育成環境に細部までこだわり丁寧に育て上げられるブランド豚

有限会社 中村畜産

代表取締役 中村 一夫

取締役 中村 由美子

【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─略歴

「毎日豚と向き合いながら人生を送っていければ満足です」
父親の後を継ぎ、30年以上養豚業に携わってきた中村社長。いくら体調が悪くても一日に一度は必ず豚舎に足を運び、豚たちのチェックを欠かさないそうで、「全てが豚中心の生活です」と笑いながら語る。そのため、長期休暇を取ることができず家族旅行もできないというが、それだけ真剣に向き合っているからこそ、「美明豚」という農林水産大臣賞を受賞するほど質の高いオリジナルブランド豚を育て上げることができたのだろう。養豚に人生をかけてきた社長は、今後も人々に安心・安全な豚肉を届けるべく真剣勝負の日々を送り続けるに違いない。
品質を追求した養豚業者として、地域でも名高い『中村畜産』。平成15年には商標登録も行った「美明豚」というブランドを立ち上げており、同社と取引をする精肉店や飲食店は増え続けている。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─対談

卸業から一貫生産へ移行し
夫婦力を合わせて飼育にあたる

倉田 『中村畜産』さんは社長のお父様が始められたとお聞きしましたが。

中村 はい。50年以上前に近所で家畜として飼われていた豚を、都心部に出荷する卸業者として立ち上げたそうです。その後、時代とともに一貫生産へと体制を変えてきまして、現在は親豚だけで350頭ぐらいを飼育しており、年間で8千頭を肉豚として出荷しています。

倉田 社長はもともと養豚業に就こうと思っておられたのですか?

中村 はい。子どものころから遊びの延長線上みたいな形で父の手伝いをしていましたし、父と同じ道に進んで後継するのは当然だという気持ちでしたね。そして高校卒業後すぐに父とともに働くようになり、以来、30年ほどこの道一筋に歩んできました。

倉田 取締役はいつごろからご一緒に働くようになられたのでしょう。

中村(由) 子どもの手が離れたころから手伝うようになりました。結婚前まで養豚業に携わった経験はなく、まだまだ勉強不足で大変なこともたくさんありますが、子豚が生まれて成長していく姿を見るのは楽しいですし、品評会などで賞を戴くと励みになります。

一頭一頭に愛情を込めて
人々に美味しい豚肉をお届け

倉田 では、社長の経営方針をお聞かせ下さい。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

中村 大規模な設備で育成頭数を重視するのではなく、質の高さに重点を置いた生産に努めています。ですから育成環境にはこだわっており、豚舎は全て南向きで窓も開放して日当たりと風通しを良くしているんですよ。従来のように豚舎の真ん中に通路を設置し、両側に部屋を設けるスタイルの方が管理も楽で予算も抑えられますが、それよりも豚の目線に合わせて目の届く範囲で育成をしていきたいと考えているのです。

倉田 なるほど。一日のスケジュールはどのような感じなのでしょう。

中村 基本的には、毎朝7時ぐらいから3時間ほどかけて豚舎を回って体調などをチェックし、その後気になった豚のところへ行って詳しく様子を窺ったり、ワクチン接種の手伝いなどを行います。人と同じように豚の体調も毎日違いますし、空調や餌を配給する機械のトラブルなどで育成に影響が出てしまっては元も子もありませんから、たとえ用事があったり体調が優れないという事情があっても、毎日欠かさず行っております。そのため、サラリーマンのように土日の休みや長期休暇を取ることができず、旅行などに気軽に出かけることはできませんが、きめ細かな管理を行うためには当然だと思っております。

倉田 毎日の積み重ねが大切なお仕事なのですね。それに生きものが相手だけにマニュアルも通用しないでしょうから、大変なことも多いのでは?

中村 ええ。豚一頭ずつ個性があるわけですから、ただ適当に餌を与えれば育つというものではないのですよ。一応育成過程で餌の切り替えのタイミングや分量の基準はありますが、それぞれ成長スピードは違いますし、日本には四季があるために季節によっても育成に差違が生じることも考慮しなければなりませんからね。その見極めをしっかりとしなければ悪影響が出ますから、毎日が気遣いの連続ですね。

倉田 そうやって手間暇をかけて育て上げるからこそ、質の良い豚が育つのでしょうね。

中村 お陰様で当社の豚は「美明豚」といって、平成15年に商標登録も行ったブランド豚として知られています。地元はもちろん、首都圏を中心に取り扱って下さる精肉店や飲食店も増えてきているんですよ。食に関するトラブルが相次いでいますが、「美明豚」の表示がある豚肉は安心・安全に美味しく食べて頂けると自負しています。

倉田 今後への抱負をお願いします。

中村(由) 息子たちが将来は後を継ぎたいと言ってくれていますが、親が強制して継がせても子ども達の人生を壊してしまうだけなので、自分が思う通りの人生を歩んでほしいと思っています。それでも熟考した結果、一緒に働くことを選んでくれたら嬉しいですけどね。

中村 これからもたくさんの方に自信を持ってお勧めできる美味しい豚肉をお届けできるように毎日力を尽くしていくだけですね。そして、できれば日本全国に「美明豚」の名が知られるようになれば最高に嬉しいです。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

「豚の目線に合わせながら丁寧に育成を行っております」

(代表取締役 中村 一夫)

「まだまだ勉強中ですが社長のサポートに全力を尽くしていきます」

(取締役 中村 由美子)

質を追求したブランド「美明豚」

▼乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌、海藻などが配合された最上級の配合飼料を一頭一頭の調子を見ながら与えるとともに、ゆっくりと時間をかけて大切に育て上げられる「美明豚」。『中村畜産』のオリジナルブランドとして広く知られているこちらは、柔らかくてほどよく脂がのっている上、甘みやコクの強い豚肉に仕上がっている。そのため取引先の飲食店などでは、この豚肉を使用した料理が大人気メニューとなることがほとんどなのだとか。今後とも茨城県を代表するブランド豚としてさらに広がっていくことが期待される「美明豚」。利益よりも質を追求してきた結果だと語る中村社長だからこそ、作り出すことができたのだろう。貴方も一度口にすれば、その評価が紛い物ではないことが分かるはずである。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

対談を終えて
「食の安全が懸念されている昨今ですが、『中村畜産』さんでは利益よりも豚一頭一頭と真摯に向き合っておられましたし、それが質の高い豚肉を提供することにつながっているのだと感じました。対談中には「育成の秘訣なんてありませんよ」と謙遜しておられましたが、いかに愛情を込めて育てておられるかは、中村社長が対談中に見せる笑顔と真剣なまなざしから窺い知ることができましたね。大変なこともあるかと思いますが、これからも頑張って下さい!」(倉田 保昭さん・談)

【異業種ネット】月刊経営情報誌『報道ニッポン』特別取材企画 掲載記事─会社概要

名 称
有限会社 中村畜産
住 所

茨城県行方市麻生133-4

TEL 0299-72-0234 FAX 0299-72-0538

【農場】

茨城県行方市次木1206

TEL 0291-35-2146 FAX 0291-35-3646

代表者名
代表取締役 中村 一夫
掲載誌
報道ニッポン 2009年2月号
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