電気工事・空調設備及び住宅全般
■背中で語る男の決意
経営者のやり甲斐とは一体何か──。売上を上げること、会社を大きくすること……確かにそれもやり甲斐の一つだろう。しかし、鹿谷社長は「従業員とその家族の生活を背負うことですね」と語る。ともすればプレッシャーにも感じられることを、社長はやり甲斐へと昇華し、時には先頭で身体を張って、時には後方から力強く、皆を守り、支えているのだ。その頼もしい背中は、まさに“人を率いる長”と呼ぶに相応しい。
大西 まずは鹿谷社長の歩みから。
鹿谷 生まれは広島県で、3歳のころに大阪へと引っ越して来て以来、ずっとこちらで過ごしています。幼いころから活発で、中学・高校時代はよくやんちゃをしていましたね(笑)。
大西 そうなんですか(笑)。学校を卒業された後はどのようなお仕事に?
鹿谷 知り合いの紹介で、運送会社に就職しました。電気工事の世界に入ったのは19歳のころです。友人が勤める町の電気屋さんで働いていたのですが、そちらの親方がとても厳しい人でしてね。親方からは毎日のように叱られていましたが、根が負けず嫌いなものですから、「今年中に電気の資格を取得しろ」と言われた時も、「絶対に取ってやる」という一心で修業に励み、資格を取得したんです。今思えば、親方が厳しかったからこそ電気工事の仕事を続けられたのだと思いますし、親方には本当に感謝しています。そして、そちらでの修業を終えた後は水道設備工事や消防設備のメンテナンスなどに携わり、2008年に独立。電気・空調設備工事やオール電化・太陽光発電システムの取付施工を手掛ける『ロク総合設備』を立ち上げました。
大西 様々な経験を積み、満を持して独立されたのですね。
鹿谷 しかし、現実はそれほど甘いものではなく、当初は色々と苦労しました。一時は全く仕事がないこともあったほどです。けれど、ありがたいことに、周囲の皆様のご助力もあって何とか苦境を乗り越え、それからは比較的順調に事業を展開することができています。お陰様で、現在は多忙を極めている状態で、休日も返上しているほどなんです。
大西 うれしい悲鳴ですね。ご依頼は施主様から直接請けておられるのですか。
鹿谷 基本的には商社さんをはじめとした法人からの請負工事が多いですね。とは言え、我々が手掛ける現場は、施主様が実際に生活をなさっている住宅の中ですから、施主様とのコミュニケーションがスムーズに取れなければ、良い仕事はできません。ですので、従業員達には、技術を磨くだけでなく人間性も磨いてほしいと話しているんですよ。また、オール電化や太陽光発電システムなどはどんどん進化していますから、同業者さんや元請け会社さんとのネットワークなども活かしながら、常に最新の情報を集めるように心掛けています。
大西 そういった姿勢が、確かな信頼となって御社の評価を高めているのでしょう。現在、従業員の方は何名ほど在籍されているのですか。
鹿谷 5名です。独立当初から働いてくれているメンバーが中心で、年齢こそ私より下ですが、皆とても頼りになる存在です。先ほど申し上げた通り、今は多忙を極めているのですが、それでも文句を言わずに頑張ってくれているんですよ。皆には本当に感謝の気持ちで一杯です。
大西 それでは最後に、将来に向けての展望をお聞かせください。
鹿谷 ありがたいことに、現在は近畿地方のみならず関東からもお声を掛けていただいておりましてね。そういった依頼に応えるため、人員を増加するなどして体制を整え、ゆくゆくは関東の方にも進出できればと考えています。そして、いずれは賃貸の事務所ではなく自社ビルを構え、全国各地にも支店を展開できればと思っているんですよ。それともう一つ、従業員の独立も支援していきたいとも考えています。私自身、独立にあたっては周囲の皆様から多大なご支援をいただきましたし、今度は私が従業員の夢を叶えてあげる番だと思うんです。そうして、それぞれが独立を果たし、将来的にグループ会社のような形で連携することができればうれしいですね。
大西 夢が広がりますね!
鹿谷 ただ、当社はまだ設立から一年あまり。ですから、まずは目の前の仕事を一つずつ、確実に完遂し、安定した土台を築いていく所存です。
▼今でこそ休日返上で働かなければならないほど多忙を極めている『ロク総合設備』だが、独立当初は予想外の苦戦を強いられ、一時は全く仕事がないこともあったという。鹿谷社長は「本気で解散しようかと思ったほどです」と当時を振り返る。そして、その苦い経験は、「寄せられた依頼には全て応える」という同社の経営理念を築くことにもつながったという。だからこそ同社では、どれだけ忙しくなろうとも、どれだけ難しい現場であろうとも、誰一人文句を言わず、様々な現場を駆け回っているのだ。さらに、より良い仕事を手掛けるべく技術を磨き、段取りの効率化を図るなどして、自社のレベルをアップさせている。
▼どん底を経験したからこそ、本当の“強さ”を手にした『ロク総合設備』。同社が今後、さらなる発展を遂げていくであろうことは、疑いようもない。