お客様の喜びが「カナイワ」の喜び培ってきた技術で地域に貢献したい

大地を知り、未来を築く──

株式会社 カナイワ

代表取締役 普輪崎 賢彦

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─略歴

【足跡】 石川県出身。大学卒業後、建設会社で6年間経験を積む。その後「カナイワ」に入社し、先代のもとで研鑽を積んできた。4代目として代表取締役に就任後は、環境事業に心血を注ぎ、同社をさらなる高みへと導いている。
創業から85年以上の歴史を誇る「カナイワ」。同社は井戸の掘削や水処理、地中熱採熱といった幅広い事業を手掛け、地域を支えてきた。現在は、CO2の大幅削減を目指した環境事業にも力を注ぎ、環境に大いに貢献している。本日は藤森夕子さんが、普輪崎社長にお話を伺った。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─対談

藤森 普輪崎社長は4代目でいらっしゃると伺いました。「カナイワ」さんのご創業はいつごろなのですか?

普輪崎 大正12年です。私の祖父が立ち上げ、85年以上の歴史があるのですよ。創業時はポンプを製造していましたが、お客様から「井戸を掘ってほしい」という要望がたくさん寄せられたので、その声にお応えするため、ポンプを使って井戸を掘削するようになりました。そして2代目が井戸掘削の技術を発展させ、礎を築いたのです。その後、3代目である父が社長に就任。地質調査・水処理といった幅広い事業を手掛けるようになりました。10年ほど前からは、新たに環境ビジネスにも挑戦しています。

藤森 御社はそれぞれの時代のニーズに応えながら成長してこられたのですね。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

▲「カナイワ」の創業当時の様子

写真左下は、同社の創業者である

普輪崎与四郎氏

普輪崎 ええ。創業当時のことを考えると大変だったと思いますよ。祖父のことを尊敬しています。というのも、昔は今のように技術が発達していませんから、どこに水脈があり、どんな水が出るのかなど、全く分からなかったはず。にもかかわらず、経験や勘を頼りに、掘削する地点を探り井戸を掘っていた──そのバイタリティーには頭が下がります。もしかしたら水は出ず、失敗するかもしれないのですから。祖父をはじめ、創業当時頑張っていた人たちをつき動かしていた原動力は、一体何だったのだろうと思っていたのですが、最近になってそれが分かったような気がするのです。

藤森 ぜひお聞かせ下さい。

普輪崎 以前、地下水の乏しい雪山の集落で融雪のための井戸を掘ってほしいという依頼がありましてね。その集落では融雪のために川水を使っており、水の争奪戦が繰り広げられていたのです。「水が出たらお金は払えるが、何とか井戸を掘ってくれないか?」という、悲痛な内容でした。現会長である父は「出なければお金はいらない」と申し出て、水脈を探査してから井戸を掘ることにしました。無事、水が出てきたときには、皆さんに大変喜ばれました。実は創業当時から伝わるエピソードで、同じような話がありましてね。当時は、水不足が原因で争いごとが起こることもあったそうです。だから、多くの人が村全体で井戸の完成を祝ってくれたんだそうですよ。私も同じような体験をして、「ああ、祖父たちはこの笑顔や感謝の気持ちに触れたからこそ、失敗を恐れず、井戸を掘ることができたのだな」と実感したのです。喜んで下さる方々の笑顔こそが、私どもの仕事の原動力なのですよ。

藤森 胸が熱くなるお話ですね。現在はどういった取り組みに力を入れておられるのですか?

普輪崎 環境事業に力を注いでいます。地中熱を利用したヒートポンプや、1日に100m掘ることを可能にした掘削機械など、最先端の技術で地下資源を有効利用し、CO2削減とコスト削減を目指しているのです。しかし、どんなに事業を拡大しようとも変わらない信念があります。

藤森 それは何でしょう。

普輪崎 お客様に最適な提案・最高の品質を提供することが私たちの役目です。創業から85年以上にわたって受け継がれてきたのは、目先の利益にとらわれず、信用を大切にするという姿勢。当社の社員は、お客様からの突然の要請にも24時間体制でお応えしています。

藤森 では最後に今後の意気込みを。

普輪崎 これからも地元に貢献できる企業でありたいですね。培ってきた技術を使って、地域の皆様のお役に立つ──そこに当社の存在意義があるのです。今後は、CO2削減対策がより効果的に早く進むよう、地中熱ヒートポンプの普及に社員一丸となって頑張っていきたいと思います。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真
燃料費を大幅削減! 注目の地中熱ヒートポンプ

「カナイワ」が新たな主軸事業として取り組む環境ビジネス。中でも、光熱費とCO2排出量が大幅に削減できる地中熱ヒートポンプは注目度が高い。例えば、従来の空調・給湯用のボイラーをヒートポンプに切り替えると、ランニングコストを約85%、CO2排出量を約60%も削減することができるのだ。また、これまでのボイラーは重油やガスを使って熱源を確保していたが、ヒートポンプでは地中熱を利用する。そのため外気温に影響されることなく、常に一定の能力を保持できるのだ。室外機のファンなどがないので、低騒音・低公害も実現。その上、冷房・暖房・給湯器を同時に運転することができ、火気を使用しないので火災の心配もない。地球の環境悪化が懸念される今、地中熱ヒートポンプに熱い視線が注がれている。

A病院 削減システム導入後2〜4月の実績例

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

対談を終えて
「普輪崎社長は単に利益を追求するだけでなく、お客様の立場に立った、ベストな提案をしておられます。常に相手にとっての最良を考える──そんな姿勢が、社内に浸透しているのを感じました。これからも、地域の皆さんの生活を支えるために、頑張って下さいね」(藤森 夕子さん・談)

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─会社概要

名 称
株式会社 カナイワ
住 所

【事業本部】

石川県白山市相川新町728

【本  社】

石川県金沢市金石西1丁目20-10

代表者名
代表取締役 普輪崎 賢彦
掲載誌
国際ジャーナル 2009年9月号
本記事の内容は、月刊経営情報誌『国際ジャーナル』の取材に基づいています。本記事及び掲載企業に関する紹介記事の著作権は国際通信社グループに帰属し、記事、画像等の無断転載を固くお断りします。