思います。けれども、その中でもあえてスタッフの皆様に任せ、見守ろうとする社長に懐の深さを感じます。それではお話も尽きませんが、最後に将来の展望を。
佐藤 今後はもっと海外に目を向けていきたいと考えています。中でも私が注目しているのが中国で、現在は実際に現地まで足を運び、お客様の紹介で人脈を広げるなど中国進出のための土台を築いている段階なんですよ。そして現地の修理工場などとお付き合いをさせて頂くことで、部品調達コストの削減を図り、ゆくゆくは海外での建機リース事業なんかも手掛けてみたいですね。
羽田 夢が広がりますね!
佐藤 当社はまだ設立5期目を迎えたばかりの小さな会社ですが、だからこそ後ろを向かず、前向きに事業を展開していきますよ!
羽田 陰ながら応援させて頂きます!
▼「朝起きて『会社に行くのが嫌だな』と思わないような、明るく楽しい会社にしたい」。それが『フィールドメンテナンス』の佐藤社長が考える理想の会社像だ。だからこそ社長は、会社の経営においてスタッフを第一に考え、一人ひとりがやり甲斐を持って働くことができるようにとより良い職場環境の構築に力を注いでいる。例えば仕事終わりに食事に連れて行ったり休日にバーベキューを行ったりしているのもその一つ。そういったイベントを催すことで日ごろの労をねぎらうとともに、皆の連帯感を深め、スタッフ同士の良好な人間関係の構築に役立てているのだ。そんなスタッフ思いの社長だからこそ、スタッフ一人ひとりの持つ輝きを最大限に活かすことができるのだろう。