“利他心”で人との絆を結び現場を美しく、完璧に仕上げる

株式会社 誠心建設

代表取締役 深津 誠

【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─略歴

「己に厳しく、人に優しく──
空手道の精神で現場に臨む」
空手とは古くから伝わる武道である。十年来この空手を愛してやまない深津社長はスポーツとして取り組むだけではなく、空手道の精神を誰よりも重んじている。社長の仕事ぶりは、まさに己に厳しく人に優しいその精神そのものだ。技術の粋を最大限に発揮して完成度を求める反面、現場がうまく回るよう居合わせる他の職人たちへの気遣いを欠かさない。武道とは、礼儀作法に代表されるように相手に敬意を払った上で、正々堂々と闘うこと──社長は心身の鍛練を続けながら、建築現場という真剣勝負の場において今日も闘い続けている。
【足跡】 愛知県出身。学業修了後は自動車の金型部品開発を経て鉄骨工事業界に入る。足場組立の現場で経験を積んだ後、建築会社に移って現場監督に従事。ゼロからのスタートでがむしゃらに努力を重ね、艱難辛苦の中で信用と実績を培ってきた。空手指導者としても活躍中。
空手道で培った精神力の強さを武器に、様々な建築現場を股にかけて活躍する『誠心建設』の深津社長。20代のころより人の倍以上の場数を踏んで積み上げてきた技術は本物だ。人とのつながり、絆を大切にしながら各地を飛び回る社長に、本日は女優の大西結花さんがインタビュー。これまでの足跡から浮かび上がってくる、仕事に懸ける熱き思いに迫る。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─対談

大西 まずは現在のお仕事に就かれるまでの経緯からお聞かせ下さい。

深津 学校卒業後、初めて就いたのは自動車の金型枠をプログラムする仕事でした。その後、先輩を手伝う形で足場組立の現場に立つようになったのですが、大きな事故を間近で見てしまいましてね。そんなとき知人が建築会社を紹介してくれ、そちらに移ることになりました。そこでいきなり現場監督に抜擢されたのです。

大西 未経験で大役を任されるのは大変だったでしょう。

深津 それはもう! この業界は使用する言葉も特殊で、cmやmといった長さの単位も職人さんとお話しする際は尺や寸に換算しなければなりません。最初はそんなことすらも知りませんでしたし、もちろん専門的な建材の名前も分かりませんでした。それでも指示は出さなければなりませんから、毎日勉強に明け暮れていたものです。今振り返っても我ながらよくやったと思いますし、二度と戻りたくはないですね(笑)。

大西 私も芸能界に入ったころは業界用語を知らなくて、ずいぶん心細かったのでお気持ちが分かります! けれど、当時のご苦労が糧となって今があるのだと思いますよ。

深津 そうですね。言葉通り寝食を惜しんで働いた日々があったからこそ、技術も経験も培ってくることができましたし、貴重な人脈も得られたのだと思います。

大西 そして手応えを感じるようになるにつれて、独立心が芽生えて?

深津 いえ、私自身はあまり独立を考えたことはありませんでした。現場監督を続けているうちに、職場の先輩が独立することになり私も誘ってもらったのです。その方は最初に仕事を教えてくれた恩人だったのですが、私は既に家庭を持つ身でしたのでしばらく返答を保留していました。するとその間に資金を貯めておられ「これだけあるからしばらくは大丈夫だ」と通帳を見せて下さってね。その心根に胸を打たれて転職を決意し、その後12年間お世話になったのです。

大西 深い信頼関係があったのですね。

深津 しかしあるとき仕事のことで意見がぶつかり、会社を辞めるようにと勧告されたのです。そのときは売り言葉に買い言葉といった感じで、私もすぐに荷物をまとめて飛び出してしまいました。2、3日後には退職金などが振り込まれていたのですが、その矢先に会社が倒産したという連絡が入ったんですよ。まさかそんな状況にあるとは露とも知りませんでしたから、まさに寝耳に水という感じでした。

大西 ということは、最後の諍いは先輩からの最後の優しさだったのですね。

深津 ええ。本当に頭が下がるばかりです。しかし残されたスタッフやお客様を捨て置くことはできませんから、急ぎ後処理を私が行い、工期の途中だった仕事を引き継ぐことになりました。それが当社の始まりとなったのですよ。

大西 ではゼロではなくマイナスからのスタートだったわけですか!?

深津 そうですね。しかし赤字だからといって安い材料を使ったり手抜き工事をするわけにはいきませんから、通常よりも力を入れて完遂しました。確かに当時は苦労もありましたが、その物件のお客様をはじめ、一緒に駆け回ってくれた営業マンなどに助けられながら乗り切ることができたのです。改めて仕事とは人と人とのつながりで成り立っているのだと実感しましたし、この絆を当社の基軸としていきたいと決意を新たにしました。

大西 素敵なエピソードですね。そんな社長だからこそ、周囲の人も協力してくれるのだと思います。

深津 私は長年空手を習っていまして、師匠から大切な精神を教えて頂いたのです。それは、「利己心ではなく利他心で動け」というもの。自分の利ではなく、相手にとって得となるように考えて行動することを常々指針としています。特に当社が手掛ける建築の仕事は、新築にせよリフォームにせよ、様々な業者が関わり合いながら作業を進めていきます。もちろん互いの意見を主張することも大切ですが、和を尊び、相手を尊重する思いを忘れないよう心がけていますね。各職人たちが最高の力を発揮できてこそ、完璧な仕上がりも実現するのですから。

大西 社長が色々な現場から引く手あまたである理由が分かった気がします。では最後に、今後の展望を。

深津 私の右腕、左腕となってくれるような人材を育てて、組織づくりを行っていきたいですね。また、これまでお世話になった方々をお招きして、一度盛大なバーベキュー大会なども開ければと考えているのですよ。今後も多くの方と手を携えながら邁進していく所存です。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真
空手を通じて学んだ精神

▼建築業界に長く身を置き、経験と技術を身に付けてきた深津社長。現在も色々な方面から依頼の声が絶えず、四方八方の現場を飛び回っている。そんな忙しい日々の中でも、10年以上続けてきたのが空手だ。そして空手道を通じて、経営者としての指針となる精神も学んだという。

▼「親館長である平野泰作先生から“利他心”という言葉を教わったのです。自分にとって得だと思うことをあえて人に与える。そして、自分にとって不利益なことは、自分自身でどうにかできるはずだから相手には見せないようにする。それを日ごろから心がけることで、己が磨かれていくのです」と社長は語る。いわば利己心の対義語というべき利他心、社長の場合はそれを仕事の場で実践することにより得難い信頼を集めているようである。

▼昔から、空手は身体のみならず精神を鍛えるスポーツとして人々に愛されてきた。社長は自ら学んできたことを、今度は教える側となって指導にも専念しているという。特に週に一度子どもたちに教えることが、何よりの楽しみとなっているのだとか。将来の日本を背負う子どもたちが、社長から何を学び、それをどう活かしていくか。今から楽しみでならない。

対談を終えて
「深津社長のこれまでの歩みや、現状の活躍ぶりは「利他心」を重んじる人柄によって引き寄せられた結果なのだと感じました。人と人とのつながりは、どんな仕事においても一番大切なもの。それを、どんな状況でも忘れないようにされているから、自然と周囲に人が集まってくるのでしょうね。これからも頑張って下さい。」(大西 結花さん・談)

【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─会社概要

名 称
株式会社 誠心建設
住 所
愛知県豊田市上郷町市場151-6
代表者名
代表取締役 深津 誠
掲載誌
報道ニッポン 2009年10月号
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