【大塚社長の歩み】
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大西 まずは大塚社長のこれまでの歩みから伺います。
大塚 元々独立志向が強く、若いころから起業を考えていました。そして、自分の会社を興すためには色々なものを見て学び、幅広い視野を身につける必要があると感じ、学業修了後は様々な分野の仕事に携わって経験を積んだのです。
大西 ハングリー精神が旺盛でいらっしゃるのですね。独立されたきっかけは何かおありだったのですか。
大塚 26歳のとき、勤めていた会社が経営難により事業の撤退を余儀なくされましてね。その直後、独立を決意して顧客のもとに挨拶に出向きました。お客様にご迷惑をかけるわけにはいきませんから、それまでの業務を引き継ぐ形で、次の日から個人で仕事をするようになったんですよ。それが当社のはじまりです。
大西 冷静な判断力と大胆な行動力があってこその独立と言えますね。その後は順調に?
大塚 とんでもない。これまでに何度となく大変な状況に陥りました。逃げ出したいと思ったこともありましたが、その度に「ここで仕事を投げ出すようなら、他のどんな仕事に携わったとしても成功はない」と自分自身に言い聞かせて頑張ってきました。その後、勤務時代から懇意にして下さっているお客様をはじめ、多くの方に支えられ、2000年に『ダイエー食販』を、翌年に『大塚食産』を立ち上げたのです。お陰様で現在は経営も順調で、売り上げは年々増えています。
大西 お若いころのそうした経験は、大きな糧になっていることでしょうね。
大塚 ええ。若いころの苦労は買ってでもしろと言いますが、まさにその通りだと思います。私自身常に目標を持ち、その達成を目指して必死で突き進んできたことで、自ずと知識や経験が増えましたし、来たるべきときに備えて準備もできました。そうした姿勢によって道も拓けたのだと思います。
大西 では御社の事業内容についてお聞かせ下さい。
大塚 『ダイエー食販』がメインとして扱っているのは鮮魚で、生鮮野菜などとともに国内の市場で卸売販売を行ったり、飲食店やホテル、大手百貨店などに納めたりしています。また『大塚食産』では、様々な海産物の輸出を中心とした貿易事業を展開。皆さんの“安心・安全な食”のために、微力ながら貢献させて頂いています。
大西 ずばりこのお仕事の魅力は?
大塚 生活の根幹を成す“食”に深く関われることですね。美味しいものをお腹いっぱい食べれば誰でも笑顔になるでしょう。その笑顔を引き出す仕事をしているんだと思うと、大きなやり甲斐を感じます。私自身食べることが好きで食には精通しているつもりですが、仕事で全国各地をまわると、行く先々で「こんなに美味しいものがあったのか!」と感動の瞬間があるんですよ。自らの目で食材を見て実際に食べることで、この仕事を極め、本当に美味しいものを見出したい。そして、その感動を消費者の皆さんに提供していければと考えています。
大西 食に対する思い入れが窺えます。一つひとつの商品にスタッフの皆さんの気持ちが詰まっているのでしょうね。
大西 食の安心・安全が叫ばれるようになって久しいですし、御社が社会に果たす役割は大きいと思います。
大塚 仰るとおりです。毒入り餃子事件や米の転売問題など、これまでに消費者を裏切るような行為が明らかになってきました。加えて、長引く不況の影響で農家などの生産者が次々と廃業に追いやられています。今、日本の“食”は大きな危機に瀕していると言っても良いでしょう。私どもはそうした現状を少しでも改善すべく努力しなければなりません。
大西 食に携わる企業として、強い責任感を胸にお仕事をされていることが伝わってきます。
大塚 また、我々中小企業が成長していくためには常に一歩先を考え、さらなる攻めの一手を打たねばなりません。そこで当社では以前からの課題であった国内での競争力の強化と販路拡大、それに貿易事業の拡充を図るとともに、新たに養殖事業関連のプロジェクトを立ち上げ、2012年の始動を目指して動いているところなんです。その他、海洋資源の保護活動も行っていきたいですね。
大西 海洋資源の保護活動ですか。
大塚 ええ。温暖化や人間の活動が原因で魚や貝類など海洋資源が減少しているのは周知の事実。そうした資源の重要性を呼びかけることで食に携わる者としての責務を果たしていけるのではと考えているんですよ。環境の面からも食の安心・安全を追求するとともに、とびきりの「美味しい!」を提供することで、食卓の笑顔を支えていきたいですね。そして次世代の子どもたちが、将来に夢を持てるような豊かな社会の実現を目指して、全力を尽くしていく所存です。
大西 陰ながら応援しています!
▼経営者としての秀でた才覚と不断の努力によって、会社を導いてきた大塚社長。だが成功を掴んだ今も謙虚な姿勢を忘れない。対談では「これまでを振り返ってみると周囲の方からの支えに助けられるばかりで、“感謝”の一言に尽きます」と周囲への思いを口にしていた社長。歩んできた道のりは決して平坦なものではなかったが、差し伸べられた多くの手によって成長してきたことを心に刻み、さらなる高みを目指していく構えだ。
▼そんな社長は現在、東京青年会議所板橋シニアクラブに所属しており、多くの経営者と交流を深めている。「中小企業の経営者は孤独で、ときには相談できる相手もいない中でスタッフを引っ張っていかねばならないことも。ですが、同じ立場の仲間が集まり互いに様々な議論をすることで、有益な情報が得られ、前向きになれるんです」。同じ経営者だからこそ分かり合える悩みがあり、かけ合える言葉がある。人とのつながりは、社長にとって何よりの心の支えとなっているのだ。新規プロジェクトにおいても、周囲から有益な意見をもらうことが多々あり、大いに刺激を受けているという。
▼また人とのつながりを大切にする社長は地域貢献活動にも積極的に取り組んでおり、子どもたちが夢や希望を持て、それが実現できる社会“日本”の実現を目指す。今後も事業を通して、支援者や顧客、スタッフ、家族、全ての人に恩返しをしていきたいと話す社長。これからの活動に注目だ。
有限会社 ダイエー食販
大塚食産 株式会社
【本店】
埼玉県熊谷市万吉1270-6
【支店】
東京都板橋区弥生町29-14 2F