顧客のニーズに最大限応えたい!教育・研究現場をしっかりサポート

Kenix/ケニックス 株式会社

代表取締役 米澤 健

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─略歴

【足跡】 兵庫県出身。中学生の時に柔道を始め、大学時代には優秀な成績を収めた。卒業後、研究開発装置・機材メーカーに営業マンとして勤務。数度の転職を経験する中で、神戸で新規営業所の設立に携わった。2007年に「ケニックス」を設立。きめ細やかな業務で、歩みを進めている。
「ケニックス」では、教育機関や研究機関などで使われる実験装置や機材などのコーディネート、販売などを手掛けている。特殊な注文には協力会社に部品などを発注し、オリジナル製品を自作するなど、小回りを利かせた対応で実績を築いている。本日は竹原慎二氏が同社を訪れ、米澤社長にお話を伺った。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─対談

竹原 米澤社長はどのような青年時代を過ごされたのでしょうか。

米澤 中学生の頃から柔道に打ち込んできました。それ以前にもスポーツはしていたんですが、柔道に力を入れている学校だったため、柔道部の顧問の先生に誘われたのがきっかけでしたね。先生の指導のお陰で、大学でも北海道選手権大会で2位になりました。

竹原 凄いですね、それは。格闘技の経験がある人は、ほかのスポーツ経験者よりも、精神面が強い印象があります。社長にも、そういったものを感じます。

米澤 ありがとうございます。柔道は個人競技であり、また団体スポーツでもあるので、この経験は社会人になってからも役立っているように思います。

竹原 卒業後は、どうされたのでしょう。

米澤 大手メーカーや大学などの研究分野で使用される真空機器を扱うメーカーに入社しました。そちらではお客様の求めに応じて製品をアレンジしたり、オリジナルの製品を作っており、私は営業職に携わっていたんです。その後、東京に本社を置くメーカーに転職したんですよ。神戸営業所をつくりたいとのお話で、私はその新設に携わりました。貴重な経験をさせていただきましたね。

竹原 独立のきっかけは?

米澤 私が勤めていたのは中小企業で、中小の組織は良くも悪くも、社長の意向が現場に強く影響します。自分ならこうする、こうしたいという思いが強くなり、どれだけやれるかはわかりませんでしたが、力試しの意味も込めて、思い切って2007年に「ケニックス」を設立しました。資金も十分ではなく、設立時には独立資金の不足分を妻に援助してもらったんです。妻とはかつて同じ職場で働いていて、細かな事情も知っていたので、私の意思を尊重してくれましたし、今も変わらずサポートしてくれています。

竹原 頼もしいパートナーの存在は、嬉しいですね。滑り出しは、いかがですか。

米澤 お陰様で比較的順調に歩むことができています。ただ、サラリーマン時代とは責任の大きさが違いますね。経営者としての苦労はなくなることはありません。しかし一方で、サラリーマン時代とは比べものにならないほどやりがいを感じています。

竹原 サラリーマンを経験してから独立された方は、会社の看板のあるなしで苦労されることも多いようです。やはり周囲の対応も違ってきましたか。

米澤 おっしゃるとおり、看板があるのとないのとでは、大違いですよ(笑)。以前は親しくしていただいていた仕入先ともゼロからのお付き合いになりますし、商品を注文しても先に代金を支払わなければならないなど、再び信頼を得るのに時間がかかります。大手企業が相手となると、もっと時間がかかることも。しかしお客様の中には、看板や会社ではなく、私個人を見てくださる方もいます。大学教授を始め、私にはそんなお客様との出会いが多く、今は大学などの仕事がメインです。

竹原 お仕事では、どのような点を大切にされていますか。

米澤 昔から、誠意と情熱をもって接すれば、相手にも必ずわかってもらえると信じてきました。前職では、やはりサラリーマンですから、利益を重視するよう言われたこともあります。でも今は、たとえばその時には多少損をしても、そのうち挽回できればいいぐらいの気持ちの余裕を持っています。自分たちの利益のことよりも、まずお客様に喜んでいただける提案をしたいと考えていますし、それこそが次につながっていくのだと思いますね。今は市販品の販売をしながら、時には協力会社に部品を作ってもらい、組み立てたりしていますが、将来的には一貫して自社で実験装置を作れたらと思います。

竹原 情熱と誠意で活路を拓かれようとしていることが窺えます。さすが柔道家。さて、将来のお話が出ましたので、今後の展望をお聞かせください。

米澤 少しずつ人数を増やし、規模を大きくしたいですね。現在は近郊の大学がメインの顧客となっていますが、今後は販路を広げたいと考えています。今も趣味の山登りや柔道を続けているように、私は今後も自分の仕事とともに趣味やポリシーも大切にしていきたい。将来、従業員が増えたら、皆が自分らしさを大切に、楽しく働ける会社でありたいですね。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

小さなコストで大きな成果を生むサービスで、研究現場を支える

▼分野に関係なく、研究とは地味な作業だ。特に基礎研究の分野は成果が見えにくく、商品化や実用化に直結できない面もあり、組織や研究の規模にかかわらず、予算が豊富にあるとは言えないようだ。しかし、最良の環境で研究がしたい──故に研究者たちは、創意工夫を凝らして研究環境を整えている。そして、その環境づくりを陰で支えるのが、「ケニックス」だ。

▼たとえ同じ分野の研究であっても、追求するものが多少でも異なれば、同じ研究機材が使えないことも多く、オリジナルの機材を用いることも少なくない。しかし、特に予算や費用は有限であるから、研究者たちはできるだけお金をかけず、より良い機材をと望む。その現実を十分に理解しているからこそ、米澤社長は企業として最低限の利益を得、研究現場に最大のメリットを提供できるよう努力している。それが「ケニックス」設立の意義であるのだから。

対談を終えて
「学生時代に柔道に打ち込まれていた米澤社長は、スポーツマンらしいねばり強さと潔さを持ち合わせておられます。そのお人柄が、大学で研究に打ち込まれる方々に評価されているのかもしれません。今後も販路を開拓して頑張っていかれるとのこと。応援しています」(竹原 慎二さん・談)

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─会社概要

名 称
Kenix/ケニックス 株式会社
住 所
兵庫県姫路市北条口3-30-901
代表者名
代表取締役 米澤 健
電話番号
TEL 079-283-3150
掲載誌
国際ジャーナル 2009年7月号
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