佐藤 まずは弁護士になられるまでの歩みからお聞かせ下さい。
安富 元々弁護士を志していたため大学では法学部で学んだのですが、卒業後は銀行に勤務しました。しかし1年ぐらいすると次第に疑問を覚えるようになり、そんなときに同級生が司法試験に合格したという話を聞いたのです。それに刺激を受けて、入行から約2年後の平成8年1月に思い切って銀行を退職し、司法試験の勉強を始めました。遅いスタートでしたし、生活費や予備校の費用などを全面的に両親に依存し、大迷惑をかけてしまっていたので、1日でも早く合格しようと必死になって、試験勉強に励みましたね。そのためか、幸いにして2年半ほどで司法試験に合格することができたのです。
佐藤 それから着実に実務経験を積んでこられたのですね。
安富 ええ。平成12年10月に東京弁護士会に入会し、国際倒産処理業務や企業法務・渉外業務に精通している著名な先生の事務所で1年ほど勉強をさせて頂きました。平成13年10月に横浜の事務所に移り、様々な案件を担当してきたのです。そして、3年半ほどしたころに「一緒に事務所を立ち上げないか」というお話を戴いて、ボス弁の了解を得て平成17年3月に独立し、共同パートナーとともに事務所を設立しました。そこでは医療過誤事件などを手掛けておりましたが、医療過誤に限らず不動産関連事件や債務整理など様々なご依頼が増え、共同体制のままでは業務の効率性の向上を図ることがなかなか難しいと感じるようになりました。そこで、翌年の平成18年10月に改めて私一人で『安富総合法律事務所』を立ち上げました。現在は勤務弁護士とともに2人体制で執務していますが、今後は増員予定です。
佐藤 自らの城を構えられたとき、どのような事務所にしていきたいという思いをお持ちでしたか。
安富 “敷居が低い”弁護士事務所です。弁護士事務所というのは、どうしても敷居が高いイメージがありますからね。広告規制の緩和や料金設定の自由化が進んだものの、「相談だけで高いお金を払わなければならないのだろうか」「こんな悩みでも聞いてもらえるのだろうか」と二の足を踏んでしまう人も多いのではないでしょうか。ある弁護士の方がおっしゃっていた「弁護士にアクセスできないのは、法律がないのと一緒」という言葉に私も強く共感しています。そうならないためにも、気軽に依頼者が相談に訪れられるような環境や、何でも気軽に話せるざっくばらんな雰囲気を作っていくことが我々弁護士の課題だと考えているのです。当事務所のホームページから無料法律相談(1つの相談につきメール返信2回まで)を受け付けられるようにしたのも、その試みの一環です。
佐藤 依頼者の気持ちを深く理解されていると感じます。
安富 これまで多岐にわたる分野で案件を手掛けてきましたから経験もありますし、どんなことでもご相談頂ければと思っています。一般民事事件をはじめ、企業法務や債務整理、交通事故、相続問題、離婚問題など、幅広く取り扱えますし、司法書士や会計士、税理士とのネットワークも構築できていますので、登記・会計・税務などについてもフォローアップしながら、依頼者の方に十分納得して頂ける総合的な紛争解決を目指しています。
佐藤 とても頼もしいですね!
安富 基本的に全ての法律分野の問題を扱っておりますので、「その法律分野の仕事はできません」とは絶対に言いません。まだ10年目ですから、未だ扱ったことのない分野もありますが、必要な知識の習得や情報の取得には努めておりますし、できる限り親身な対応を心がけております。そして同時に、レスポンスを迅速に行うようにも努めていますね。依頼者への報告や問い合わせへの回答などのやりとりは基本的にメールで行いますので、迅速かつ正確な情報の伝達ができます。電話などと違って「言った」「言わない」という紛れもありませんし、「いつ電話しても先生はいない」「電話を下さいと言っても折り返しが来ない」というようなすれ違いもありません。その方が依頼者にとっても便利で喜ばれるのですよ。そしてメールに限らず、話の内容は依頼者さんにとって必要なことだけをシンプルかつ正確にお伝えすることを心がけています。
佐藤 素人にとって法律は理解しづらいものですから、依頼者の視点に立った姿勢は喜ばれるでしょう。
佐藤 弁護士としてポリシーとされていることを教えて下さい。
安富 最終的に依頼者さんに納得して頂ける結果を出すことを一番大事にしています。例えば、裁判に100%勝っても納得できない人もいれば、負けてもその過程で納得される人もいます。大切なのは一緒に考えながら最も良い方向を探り、時間を共有することで信頼を築いていくことだと思います。この世界では「裁判の相手側から依頼がくれば一人前」だと言われるんですね。私も初めてそれを経験したときは、本当に嬉しかったものです。それだけ誰もに頼もしく思って頂ける弁護士を目指したいですね。
佐藤 最後に、今後に向けての展望を。
安富 横浜だけではなく、神奈川全域の人々に当事務所の存在を広く知ってもらい、お役に立つことができればと思います。そしていずれは親や親戚がいる地元・茨城や大好きな沖縄にも支店を出せればいいですね。
▼現在、法曹界は過渡期を迎えている。広告規制の緩和や料金設定の自由化によって、新たな波が押し寄せているのだ。約3年前からは日本司法支援センター・法テラスという機関も設立され、全国どこでも法的トラブルを解決でき、情報やサービスを受けられるようになった。それにより低所得の人でも比較的容易に弁護士に相談できるようになったのだ。
▼だが、弁護士事務所は相変わらず、敷居が高いというイメージが定着している。通常はあまり関わることのない法律事務所に、未だ多くの人が近寄りがたい印象を受けているのではないだろうか。弁護士の相談料は30分5千円が相場で、その価格も足が遠のいている一因と言えるだろう。
▼そんな中で、『安富総合法律事務所』の安富先生は、“敷居を低く”する努力が必要だと使命感を覗かせる。またその一方で、法律に関する悩みを抱える人に対しては「困ったときは自分だけで何とかしようとしないで、なるべく早く法律相談に来てほしい」とのことである。これまで相談が遅れたために、問題がこじれてしまった依頼者を何人も見てきたからだという。法的トラブルで頭を抱える人に対して、自分のことのように気遣い、救いの手を差し伸べる先生こそ、本物のエキスパートと呼べるだろう。
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