羽田 御社は、中国における生産体制を構築するためのトータルサポートを手掛けていらっしゃるそうですね。社長がこのお仕事に就かれたきっかけから。
大川 かつては写真関連や自動車部品関連会社に勤めていました。中国駐在中に現地での人脈が広がったのですが、帰国しても、社内にはその人脈や語学力を生かす場所がなかったんです。それなら自分で活動の場をつくろうと、当社を立ち上げました。
羽田 独立当初はいかがでしたか。
大川 ゼロからのスタートでしたから、メーカー勤務の経験を生かし、ものづくりの分野から着手することに。そこで、現在の主業務であるプラスチック金型や成形品などの中国製造手配業を手掛けたのです。現在、国内のメーカーは、生き残りのためコストダウンが課題となっていますが、ノウハウがないためにその有効な手段である中国生産に踏み切れない企業が多い。語学の問題もさることながら、星の数ほど存在する中国工場の中からベストパートナーを選定するのも至難の業ですから。そこで現地の文化や情報に精通した当社のスタッフが、お客様に代わって見積から日程管理、出荷、輸入までの業務をサポートしているのです。
羽田 まさに中国と日本をつなぐ掛け橋なのですね。
大川 両国には文化の違いを理解できていないがために誤解が生じていると、勤務時代から感じていたんです。コミュニケーションが上手く取れれば、良好な関係が築けるはず。そのお手伝いがしたいと思ったのも、独立のきっかけとなりました。
羽田 お仕事をする上で、大切にされていることは?
大川 お客様には絶対に不愉快な思いをさせないこと。もちろん、中国の工場に対しても同様です。生産現場に快く作業してもらわなければ、いいものは生まれませんから。お客様の要望を的確に伝えれば、現場はしっかりとその期待に応えてくれます。大幅な納期短縮を実現してくれる時もあるんですよ。そうした実績を重ねていくことが信頼につながっていると、最近になって実感しています。
羽田 今年は北京オリンピックが開催されましたし、中国も変わってきているのではありませんか。
大川 インフラの充実もさることながら、人や街全体の雰囲気が明るくなってきたように感じます。中国の成長はまだ続くでしょうから、参入企業も増えることでしょう。当社も中国だけでなく、他のアジア地域へ活動の場を広げていこうと考えています。当社を設立して5年になりますが、当初より一緒に働いてくれている宮川は、中国語も堪能で現地に精通している信頼のおける仲間です。彼と共に、まずは会社の基盤を固めることに専念し、当社ならではのサポート実現に向け、さらに前進していく構えです。
▲写真左は宮川卓也氏