岡本 まずは社長のこれまでの歩みからお聞かせ下さい。
宮崎 幼いころからとにかく車が大好きでしたので、将来は車に関係する仕事に就きたいと考えていました。そして、中学生のころからは車関係の職業の中でも特にカーレーサーに憧れを抱くように。そこで、学業修了後はその夢を実現するべくカーレースの本場・三重県の鈴鹿市に行き、レースに出場していたのです。しかし、結果が全てという勝負の世界で残念ながら思うような成績を残せず、3年ほどでやむなく断念。ただ、車に携わる仕事は続けたいと考えていましたから、その後は地元である福岡県に戻って運送会社に就職したのです。
岡本 本当に車がお好きなのですね。
宮崎 ええ。その運送会社では、長距離トラックの運転手として全国各地を駆け回っていたのですが、車の部品を触るのも大好きだったものですから、次第に自動車機器の取り付けを手掛けてみたいという思いが湧いてきましてね。そこで、思い切って自動車用品店に転職し、約4年にわたる勤務を経て独立を果たした次第です。
岡本 では、御社の主な業務内容について伺います。
宮崎 カーセキュリティーやカーナビゲーション、カーオーディオといった自動車用機器類の販売・取り付けや新車・中古車の販売など、自動車関連の様々な業務を手掛けています。その中でもメインとなっているのが自動車用機器類の取り付けでして、当社ではメーカーさんなどに一切こだわらず、お客様が他所で購入された商品の持ち込み取り付けや、現在所有しておられる自動車からの機器類の移設なども行っているのですよ。
岡本 取り付けをメインにされている会社は非常に珍しいと思うのですが。
宮崎 そうですね。販売店さんや用品店さんが付随する業務の1つとして手掛けているケースは多いと思いますが、専門的に行っているところは私が知る限りでもそれほど多くないですね。ただ、その数が少ないことが、独立を決意するきっかけになったのです。
岡本 それは一体どういうことなのでしょうか?
宮崎 自動車用機器類の移設や他所で買った製品の持ち込み取り付けをご要望される方は以前からとても多いのですが、取り付けには高い技術力と時間が必要となるため、お断りしているところが多いのが実情です。私自身、前職時代にそういったお客様と数多く接してきたのですが、やはり自動車用品店の広範な業務を手掛ける中ではなかなかそのご要望にお応えすることができませんでした。そして、お断りした後に肩を落として帰られるお客様の姿を見ているうちに、何とかしてあげたいという思いが次第に強くなっていったのです。そんなときに、ある大手カーディーラーさんが自動車用機器類の取り付けを請け負える会社を探しているとの話を聞きましてね。そこで、「独立しようと思っているので、私に任せてくれませんか」と話を持ちかけ、晴れてお取引させて頂けることになったのです。そして独立と同時に店舗を構え、大手カーディーラーさんのお仕事とともに、持ち込み取り付けや移設などを手掛けるようになったのですよ。
その後、徐々に技術力も認めてもらえるようになり、3年ほど経ったころにはその大手カーディーラーさんの自動車製造を行う大手企業さんが九州に新たな取り付けセンターを設立するということで、そちらともご契約させて頂いたのですよ。それ以来、6名のスタッフのうち4名がそちらに常駐しており、九州で販売される新車の機器類の取り付けを担当しています。そして、残りのスタッフで店舗のお客様に対応しているほか、整備工場や販売店さん、さらにはお客様のご自宅や職場での出張取り付けも行っているのですよ。
岡本 高い技術力を武器に大手さんの仕事を手掛けるだけでなく、お客様一人ひとりの立場に立ったきめ細かなサービスを追求されているのですね。
宮崎 当社のスタッフは、皆車が大好きでこの業界に入っていますので、車を愛するお客様の気持ちが良く分かります。だからこそ、日々技術の研鑽に励むことはもちろん、常に熱い思いを持って仕事に取り組んでいるのです。
岡本 お仕事上で大切にされていることは何でしょうか?
宮崎 我々はお客様の大切な車をお預かりして取り付けを行うわけですから、丁寧な仕事を行うための技術力を持っているのは当然のこと。ですから、その技術力の上でスピードも重視し、時間内に確実な仕事を完遂することを大切にしています。また、もし作業中にミスが発生すればお客様やカーディーラーさん、メーカーさんに多大なご迷惑をお掛けすることになりますので、ミス発生から報告までのタイムラグを1分以内に定めてすぐに対処するように徹底しているのですよ。
岡本 では、最後に将来の展望を。
宮崎 自動車業界は依然として先行きが不透明ではありますが、今後も車が好きだという気持ちを忘れず、お客様の立場に立ったサービスを提供していきたいと思います。そのためにも、まずは駐車場を拡大するなどして店舗の充実に力を注いでいくつもりです。そして、常にチャレンジする姿勢を忘れず、ゆくゆくは九州に工場を持つ自動車メーカーさんや他のカーディーラーさんともお取引をするなど、規模を拡大していきたいですね。