具志堅 こちらはまだオープンされて間もないそうですね。
中嶋 はい。今年の5月末にオープンしたばかりです。私はこれまで10年以上和食の修業を積んできましたので、その集大成として当店を立ち上げました。
具志堅 こちらのようにカウンターがあるお店はお客様との距離が近い反面、ごまかしがききませんから、そこからも店主の自信が窺えますよ。
中嶋 お客様から見えないところで調理をしていては自分の世界だけで終わってしまう気がして、このような造りにしました。また、当店ではその日の朝に市場で仕入れた新鮮な魚介類を使用していますので、それを見てお客様が喜ばれることも多いですね。
具志堅 メニューを拝見したところ、魚介類を使ったお料理が多いようですね。
中嶋 ええ。新潟は日本海の幸に恵まれていますので、夏の岩牡蠣から冬の寒ブリ、鯛やヒラメなど美味しい魚が豊富なんです。また、魚以外でもできるだけ地元のものを使用していまして、その季節一番の旬の美味しさを味わって頂ければと思っています。
具志堅 素材の味を生かすのは、簡単そうで難しいと聞いたことがありますが。
中嶋 下手に手を加えすぎると味を殺してしまいかねませんからね。けれど定番のものに固執しすぎず、お客様からのご意見なども伺いながら徐々にメニューも増やしているんですよ。例えばチーズを使ってみたり、セイロ蒸しを採り入れたりと、日々試行錯誤しています。
具志堅 お酒の種類も豊富ですね!
中嶋 私自身日本酒が好きなので、地元の銘酒を多く揃えています。とは言っても、すぐ酔ってしまうのですが(笑)。
具志堅 そんな店主の人柄もあってでしょうか、お店も明るくて居心地がとても良いですね。
中嶋 ありがとうございます。「料理は明るいところで食べるのが一番美味しい」というのが、私の持論なのです。お陰様でお客様もご年配の方から若い女性まで、口コミでどんどん増えてきているんですよ。中には月に何度も顔を出して下さる方もいて、本当に支えて頂いていると感謝しています。そんなお客様に心からのおもてなしをして、長く愛されるお店になれればと思っています。
▼中嶋店主のこだわりは、新鮮な素材を使った料理や地元の銘柄を揃えたお酒だけではない。「飲食業ですから当然料理やお酒は重要ですが、それ以前に楽しい時間を過ごしてもらうための“もてなしの心”が大切だと考えています」と店主。その心は店内の随所に表れており、「『和が家』に来たら自然と会話が盛り上がる」と言うお客様も多いのだとか。気軽に足を運べて、くつろげる──そんなお店こそが、地域に愛される名店の条件だろう。