漢方の薬効と生産者の努力が生み出す安全・美味の「漢熟米(かんじゅくまい)」

横川食販 株式会社(創業 昭和18年5月) 有限会社 大地米(だいちまい)(ペレット大地 総販売元)

代表取締役 阿部 時男 農産物検査員 第334号 米・食味鑑定士 認定番号011 0205号 おこめアドバイザー 認定番号0010号

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─略歴

■「米」の橋渡し役としてそれぞれの思いを伝える
阿部社長が米の販売に携わって35年が経つ。社長は時に消費者の立場から、時に生産者の立場から、日本の米販売の在り方を考えてきた。その中で気付いたのは「生産量を下げても安全・美味な米を作りたい」と考える生産者がいること、そして「価格が高くても安全・美味な米を食べたい」と願う消費者がいることだ。米の販売が自由化された今、双方を結びつける存在がいれば需要と供給がかみ合う。社長は生産者と消費者の橋渡し役となり、それぞれの思いを伝え続ける。
【足跡】 岩手県一関市出身。奨学金制度を利用しながら横浜の高校を卒業。卒業後、栃木県で米卸売会社に就職。長年に亘って勤め、2003年より現職。
「食と暮らしのパートナー」をキャッチフレーズに、食品の販売・燃料の販売を手掛けている「横川食販」。コンピューター管理による効率的な業務を行う一方で、消費者と直接ふれあう「ご用聞き」のスタイルを守る。そうした日々の業務で得たニーズから生まれたのが、独自商品「漢熟米」。自然の恵みと人類との共生を図る阿部社長に話を伺った。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─対談

三ツ木 阿部社長が「横川食販」の社長職に就かれたのはいつでしょうか。

阿部 2003年です。それまでは米の大手卸売会社に24年に亘って勤めておりました。

三ツ木 どういった経緯で現職に就かれたのでしょう。

阿部 勤務時代の取引先が当社だったんですよ。先々代からお誘いを受け、いろいろ考えた末に引き受けました。

三ツ木 立場も職場も変わり、当初は戸惑われたでしょう。

阿部 いえ、業務内容も社員もよく知っていましたので、それほど違和感なくとけ込むことができました。ただ、古い体質が残っていましたので、その点だけは改革していくことにしたのです。

三ツ木 古い体質とは?

阿部 ご存じのように米の流通は、国の全量管理の下で、流通量や価格が統制されてきました。それが食糧管理法の規制緩和により自由化され、激しい競争が生じるようになったわけです。今まで国に保護され、待ちの営業(電話待ちの営業)しかしたことのなかった社員に様々な指導を行い、攻めの営業(ご用聞き営業)をするよう徹底しました。

三ツ木 具体的にはどのような改革を?

阿部 まず当社独自のコンピューターシステムを導入して、顧客管理・営業管理・事務の効率化を図り、同時に営業拠点を1ヶ所に集約するなど合理化を進めてきました。

三ツ木 時代を見据え、新たな方向性を模索されたのですね。

阿部 幸い当社は、米などの食品販売と、ガス・灯油などの燃料販売が柱になっているため、昔で言う「ご用聞き・配達」のスタイルは非効率的でも残しました。商売の基本はなんと言っても、お客様と直接お話しし、必要な物を必要な時に直接お届けする、これに尽きますからね。規制緩和によってスーパーなどでも米が販売されるようになりましたが、価格で対抗することは避け、独自のサービスや品揃えをしていくことで差別化を図ろうと考えたのです。そうした中で当社独自の「漢熟米」は主力商品となっており、多くのお客様からお求めいただいています。

三ツ木 どのようなお米なんですか。

阿部 米のうま味がしっかりと詰まっており、米・食味鑑定士協会の全国米食味コンクールで2年連続賞をいただきました。説明するよりまずは食べてみてください。一口食べただけでその味の違いははっきり分かりますよ。

三ツ木 (炊きたての「漢熟米」を口に含んで)むむ! これは! とても風味が良いですね! 一粒一粒に適度な噛みごたえがあって美味しいですよ。

阿部 粒がしっかりしているから、粒と粒の間に空気が入り、口当たりがいいんです。そのため、お寿司屋さんからご注文を受けることが多いんですよ。寿司を握った時にべとつかないし、口に入れるとぱらっとほぐれ、ネタの味を引き立てながら米本来のうま味も味わえる。

三ツ木 なるほど。その特徴の秘密は?

阿部 土が違うんです。「漢熟米」の「漢」は漢方薬の漢。100種類以上の漢方薬の煎じ粕と糠を混ぜ、1年間熟成させた天然堆肥を田んぼに使用しています。漢方薬の薬効によって通常の米より稲の根が太く丈夫になり、収穫時期まで枯れることなく旨み成分をぐんぐん吸い上げ米に送り続けるのです。この土で育つ稲は害虫にも強いようですよ。化学肥料も一切使用せず、米の味を落とす追肥は行いません。追肥をすれば収穫量の増加は見込めますが、逆に味わいは落ちてしまうのです。言わば「漢熟米」は自然界のものだけで作られた「天の恵み」なんですよ。

三ツ木 どおりで美味しいわけだ。ですが、それだけこだわりを持って育てておられれば、米の収穫量は限られてくるのではありませんか。

阿部 そうですね。しかし私共も生産者の方々も、この米の良さを認めてくださる消費者に供給する分だけ生産できればよい、と考えております。そもそも生産者の方々だって、収穫量を増やすためとはいえ、農薬や化学肥料を大量に使う育て方は本意ではないんですよ。自分自身農薬を浴びたくないし、子どもや孫の口に入る物は安全でなくてはいけない。ですから手間暇がかかり、収穫量は落ちても「漢熟米」を作っているのです。そしてその価値観を共有できる消費者の方々にも食べていただきたい。「漢熟米」には、生産者のそうした信念、人柄や生き方までもが反映されているからこそ、美味しいのだと感じています。今後も「漢熟米」という美味しいお米を通して、そんな生産者の想いを伝えていくつもりです。

三ツ木 これからもぜひ皆様で、安全・美味な米を供給していただきたいと思います。本日はごちそうさまでした(笑)。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

美味しさだけじゃない!「漢熟米」がもたらすもの

  漢方薬の煎じ粕と糠を熟成させた天然堆肥を使い、丹誠込めて作られている「漢熟米」。なるほど、言われてみれば薬草は害虫の忌避効果もあるし、滋養強壮にもよいわけだから、稲の発育に多大な効果をもたらすだろうことは想像できる。

  最初にこの育成法を思いついたのはある漢方薬メーカーで、薬草の煎じ粕が産業廃棄物として捨てられているのを知ったことがきっかけになっている。いくら廃棄物といえども煎じ粕には多くの薬効が残されているに違いない。そもそも産業廃棄物として捨てられるものだからコストはかからない。それを農業に活用すれば、農薬を減らし、生命力の強い稲を育てられるのではないか──そこからスタートした取り組みは、その後試行錯誤を重ね、天然堆肥「ペレット大地」が作られた。そしてさらに、安全で美味しい「漢熟米」が生まれたのである。

  飲料水メーカーでは、お茶やコーヒーの煎じ粕を燃料として再利用する取り組みが行われている。こうした「循環型社会」は地球にも優しい。そう考えれば「漢熟米」の生産により、多くの人がその恩恵に浴することになる。

対談を終えて
「『漢熟米』はどのような料理にも合うそうですが、阿部社長のイチオシは何と卵掛けご飯!私も実際にいただきましたが、これほど美味しい卵掛けご飯は生まれて初めてです。漢方と言っても堆肥ですから米に薬臭さは全くありません。とにかく食べてみれば分かりますよ」(三ツ木 清隆さん・談)

【異業種ネット】月刊経営情報誌『国際ジャーナル』特別取材企画 掲載記事─会社概要

名 称

横川食販 株式会社

有限会社 大地米

住 所
栃木県宇都宮市江曽島町1449
代表者名
代表取締役 阿部 時男
電話番号
TEL 028-658-1633 FAX 028-658-1503
掲載誌
国際ジャーナル 2009年5月号
本記事の内容は、月刊経営情報誌『国際ジャーナル』の取材に基づいています。本記事及び掲載企業に関する紹介記事の著作権は国際通信社グループに帰属し、記事、画像等の無断転載を固くお断りします。