梶原 まずは、浦野社長のこれまでの歩みからお聞かせ下さい。
浦野 私はここが地元で、実家は車の修理工場を経営していました。そのため大学卒業後は実家に入り、20年以上にわたって修理業に携わっていたのですよ。ですから、当時は私がゴルフ練習場を手掛けるなんて少しも考えていませんでした。
梶原 では、どのようなきっかけがあって『枚方バイパスゴルフ』さんを始められることに?
浦野 この場所はもともと会社が副業に活かそうと購入した土地で、以前は自動車教習所でした。ところが自動車制度の変更などもあって縮小することになり、その土地にゴルフ練習場を立ち上げたのですよ。ありがたいことに地元の方を中心にご愛顧頂き、オープンから35年以上が経ちました。
梶原 今日もたくさんのお客様がいらっしゃいますね。どういったところがお客様の支持を集めている要因だとお考えですか。
浦野 まずは100打席・150ヤードのワイドレンジな練習場であることですね。ですから、打席で風を感じながらのびのびと練習に打ち込んで頂けますし、打席は北向きなので朝日が眩しかったり日焼けしたりなどの心配もありません。また、当初からお付き合いのあるお客様がシルバー世代になったのを受けて、会社を退職した後の趣味や健康増進に役立てて頂ければと、平日は早朝5時から11時まで、休日は5時から8時まではモーニングサービスを実施しているのも当練習場ならではですね。その時間は料金を格段に抑えていますから、500円一枚あれば存分にお楽しみ頂けるんですよ。加えて、女性の方にも気軽に楽しんでもらえるようにレディースデーの開催やお誕生日プレゼントなどのレディース特典を設けたり、クラブの貸し出しも行っています。
梶原 お客様を第一に考えた経営を行っておられることが窺えます。
浦野 また当練習場はアナログな部分を大事にしているんです。最近は自動でボールが出てきて、すぐに打てる練習場が主流でしょう。その点、当練習場では、かごに入ったボールを自分で一つずつピンに置いて打つという昔ながらのスタイルなんですよ。
梶原 1球1球を大事にするという意味では、そちらの方が良いという話を聞いたことがあります。
浦野 ええ。屈伸運動にもなりますし、ご自身のペースでじっくりと練習できるのが良いところですね。それに練習している様子をレッスンプロが見て、ちょっとしたアドバイスをさせて頂いているのも当練習場独自のスタイルです。スクールだと時間もお金もかかりますし緊張するでしょうが、練習中の助言程度であればお金もいりませんし、すぐに実行に移せますからね。また、回数券も機械ではなく手渡しで販売するというスタイルを採っていますので、お客様とスタッフ間で会話があるのも特徴と言えます。機械化した方が便利なのでしょうが、人と人とのコミュニケーションを大事にしていきたいと考えていますので、今後とも人の手を使った心の通ったサービスにこだわり続けたいですね。お陰様で平日の午前中からたくさんの方にお越し頂いており、週末は順番待ちになるときもあるのですよ。
梶原 そのアットホームな雰囲気が人気の秘密なのでしょう。日ごろスタッフの方におっしゃっていることは?
浦野 「ありがとうございます」とか、「お疲れ様でした」、「いらっしゃいませ」という当たり前の一言に真心を込めてお客様にお届けするように言っています。心がこもっているかどうかは態度に表れますし、そこがきちんとできなければいくら良い設備があっても意味がないと考えているのです。ゴルフ練習場に限らずどの商売でも同じでしょうが、礼節を大事にしないようではお客様がいずれ離れてしまうもの。ですから、とにかく挨拶だけは徹底させているのですよ。
梶原 社長ご自身、今も現場に出られることはありますか。
浦野 もちろんです。営業時間終了後は率先して球拾いをしていますし、芝のメンテナンスも私が行っています。自ら動いて汗をかかなければ誰もついてきませんし、そうして自分の目で見て回ることにより、練習場の不備や劣化などに気付くことができますからね。
梶原 最後にこれからの展望を。
浦野 今後もゴルフ好きが集まるような場所として、また地域に密着した施設として貢献できれば良いですね。そのためには、お客様に喜んでもらえる施設であり続けることが大事ですから、これからも当練習場のこだわりを貫きながらもニーズに合わせて様々なサービスを行っていきたいと思います。
▼アナログなサービスにこだわり、スタッフたちにも礼節を徹底させるなど、心の部分を大事にしている浦野社長。「インドアの練習場なら施設内を常に綺麗に保てますし、自動でボールが出てくる機械を使うとショットだけに集中できます。しかし、室内練習場だと天候を見たり風を感じたりできませんし、機械を使うとボールを一つずつセットしながら自分のペースで打てる喜びはありませんよね。古くさいと言われるかもしれませんが、私はそうした昔ながらの雰囲気と心が通じ合えるサービスを大切にしていきたいのです」と語る。何もかもが機械化の方向へと突き進んでいる現代社会。そんな味気ない時代だからこそ、社長の提唱するサービスは多くの人に受け入れられているのだろう。