素材の持ち味と可能性を引き出す、職人芸を見よ!豊富なアイデアと確かな技術で施主のイメージを最大限表現する

有限会社 井上工業

代表取締役 井上 秀雄

ご子息 井上 博

【異業種ネット】月刊経営情報誌『現代画報』特別取材企画 掲載記事─略歴

【代表取締役 井上 秀雄氏の足跡】

熊本県出身。学業修了後、すぐに左官職人の修業をはじめ、一人前となってからも全国各地で経験を積む。1979年には『井上工業』を創業し、以来その高い技術力で施主の信頼を獲得し続けている。

内壁や外壁、エクステリアなどの左官工事を手掛けている『井上工業』。公共工事から一般住宅まで幅広い物件を手掛けており、最近では飲食店などの施工に対する評価も高まっている。個性的なデザインと美しい仕上がりは、まさに職人芸。完成した物件を見た人からの受注も増加しているという。タレントの布川敏和氏が、井上社長とご子息の博氏に、左官業に対する熱意を伺った。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『現代画報』特別取材企画 掲載記事─対談

布川 はじめに『井上工業』さんの主な業務内容をお聞かせください。

井上 公共工事から一般住宅まで、リフォームをはじめとする左官業務を手掛けています。近年では息子の博が受注してくる店舗内装の割合が増えていましてね。飲食店などは内装にも外装にもこだわるオーナー様が多いので、面白い仕事を多数いただいています。思わず「その店に入りたい」と思わせるような個性的な仕上がりを考えるのは、左官職人の醍醐味だと思いますね。

井上(博) 左官工事は資材の配合や仕上げ方などで見た目が大きく変わるんですよ。オリジナリティーが表現できますし、私共の仕事をご覧になった方から、次の仕事のお話をいただくことも増えています。

布川 そうなると、施主様との打ち合わせが重要になってくるのでは?

井上 その通りです。先ほども博が申し上げた通り、同じ素材でも盛り方、コテの使い方で印象が変わりますから、施主様の細かなニーズを汲み上げることが最も大切なんですよ。以前、一般住宅の依頼で4度目につくった見本を採用された方がおられました。

布川 それほどこだわりをお持ちの施主様に認められる仕上がりを実現されているのですね。ところで、最近では漆喰や珪藻土の内壁が健康に良いと、左官職人さんの仕事が見直されていますね。

井上 漆喰や珪藻土の内壁は呼吸することで湿度を調整しますし、自然素材なのでシックハウス症候群なども避けられます。特にアレルギー体質の方に優しい内装素材ですね。身体のことを考えた家づくりを突き詰めると、我々職人の仕事に辿り着くというのはうれしいことだと感じます。

布川 井上社長が、左官業に誇りを持っていらっしゃることが伝わってきます。社長は、左官業一筋なのですか。

井上 ええ。熊本市で修業を開始し、一人前になってからは北九州や鳥取、大阪、東京などを転々としました。その後帰郷し、親戚から建築会社の下請けを紹介されたのが当社のはじまりです。独立してからもお客様がお客様を呼び、随分忙しくさせていただきました。仕事が増えるにつれ職人を雇うようになり、現在では10名の職人が頑張ってくれています。博も2008年から当社で修業をはじめ、皆に指導してもらっているんですよ。

布川 最近になって左官業の良さが見直されつつあるとは言え、職人のなり手が少ないとも聞きます。多くの職人さんを抱え、かつご子息まで修業されているとは、今後が楽しみですね。人材育成の秘訣は、一体何なのですか。

井上 まずは朝礼を大切にしています。職人の仕事は、朝の挨拶からはじまるもの。早朝より集まり、挨拶を兼ねたミーティングを行っています。職人は無口な人間が多いので、お客様の目を見て、よく聞こえる声で挨拶をしてほしいというような話をしていますね。そしてチームワークを育むことが、仕事の上では一番大切なことと思います。ですから毎年慰安旅行に行って、皆とコミュニケーションを取るようにしているんですよ。時には現場監督さんや設計士の方をお誘いすることも。そうやって横のつながりを太くしていくことも、良い仕事をするには必要なんです。そんな風にチームワークを育み、力を合わせた作品が施主様に喜ばれる時が、一番うれしい瞬間ですね。

布川 それでは最後に、今後の展望をお願いします。

井上 今のところ、息子が一人前になれば引退しようかと考えています。ですが職人には定年がありませんし、きっと生涯現役で現場に立ち続けているでしょうね(笑)。これからも皆で力を合わせて、施主様の期待に応える仕事を続けていきたいと思います。

布川 ご活躍を期待しています。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『現代画報』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

「職人達の頑張りが次の仕事を呼び寄せ、施主様からの信頼につながっています」(代表取締役 井上 秀雄)

職人のこころ

▼「建物の善し悪しは、左官の仕上げに掛かっている」──。そう語るのは、『井上工業』の井上社長だ。左官職人一筋に腕を磨いてきたという、誇りが垣間見える発言だろう。だからこそ、社長は現場を“作品”と呼ぶ。左官工事は土壁から現在も進化し続ける左官材料まで、様々な素材を組み合わせ、盛り方、コテの使い方で施主のニーズに添った理想の建築物に仕上げていく。職人の知識と技術、施主のアイデアと思いが組み合わさって出来上がるそれは、確かに世界に二つとない作品と呼ぶにふさわしいものだ。

▼だが、作品はたった一人の職人の力だけで仕上がるものではない。多くの職人との連携、設計士、現場監督など、様々な人のプロ意識がつくりあげるものだ。故に社長は、周囲を大切にする姿勢を忘れない。それこそが、もっとも重要な職人の魂ではないだろうか。

対談を終えて
「基本的な素材となる漆喰などの壁材に工夫を加え、職人技で仕上げるために、世界に二つとない仕上がりになる塗り壁。当然、そんな依頼をする施主様のこだわりは強いでしょう。『井上工業』さんは、そんな施主様の期待に応え続け、職人の名に恥じない仕上がりを約束することで評価を高めていらっしゃる。だからこそ、不況の中でもお仕事が途切れることがないのでしょうね。ぜひこれからも職人芸を提供し続けてほしいと思います」(布川 敏和さん・談)

【異業種ネット】月刊経営情報誌『現代画報』特別取材企画 掲載記事─会社概要

名 称
有限会社 井上工業
住 所
熊本県上益城郡御船町小坂2219-4
代表者名
代表取締役 井上 秀雄
掲載誌
現代画報 2010年8月号
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