竹原　こちらは、2008年の春に開塾されたばかりだそうですね。まずは、開塾までの歩みから。

冨沢　当塾は、私と塾長を務める秋元が共同経営しており、私たち二人の出会いがすべての始まりでした。私たちは以前、同じ塾で講師をしており、私が文系で秋元が理系。分野は違いましたが、食事をするなど交流を持つ中で、いつか自分の塾を開きたいという夢を二人とも持っていて、語り合っているうちに意気投合したんですね。ただ、私はその後、一旦日本を離れたんです。もともと英語教師を目指して大学で英語を専攻し、大学院を出ているのですが、さらに勉強をとイギリスの大学院へ留学しました。そして卒業を控えた頃、秋元が「まだ塾を開く気持ちはありますか」と連絡をくれたんです。大学で勉強してきたことを活かして、生徒のための指導を行いたい。そのために自身の塾を開きたいとの思いがありましたから、帰国後、いよいよ秋元と二人で当塾の立ち上げを進めたのです。

竹原　秋元塾長は、いかがですか？

秋元　私は大手学習塾に勤めていたのですが、規模が大きくなればなるほど、指導と経営のバランスを取るのは難しくなるもので、講師としてジレンマを感じていたんです。私は生徒のことを第一に考えた指導をしたかったのですが、色々と制約が多かった。冨沢同様に、理想を実践するためには開塾しかないと思っていました。

竹原　互いにとって、理想を共有できる存在だったのですね。お二人とも生徒のことを第一に考えておられる。こちらではどういった指導スタイルを採られているのでしょう。

冨沢　生徒一人ひとりへのきめ細やかな指導をモットーとし、「先生1人に生徒2人」もしくは「先生1人に生徒1人」のコースを用意して個別指導を行っています。生徒は学校での活動などで忙しい毎日を送っていますから、時間や曜日はできる限り生徒の希望に合わせ、それぞれの生活パターンや実力に応じたペースで指導をしているんです。当塾では、生徒の入塾後、まずは何気ない会話からどんなタイプの子なのかを見極めます。学校での様子や、放課後や休日はどんな遊びをするのか、他愛ない会話を楽しみながら生徒の性格を探り、また年齢や育った環境も個性を生みますから保護者の方にご家庭での様子も伺う。そうして一人ひとりをよく理解した上で、最適な個別指導法を採っているのです。

竹原　生徒一人ひとりに指導をオーダーメードされているわけですね。試験前にもなると、対策に追われる生徒への指導で、先生方もお忙しくなるでしょう。

冨沢　そこは任せて下さい。当塾最大の強みは補習力にあり、必要に応じて追加指導を行っています。通常授業の他に、試験前は私たちが空いている時間に補習授業として生徒を呼ぶんです。そこでも直接指導を行うことによって、さらなる定着を図ります。自主学習方法についても、講師から生徒にアドバイスをしている。生徒が必要としている時に、必要な指導を提供する、それが当塾なのです。追加指導に料金が発生することは、もちろんありません。

竹原　無料なのですか！？

冨沢　私たちがしたくて指導していますから（笑）。実際、試験前になると指導が長時間にわたりますので生徒からは「先生、働き過ぎて大丈夫？」、保護者の方からは「本当に、よろしいのですか」と心配されますが、「大丈夫です。好きでしていることですから」とご説明しています。生徒のための教育に徹することが、塾を開業した動機ですから。

竹原　そこまで生徒のことを考えていらっしゃるお二人ですから、生徒の成績が上がった時は、本当に嬉しいでしょう。

秋元　指導者の喜びです。でも、それ以上に嬉しいのは、生徒がやる気を見せてくれることです。勉強は、本人がその気にならなければ真に身につくものではありません。勉強が苦手だった子が、本気になって勉強に取り組み始めると、内心ガッツポーズですよ（笑）。

竹原　（笑）。指導者冥利に尽きますね。最後になりますが、お二人それぞれから今後の意気込みをお聞かせ下さい。

冨沢　生徒たちの努力に対してこちらも努力で返し、努力が足りない生徒がいれば努力してくれるよう私たちがさらに努力する。そうして一緒に成長していきたいです。私は生涯、子どもたちの教育に携わっていたい。開塾当初の初心を忘れず信念を持って指導に取り組み、教育現場から離れることはないでしょう。

秋元　新たな取り組みとして、10人ほどの少人数制授業を考えています。あくまでも生徒一人ひとりに目を行き届かせられるシステムを守った上で、生徒の能力を最大限に引き出せる指導スタイルを探り続けていきたいです。

竹原　本日は、ありがとうございました。