三ツ木 「鹿児島高等予備校」さんのこれまでの沿革を伺います。
鮫島 創立は1954年で、私の祖父とおじの2人が始めました。当時は鹿児島に予備校というものがなかったこともあり、慣れない環境の中で、当校から少し離れた場所で小規模な学校を運営していたようです。現在の校舎が建てられてからは40年ほどが経ちました。
三ツ木 当時は予備校という存在自体が貴重だったでしょうね。
鮫島 そうですね。実は鹿児島は教育に熱心な地域だといわれています。明治維新のなごりとでも言いましょうか、「西郷さんや大久保さんに続け!」と──そういった風潮がいまだに感じられるときがありますね(笑)。ですから勉強熱心な方が多いのですよ。
三ツ木 なるほど。時代とともに変わってきたことはありますか?
鮫島 ええ。半世紀以上の歴史がありますから、様々な面で変化があります。例えば、昔は教室の壁に「努力・忍耐・根性!」なんていう精神論が貼ってありましたが、今はそれだけではやっていけません。どちらかというと、最近の子どもたちは困難に遭ったときに投げ出しやすい。精神的な脆さがあり、一つひとつ丁寧に対応する必要がありますので、学習面でも昔に比べると随分ときめ細かく指導するようになりました。そういった対応は、時代ごとに子どもたちの状態を見て判断しなければなりません。しかし、「とにかく自分が目標としている大学へ合格したい!」という執念を持った受験生が、最終的には勝利するという部分は、ずっと変わっていないと思います。精神面の育成を大事にしながら、時代とともに柔軟な対応を心がけてきました。
三ツ木 では、こちらの特徴を教えて下さい。
鮫島 予備校で常勤の講師がいるのは、おそらく全国でも当校だけではないでしょうか。当校では講師陣が担任のような役割も担っており、授業で分からないことがあれば、休み時間に質問に来ることができます。どうしても弱い分野があれば、個別指導や添削指導も受けることができるのですよ。現在約8割の生徒がこうした指導を利用していますね。
三ツ木 鮫島理事がお仕事で大切にしていることというと?
鮫島 生徒一人ひとりに愛情を持って接することです。そうした接し方によって子どもたちを最大限伸ばすことができると同時に、講師陣や教職員ともうまく連携をとることができるのですよ。それから、当校では創立50周年を迎えた年より、不登校の子どもさんも受け入れています。生徒に対して大きな愛情を持った理事長の強い意向によって実現しました。全ての子どもたちをバックアップできる体制を築き、当校でできる限りのサポートをすると、急成長する生徒さんは本当に多い。力がついてくれば「大学受験科」の授業を受講することもできるので、結果的に大学受験科にいる生徒さんと変わらず、難関大学へ進学していく生徒さんも多いのです。
三ツ木 多くの生徒さんがこちらで学んできたわけですが、これまでを振り返られてみていかがですか?
鮫島 お陰様で「大学受験科」・「みらいコース」とも高い合格率を保っており、難関大学への多数の進学など、多くの子どもたちの門出をお祝いすることができて嬉しいですね。
三ツ木 そのような高い合格実績を保っている要因は何でしょうか。
鮫島 講師陣の層の厚さにあると思いますね。当校の講師陣はプロ意識の高い方が非常に多いんです。授業ではきめ細かい指導を行いますし、添削指導や個別指導の準備のために朝5時に出勤される講師もいるんですよ。それらは全て「生徒を合格させたい!」という強い気持ちの表れではないでしょうか。子どもたちへの愛情を持った講師が集まっているからこそ、この実績が生まれているのです。講師の皆さんは人柄も良く、教育に対する熱い情熱を持っているので、学校の運営などで何か問題が発生しても「何とかしなければ!」と頑張って下さり、心から感謝しています。
三ツ木 最後に、これからの意気込みをお聞かせ下さい。
鮫島 合格率を保ち実績を積み上げつつ、当校の持つカラーや伝統を守っていく所存です。またハード面では「みらいコース」の施設をもう少し充実させていきたいですね。全ての生徒さんたちにできる限りのことをし、一人ひとりが新しい一歩を踏み出せるよう、講師・事務スタッフなど皆で一丸となって、当校の運営に取り組んでいきたいと思います。
▼「鹿児島高等予備校」では「みらいコース」を設け、予備校ではめずらしく不登校の子どもを積極的に受け入れている。学力にばらつきのある生徒を受け入れることは予備校にとって大きなリスクだろう。しかし同校では高卒認定と大学受験の両方を突破するという目標を掲げ、驚くべきスピード合格を実現させている。
▼「みらいコース」ではカウンセラーの配置や生徒との面談を実施するほか、リフレッシュデーを使って裁判所を訪れ模擬裁判を体験させるなど、校外授業も積極的に行われている。こうした一つひとつの試みが、学習する習慣のない子どものやる気を引き出し、確かな成果を生み出しているのだ。
学校法人 鮫島学園
専修学校 鹿児島高等予備校