岡本 まずは、御社の沿革からお聞かせ下さい。
石飛 当社は祖父が大正14年に創業し、鍛冶屋として地元の大手製薬会社さんを中心に顧客を得てきたそうです。私自身は幼いころから父の背中を見て育ってきたので、いつかは後を継ぐのだと思っていました。そして学業修了後はそのまま家業に入り、平成20年8月に父の後を継いで3代目に就任したのです。
岡本 それでは、現在の業務内容を。
石飛 食品用充填機、自動機械、真空乾燥機の設計・製作、配管や製缶の設計・施工を手掛けています。様々な企業さんを顧客とし、皆様のご要望にお応えする形でオーダーメイドの製品を作っているのです。また、お客様の工場における生産ラインの修理も大切な仕事ですし、昨今ではオリジナル商品の開発にも力を入れています。
岡本 オリジナル商品とは、どのようなものですか。
石飛 現場の意見から生まれた、実用的なものばかりです。たとえば「数え太郎」は、様々な文書を数える装置。たまたま当社の営業マンがお客様を訪ねたときに、書類を数人がかりで数えていたのを見て大変そうだと感じ、機械で効率化できないかという思いから生まれたのです。効率的で使いやすく、経費削減に結びつくと好評なのですよ。他にも、ステンレススケール除去剤の臭いがきついので、刺激の少ないものを作れないかという作業現場からの意見で、弱臭のステンレススケール除去剤「石飛スバルクリーン」を作りました。さらに、ステンレスの含有成分を調べる「モリブデンチェッカー」は、お客様のISO認証などに一役買っています。認証にはお客様が使用しているタンクなどの材質を証明することが必要なのですが、同じステンレスでも含有成分は様々で、見た目だけでは材質が何なのか把握しきれないのです。その話を聞いて、「それならチェッカーを作ろう」と開発しました。いずれも良い反響を戴いております。
岡本 思い立ったらすぐに実行する行動力と、長年培った技術力があるからこそできることだと思います。では、社長のお仕事上のモットーは何でしょう。
石飛 「お客様の縁の下の力持ちであれ」ということですね。これは先代から教わりまして、何よりもお客様の利益を第一にしているのです。たとえば生産ラインに不具合が出た場合などは、お客様の商品が予定通り生産できなくなってしまいますから、どれだけ忙しくてもできる限り迅速に駆けつけて修理していますね。その後、「助かったよ、ありがとう」という声を戴くと大きなやり甲斐を感じますし、疲れも吹き飛んでまた頑張ろうという気になります。お客様があってこその当社ですので、このモットーを胸に今後も歩んでいきたいですね。
岡本 新たな展開にも期待しています。
石飛 ありがとうございます。しかし、当面は先代が築いてきたものを大切にし、大きな改革はせずに社内体制をさらに強固なものにしていきたいと考えています。そうして、先代、先々代に負けないくらいに、多くのお客様との強い信頼関係を結んでいきたいですね。
【本社工場】
徳島県板野郡松茂町満穂字満穂開拓115-2