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具志堅 とても落ち着くお店ですね。こちらはペットの同伴が可能なお店とのことで、この辺りでは珍しいスタイルかと思いますが。
横町 仰るとおり、この付近は犬を連れておられる方が多いのに、ペットを同伴できる店がありませんでした。ここは代々木公園から徒歩圏内で、愛犬を連れて散歩がてら寄ってくださるのに理想的な立地だと思い、この店をオープンしたのです。私自身も犬を飼っており、たまに連れてきますよ。
具志堅 愛犬の話で会話が弾みそうですね。社長はどういった経緯でこの店を?
横町 学生時代に居酒屋でアルバイトをしたのですが、もともと人が好きな性分ということもあり、接客するのが楽しくて。20歳の時に店長を任せていただき、売上や顧客管理、スタッフのマネージメントをこなすうちに、経営にも関心が出てきたのです。そうして、25歳の時に店を持とうと決意しました。
具志堅 若いのに大したものですね。
横町 ただ、店を持つ前に、もっと勉強しなければならないとも思ったのです。私が作る店は、お客様は当然として、スタッフにとっても居心地がいい場所でありたかったですから。そこで、まず働くスタッフの気持ちが分かるように、私自身も厨房で働くことから始めました。その次に、働きやすい店を作るためにデザインの学校へ通い、動線も含めた設計に関する知識を習得。最後に飲食店を得意とするコンサルタントに転職し、立地条件の見極めや人材育成の方法を勉強させていただいたんです。
具志堅 それは徹底していますね。その間、店を出そうという目標がぶれなかったのがすごいですよ。
横町 結局、店を持つまでに10年かかっていますからね(笑)。けれども、ある程度理想に近づいたかなとは思っています。店もですが、私の目標は、学校の部活動のような会社づくりなんです。私はあくまで体育館や校庭といった、スタッフが育ってくれる場所そのものでありたい。ですから、お店の実作業に関してはほとんどスタッフに任せて、私はあまり口を出さないようにしています。デザイン会社の社長としての仕事もあるので忙しいということもありますが(笑)。
具志堅 デザイン会社というのは?
横町 「anea cafe」をオープンしたノウハウを役立てようと、デザイン会社「anea design」を興したのです。飲食店の店舗デザインや設計・施工などを手掛けています。
具志堅 10年間、様々な経験を積んでいらっしゃる社長ですから、心強い味方となってくれるでしょうね!
横町 そこは請け合いますよ(笑)。実際に自分でも店を出していますから、どう利益をあげるか、具体的な採算性も含めて提案できますからね。かっこいいお店はお金をかければ誰でも作れますが、それが店づくりの目標ではないでしょう。店は誰のためにあるのか。お客様、スタッフ、そして経営者、その三者を視野に入れた提案をすることで、クライアントと明確な目的意識を共有し、前進することができると考えています。
具志堅 では最後に、今後の抱負を。
横町 今の私があるのは、周りの人に恵まれたからです。このお店、そしてデザイン会社を通して恩返しができればと思いますね。スタッフには成長できる場を、そしてお客様には居心地のいい空間を提供することで、満足していただきたいですし、このお店に来ていただくお客様が増えることで、地域の活性化に貢献できればなおいいですね。特に、スタッフにはどんどん経験を積んでもらい、自分と同じ仕事ができるようになってほしい。新しく店舗を出して、そちらを優秀な者に任せるということも考えています。
具志堅 夢が膨らみますね!
横町 店頭・ネットを通じ、家具やインテリア雑貨の販売にも力を入れる予定です。私もスタッフも、そして店も、常に成長し、前進し続けたいですね!
横町社長はスタッフにいつも言う。重要なのは明確な“目的意識”を持って物事に取り組むことだと。例えば会議一つとっても、何のための会議なのか、その“目的”を常に意識することで、内容が変わってくる。それは、社長自身が誰よりもよく知っている。なぜなら、経営者になって大きなプレッシャーを背負っている今、はっきりした「目的」が見えていれば、そしてそのために行動できれば、重圧に押しつぶされることはないからだ。「何のためのメニュー変更なのか?」「何を目的とした改装工事なのか?」小さなことでも常に問いかけ続けること。それは、全員での目標の共有、ひいては達成感の共有にも繋がってくる。スタッフの成長を思えばこその社長の言葉だ。