先代から受け継がれた技術と魂で質の高い熱絶縁工事を完遂する

柳澤断熱 株式会社

 

代表取締役 柳澤 誠

(熱絶縁工事一級技能士)

取締役総務部長 澤田 和雄

【異業種ネット】月刊経営情報誌『現代画報』特別取材企画 掲載記事─略歴

「偉大な先代の影に臆することなく会社を成長させていきたい」

■偉大な先代を超えるために……

 

現場で活躍する父(初代社長 柳澤 湛氏)の後ろ姿を見て育ち、学業修了後は同じ道に進んだ柳澤社長。同じ職場で働く中では、様々な面で先代の偉大さを痛感したという。しかし社長は先代の影に臆さず、より積極的な営業展開を図り発展を目指している。「現状はまだ、先代が遺してくれたものを受け継いでいるだけ。これから自分の色を打ち出して、会社をより大きくしていきたい」と語る社長。その力強い言葉からは、同社の明るい未来が垣間見えた。

【代表取締役 柳澤 誠氏の足跡】

学業修了後、『柳澤断熱』に入社し、一から現場仕事を学ぶ。2007年12月、先代が他界したことに伴って現職に就任。現在に至る。

創業以来、確かな技術力で熱絶縁工事を全うし、着実に成長を遂げてきた『柳澤断熱』。2007年12月には先代が他界するという不慮の出来事にも見舞われたが、現在は先代のご子息である柳澤誠社長がその遺志を受け継ぎ、同社を力強く牽引している。先代が築き上げてきた基盤を会社の礎として、さらなる発展を目指してスタッフと共に邁進する社長と、創業当初から同社を支え続ける澤田総務部長に、タレントの布川敏和氏がお話を伺った。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『現代画報』特別取材企画 掲載記事─対談

布川 まずは御社の沿革から伺います。

柳澤 先代である私の父と澤田総務部長が中心となって立ち上げた「柳澤工業所」が当社の前身で、これまで保温・保冷工事といった熱絶縁工事一式をメインに、防音工事やウレタン・板金工事などを手掛けてきました。私は、物心がつく前から現場の第一線で働く父の背中を見て育ちましたので、自然とこの道に進みたいと考えるようになっていましたね。

布川 では、学業を終えられて、すぐ御社に入られたのですか。

柳澤 ええ。他所で経験を積んでから入社することも考えたのですが、両親から「他で修業をすると、お前は遊んでしまうから駄目だ」と反対されてしまいましてね(笑)。ですから、高校卒業後はすぐに当社に入り、一から現場仕事を覚えていきました。以来、約20年にわたってこの業界一筋に歩んでいます。

布川 実際に現場でお仕事をされるようになって、当初はいかがでしたか。

柳澤 幼いころから現場を見ていたとはいえ、やはり実際に作業するとなると全く勝手が違いましたね。特に最初のころは技術も経験もありませんから、現場では毎日必死になって技術の習得に励んでいました。同時に、私が全くできない作業を平然とやり遂げる父の存在の偉大さを痛感しましたね。

布川 同じ職場で働くようになって、お父様への尊敬の念が湧いてきたと。

【異業種ネット】月刊経営情報誌『現代画報』特別取材企画 掲載記事─取材記事写真

柳澤 そうですね。しかし、私が仕事を覚えるにつれて次第に父が現場に出る回数は減少。スタッフに対しても職人の立場ではなく経営者として厳しく接するようになり、現場からは不平・不満が聞こえてくるようになったのです。私は、現場の責任者として皆の意見を父に伝えていたのですが、その際には互いの立場の違いから議論が白熱することもしばしばで、ときに真っ向から意見が対立することもありました。当時は、まだ若かったこともあって父の考えに賛同できないと思っていましたが、経営者となった今、父の言っていたことがようやく理解できるようになりましたね。残念なことに父は2007年12月に他界しましたが、父から教わった経営哲学や技術者としての魂は今も色濃く私の中に息づいています。

布川 実際に経営者となられてみていかがですか。

柳澤 まだ現職に就任してからそれほど時間が経っていませんので、色々と不慣れな面も多いですが、総務部長をはじめ、スタッフ全員で私を支えてくれています。お陰で何とか順調なスタートを切れたと思います。

澤田 先代とは苦楽を共にしながら会社の基礎を作り上げてきました。今後は、先代が築き上げてきた基盤をさらに盤石のものとするべく、社長をサポートしていければと思います。

布川 力強いお言葉ですね。社長も頼もしい限りだと思います。ところで、スタッフの方々には普段どのようなことをおっしゃっているのでしょう?

柳澤 自分の意見をしっかり相手に伝えるということですね。仕事には年齢や性別は関係ありませんから、スタッフ達には、もし自分で考えて良い意見が出たのであれば積極的に発言するように話しています。ただ、自分の意見を主張するには相手の意見を素直に聞き入れる姿勢が欠かせませんから、人の意見には素直に耳を傾けるようにも話しているのですよ。こうして風通しの良い社風を作り上げ、全員一丸となって会社を成長させていきたいですね。

澤田 当社には、この道40年以上になるベテランから若手スタッフまで幅広い世代の人間が働いていますが、先代から続くその方針も相まって、世代を超えて互いに切磋琢磨しあっているのですよ。柳澤 また当社では毎月、スタッフを全員集めてミーティングを開いており、各現場の状況を把握すると共に、コミュニケーションを図ることで意識の共有に努めています。その際には、スタッフそれぞれに発言の場を設け、何か良い提案があれば逐一採り入れるようにしているのですよ。ミーティングは先代が始めたものなのですが、このように先代が作り上げた良い方法はこれからも残していきたいと考えています。

布川 先代から受け継いだ魂を胸に、スタッフの方と一丸となってお仕事に取り組んでおられる様子がよく分かります。では、最後に将来の展望についてお聞かせください。

澤田 先代は、仕事上での付き合いを超えた親友とも呼べる存在でした。社長は、そんな亡き先代の遺志を引き継いで一所懸命に頑張ってくれていますから、全力でサポートして私と先代が培ってきた技術と魂を全て受け渡したいですね。

柳澤 先代が築き上げた信用と実績を礎に、さらなる発展を目指していきます。そのためにも時代の変化に即して柔軟に対応すると共に、残すべきものは残して新旧が融合した新たな会社の体制を築いていきたいですね。そして、スタッフ全員で協力しながら、これからも質の高い仕事を続けていきたいと思います。

快適な室内環境を維持する縁の下の力持ち

▼快適な室内環境を維持するためには欠かせない、保温・保冷をはじめとした熱絶縁工事。しかし、近年では現場での一人作業が禁止されているように、その作業環境はかなり厳しいものである。

▼たとえば、熱絶縁工事の代表的なものとして挙げられるビルの空調工事。ビル内の空調はダクトを通して各部屋に冷気が送られるのだが、冷風の影響でダクト外には結露が付くため、それが天井にたれないようにする必要がある。熱絶縁工事の現場は、まさにその天井裏。小さな点検穴から材料を持ち込み、中に潜り込んで作業を行うことも少なくないという。また、新築時における工事の際には、天井がないため高所作業車に乗って作業することもあるのだとか。

▼快適な室内環境を維持するために、我々の知らないところで日々汗を流している『柳澤断熱』のような会社があるからこそ、我々は毎日快適な暮らしを送ることができるのである。

対談を終えて
「今は亡き先代の思いを受け継ぎ、『柳澤断熱』さんの代表職に就任された柳澤社長。お父様がご健在だったころには現場責任者と経営者というそれぞれの立場の違いから意見が衝突することも少なくなかったそうですが、それも全てはお仕事に対して真剣に取り組んでおられたからなのでしょうね。お父様の親友でもあったという澤田総務部長も力強く社長を支えておられるようですし、今後のご活躍が楽しみです」(布川 敏和さん・談)

【異業種ネット】月刊経営情報誌『現代画報』特別取材企画 掲載記事─会社概要

名 称
柳澤断熱 株式会社
住 所
東京都大田区西蒲田3丁目20番12号 柳澤ビル
代表者名
代表取締役 柳澤 誠
電話番号
TEL 03-3753-9357(代) FAX 03-3753-5150
掲載誌
現代画報 2008年10月号
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