千葉県知事許可(般-19)第43776号
一般建築塗装 鉄骨及びプラント塗装工事
大沢 まずは社長がこれまでに歩んでこられた道のりから伺います。ご出身はどちらでしょう。
浅井 私は東京で生まれ千葉で育ち、兄が塗装会社に勤務していたことがきっかけで、学業修了後は塗装の仕事に就きました。ところが、当時はまだ若かったこともあって下積みの作業に耐えられず、僅か半年ほどで退職してしまったんですよ。そして違う業界で働き始めたのですが、別の仕事に就いたことで、逆に塗装の魅力を再認識することになりましてね。それで塗装業界に戻ることを決意し、本格的に修業を始めたのです。
大沢 子どものころから塗装業界に興味をお持ちだったのですか。
浅井 いえ。何かを作ったり画を描くといった塗装に通じる作業に興味を持ったことはなく、仕事自体も単なる生活のためだと思っていたほどでした。しかし、いざ始めてみると自分が手掛けたものが後々残ったり、たくさんの人に喜んでもらえるのが嬉しくて。その達成感を味わったことが、現在も続けられている理由なのですよ。
大沢 塗装業にしかない魅力に気付かれたわけですね。独立は何年ほど前に?
浅井 兄が経営する会社で経験を積んだ後、8年ほど前に独立しました。しかし、私は現場作業しか知らなかったため最初は苦労の連続でしたね。営業のノウハウがないので全く依頼が得られない日々が続き、一時は自社で仕事を得るのを断念して兄の会社の下請けとして過ごした時期もあったほどです。それでも投げ出すことなく真面目に取り組むうちに、次第に会社の電話が鳴るようになり、お客様の紹介から新しいお仕事が得られる好循環も生まれ始めたのですよ。そして努力を重ね続けた結果、3年ほど前には法人化を果たすこともできました。現在は、頼ってばかりだった兄とは互いに切磋琢磨しながらより高みを目指し合える関係となっていますし、同業で経営者となった弟も良き競争相手となっています。経営者としてのプレッシャーも感じますが、そんな兄弟同士のライバル関係が頑張れた要因だと思いますね。
大沢 兄弟で励まし合いながら成長を遂げてこられたわけですね。現在は主にどういった現場を手掛けておられるのですか。
浅井 住宅やマンション、大規模な工場など幅広く手掛けております。これまでには地元のアミューズメント施設を請け負ったこともありますね。現在、スタッフ数は15名ほどで、繁忙期には下請けさんを含めて50名ぐらいで対応しています。塗装職人一人ひとりのレベルが高いので、安定した現場作業を行うことができていると自負していますよ。
大沢 社長が作業を行う際に遵守しておられることは何でしょう。
浅井 どれだけ工期が厳しくても、一切手抜きをしないことです。どんな状況であっても真剣に現場作業を行うことがお客様の喜びにつながり、ひいては当社の評価にも結びつくと思いますからね。また、塗装業務は危険を伴うことが多いので、スタッフたちに安全管理を徹底させています。私一人では何もできず、皆がいてこそ現場作業が進められるわけですから、スタッフたちの安全を守ることと働きやすい環境を作ることが、トップに立つ者として最低限の務めだと思っているのです。
大沢 経営者の方は人材育成に一番頭を悩ませると聞いたことがあるのですが、社長としてはいかがでしょう。
浅井 兄の下で修業を積んでいたときも人材育成を行っていましたし、もともと人と交わることが好きなので、人を育てていくことを大変だと感じたことはないですね。それに私自身は経営者となった今でも皆と同じ職人だと思っていますので、現場最前線で働く人の気持ちを最優先させた方針を採っていることも、順調に人材が育ってくれている要素だと思います。
大沢 順調に成長を遂げているようですから、今後は会社規模の拡大も視野に入れておられるのでは?
浅井 いえ、今は会社としての体力を蓄える時期だと考えていますから、無理に大きくしようとは考えていません。それに私は利益を求めて会社を始めたわけではありませんので、地域から安心して任せてもらえる会社であり続けられればそれで満足なのですよ。
大沢 社長のお話からは、とにかく地元の方を大切にしていこうとする温かい気持ちが感じられます。
浅井 地域から信頼され、地域とともに生きることが企業としてのあるべき姿だと信じていますからね。ただ、もっと多くの方から満足のお言葉を戴けるようにしたいので「一級塗装技能士がいる塗り替え専門店」とキャッチフレーズをつけてリーズナブルな価格で質の高い塗装を行う活動も始めました。現在はチラシを配っているところで、一人でも多くの方に知ってもらいたいと思っています。それにホームページも立ち上げる予定ですし、より体制を充実させて会社の基盤を固めていきたいですね。100年に一度と言われる不況の最中だからこそ、経営者としての腕の見せどころでしょうから、これからも全員で日々成長を目指し、この地域においてはどの業者さんよりも支持してもらえるような存在になれれば嬉しいです。
▼今の若い人たちはきつく叱っただけでやる気をなくし、職を離れてしまうと言われる。だが『アサイ建装工業』のスタッフたちは辞めていった人もまた舞い戻ってくることが多いほど、仲の良さが目立っているのだとか。それは会社そのものの魅力とともに、浅井社長がまさに“親方”と呼ぶに相応しいほど温かく包みこむ人柄だからこそ。そして、その社内の風通しの良さは同社の特長となり、一丸となることができているのである。職人をまとめ上げるのは一苦労だと言われるが、社長ならば全員と心で交わり、会社の成長のみならず人としてもより高みへと導いてくれることだろう。