佐藤 こちらのお店は長い歴史をお持ちだと伺いました。
鈴木 当店は父である先代が昭和39年に隣町で創業したのが始まりで、こちらに移転してからも、ずっと変わらず地域の皆様に親しんで頂いています。
佐藤 オーナーシェフはお父様の後を継ぐおつもりで修業されたのですか。
鈴木 ええ。大阪と神戸の洋菓子店で合わせて6年半ほど修業しました。専門学校には通わなかったので、その分現場で仕事を身につけ、先輩の持つ知識や意見を吸収していったのですよ。
佐藤 そして、こちらのお店に戻って来られたのですね。
鈴木 はい。修業を始めてちょうど6年半経った頃に、父と共に当店を切り盛りしていた母が、脳梗塞で倒れてしまったのでこちらに戻ってきたのです。しばらくは先代と共に働きましたが、私の結婚を機に先代が引退して、私たち夫婦が店を任されるようになりました。その後は私が2代目として当店を経営してきたのですが、来年で45周年を迎えますし、地元の皆様には感謝の思いでいっぱいです。
佐藤 お店ではどういったお菓子を取り揃えておられるのでしょう。
鈴木 人気の窯出しシュークリームや約30種類あるケーキの他、フィナンシェやマドレーヌなどの焼き菓子もパティシエが心を込めてお作りしています。
佐藤 美味しいお菓子を作るためにこだわっておられることは何ですか。
鈴木 最近は素材の良さを活かした、あっさりとしたお菓子が増えてきているので、そういったことを踏まえ材料にはこだわっています。例えば、甘さを出す材料は上白糖だけではなく、グラニュー糖や黒糖、蜂蜜など様々な甘さを生み出す材料がありますよね。それらをお菓子の特徴に合わせて使い分けています。また、生クリームや牛乳は北海道まで足を運んで、厳選したものを使用しているのですよ。
佐藤 地域で長きにわたり愛されてきた要因は、どういったところでしょう。
鈴木 この仕事を始めて、商売というのはまず人との繋がりなんだということを母の姿から教わりましたので、何よりもお客様を大切に思う気持ちの強さだと思いますね。今後も地域の皆様に喜んで頂けるよう、日々精進していく所存です。
佐藤 これからも、地元の皆さんに美味しいお菓子を届けて下さいね。