■責任ある仕事を任せ、スタッフのモチベーションを向上
新時代の下宿「ゲストハウス」を運営管理している『ケントクリエーション』。同社の吉田社長は、スタッフに“人との出会いを大切にする心”を求めており、同時に一人ひとりが経営者であるという意識を与え、自助努力・自立経営をスローガンに責任のある仕事を任せている。人に喜んでもらいたい──心からそう願うスタッフが揃い、かつ個々が能力を最大限に発揮しているからこそ、人と人とのふれあいが得られる家庭的な雰囲気が生み出せるのだ。
村野 まずは御社の業務内容から。
吉田 新しいタイプの下宿「ゲストハウス」を運営管理しています。当社直営のゲストハウスは現在8棟157室あり、主に学生さんなどに利用していただいています。
村野 昔は下宿生は多かったですが、最近はアパートを借りる人が大半なのではないでしょうか。社長が下宿業を手掛けられるようになったきっかけをお聞かせください。
吉田 学生時代に下宿した経験はないのですが、社会人になって単身赴任をした時に食事付きの下宿に住んだことがありましてね。帰宅してすぐに食事が食べられるのは、とてもうれしかったですし、家庭的な雰囲気がとても心地よかったんです。確かに、最近は共同生活がわずらわしいと感じている若者は多いかもしれません。一方で、人間関係が希薄になっていることを憂慮し、昭和の時代ならではの家庭的な雰囲気は見直されています。管理人や同世代の若者が共に生活するゲストハウスには、まさにそうした人と人とのふれあいがある場所。下宿はこれからも求められると感じ、当社を立ち上げました。
村野 なるほど。では、御社のゲストハウスの特徴についてお聞かせください。
吉田 管理人はゲストハウスに常駐しているので、日々安心して暮らせる環境を整えています。朝食と夕食はバランスのとれた献立を組み立て、管理人が毎日手料理してくれますので、親元を離れた若者にも良好な食生活を提供できるんです。また、管理人と入居者さんとのコミュニケーションも密に取っているため、もし入居者さんが体調が悪そうな時、「大丈夫?」と声を掛けることもできますし、メニューをお粥に変更するなど、下宿ならではのサービスを提供しています。
村野 一人暮らしだと、食事は偏りがちですし、何より病気の時が一番困ります。ゲストハウスだとそうした心配事が減りますね。
吉田 さらに、イベントが充実していることも当ゲストハウスの特徴ですね。焼肉パーティーやケーキバイキングなどは特に人気でしたよ。かつての下宿のアットホームな雰囲気が見直されているといっても、時代は大きく変化しており、現代に即したシステムは必要だと私は考えています。イベントの開催もそうした思いからスタートしました。その他にも家賃をVISAカードで支払えばポイントが貯まるシステムを導入。ゲストハウスを出る頃にはマイルが貯まって海外旅行に使うこともできるんですよ。
村野 そうしたサービスは学生の入居者さんにも喜ばれていることでしょう!
吉田 お陰様で設立から20周年を迎えることができ、これを機に企業様向けのサービスにも力を入れているところなんです。そのサービスが、企業様向け食事付き宿泊サイト「ゲストハウスJAPAN」なんですよ。
村野 そのサービス内容について。
吉田 地域・期間・人数・予算に合わせ、北海道・東北を中心に2490室の宿泊施設を紹介しています。例えば建設会社の職人20名が、道内で一カ月滞在して仕事をすることになったとするでしょう。それだけの期間・人数となるとその費用は莫大なものになります。しかし当社がご紹介する宿泊施設なら、一日あたり2食付きでお一人2980円で住むことが可能なんです。
村野 それは随分お安いですね!
吉田 道内で下宿業を営んでいる事業所と連携することで実現できたサービスなんです。北海道の地域経済の状態は決してよくありません。地方で頑張っている下宿では少子化で空室が目立っています。そこをスポット的に企業様に利用してもらうことで三方よしのサービスが生まれました。まだ始まったばかりですが、精力的に営業に取り組み、利用者と下宿業を営む方々の掛け橋となって北海道の活性化に寄与できればうれしいですね。
村野 吉田社長にはぜひ下宿業としての可能性を広げていただきたいですね!
▲北海道の食事付宿泊施設
▼『ケントクリエーション』が運営する新タイプの下宿「ゲストハウス」には、多くの学生が暮らしている。親元から離れて暮らす学生の不安はもとより、親の心配も大きい。だからこそ同社は「安心感」のある施設運営を行っている。例えば、管理人が住み込みで学生の世話をし、朝と夕の食事作りも担当。管理人はまさに「親代わり」として学生に接しているのだ。「親」として、気付いたときには礼節や生活態度などの指導も行う。そうした「親」と、同世代の「兄弟」と共に生活していく中で、社会のルール、自立生活に必要なことも自然と身についていくのだ。それが共同生活の利点であり、人間関係が希薄になっている現代社会において、ゲストハウスが重要な役割を担っていると言えよう。
▼そうした日常から学生たちは管理人への感謝の気持ちが自然と芽生え、その思いはこの環境を与えてくれた親にも向けられるように。そうした感謝の連鎖が生まれるのも、ゲストハウスならではだろう。
北海道札幌市中央区南1条西20丁目1-6
コミュ120ビル601